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2014年6月、米国シカゴで開かれた世界最大級のECカンファレンス「IRCE(Internet Retailer Conference and Exhibition)」に出席するため、米国に訪問。現地の小売店などを訪問し、オムニチャネルを経験してきました。私は実は小売企業に勤めていた経験があり、ECサイトの店長もしていました。自らの店頭経験、元ECサイトの店長目線から見た、リアルなオムニチャネル最新動向をお伝えします。ECとリアル店舗が切り離せなくなった今、米国企業が取り組むオムニチャネルとは――。

 

シカゴに到着後、取り掛かったのがショッピングを行うための準備です。米国App Store用のアカウントを作り、日本のApp Storeでは手に入らない現地ならではのO2Oアプリをダウンロードします。有名店のアプリをインストールし、シカゴの街でレリゴー!

日本ではあまり見ることができないOtoO用のアイコンが山盛り

日本ではあまり見ることができないOtoO用のアイコンが山盛り

ネットで購入、店頭で受け取るのは当たり前の米国流通企業

実店舗チェーンの雄であるウォルマート。何を始めるのも早く、チャレンジングな企業です。例えば、提供しているサービス「サイト・ツー・ストア(Site to Store)」は、ECサイト「walmart.com」で注文した商品を送料無料で店舗にて受け取れるものです。既に米国アマゾンも、商品を受け取れる私書箱のような専用のロッカー「Amazon Locker」の提供で、リアルの世界に侵食しています。周回遅れではありますが、楽天も5月末頃、「楽天BOX」を大阪なんば駅に設置しました。

実店舗出身の私にはピンときたことがあります。ウォルマートは集約型の物流センターでコストダウンを図ってきた米国アマゾンとは一線を画していると思います。それは、1万を超える実店舗の店頭在庫も一緒に在庫管理することで、消費者へのデリバリーの時間を圧倒的に圧縮できる可能性を示しているのです。このビジネスモデルに対して日本の家電量販店などが熱い視線を注いでいる理由がよく分かります。

ウォルマートが2011年に開始した、オンラインで商品を注文し、その数時間後には最寄りのウォルマートで受け取ることができる「Pick Up Today」というサービス名称さえ陳腐化しています。

ちなみに、大手スポーツ用品店チェーンのDICK’S、小売り大手のTARGET(ターゲット)の売り場にも足を運びました。ウォルマートに限らず、店内では多くの人が店頭受け取りを普通に利用しています。米国では店頭受け取りは珍しい光景ではないようです。店員がスムーズにオペレーションし、消費者が戸惑いなく店頭受け取りをライフスタイルの中に定着させている感がありました。

DICK'Sの店頭受け取りサービスが行える端末「PICK UP STATION」

DICK'Sの店頭受け取りサービスが行える端末「PICK UP STATION」

 ターゲットの商品受け取り所

ターゲットの商品受け取り所

ウォルマートでは、オンラインでの決済を現金でも支払いできる「pay with cash」という決済手段も選べます。これは日本で普及している「コンビニ払い」にヒントを得たのではないかと思います。ネットで注文し、48時間以内に店舗で現金を支払うと、品物が自宅に届くというものです。

日本人なら「それが何か?」と疑問を抱くことでしょう。米国では、代引き支払いがなく、クレジットカードを持たない未成年者がネットで購入する手段は限られています。これもまた、米国ならではのアマゾン対抗策なのでしょう。

アプリで商品をスキャンしてチェック、精算はセルフレジで

これらのことはベンダー側の人なら多くが知っている話しです。今回、リアルに体験してきたものの1つ「Scan & Go (BETA)」をお伝えします。

ウォルマートが独自開発したアプリで商品をスキャンし、購入する商品のリストを作成、精算は既存のセルフ・チェックアウト用レジで行うもの。棚から商品を取ったらスマホでスキャンし、そのまま自分のバッグに放り込みます。セルフレジでお金を払ったら店を出るという、日本の農村地帯にある無人野菜販売所のIT版サービスです。現在のところ限定した店舗のみで実験していますが、万引きの率が激増したといったことはないそうです。

スマホアプリの「Scan & Go (BETA)」はその機能だけではありません。商品棚の前で商品をスキャンし、「walmart.com」で注文すると、自宅へ配送することもできます。

「Scan & Go」を使いセルフレジで会計しました

「Scan & Go」を使いセルフレジで会計しました

さて、「Scan & Go」は実験ということもありベータ版が提供されている状況です。実は大いに悩ませられました。iOSでは最後まで成功せず、Androidで体験することに。その様子はYouTubeでご覧ください。

 このサービスのメリットは、店舗側にとっては人件費が節減でき、買物客にとってはレジ待ちと袋詰めがショートカットできることです。これだけではなく、店舗側には別な狙いがあることが透けて見えます。オムニチャネルです。ネットからリアルまで、一貫した消費者の行動を知ることができるのです。

しかし、「Scan & Go」のアカウントと「walmart.com」アカウントは、現状のところ統合されていません。ウォルマートの本気はこれからでしょう。ポイント付与などのインセンティブも用意するはずです。今でも、電子化されたクーポンがスマホアプリで管理できます(これはターゲットでも実施していました)。しかし、もっと直接的なインセンティブを付与し、買物客を誘い込んでいくことでしょう。これからの展開が楽しみなウォルマートの取り組みです。

「Scan & Go」で買い物をした後に発行された電子レシート

「Scan & Go」で買い物をした後に発行された電子レシート
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楡井 康哲

インフォマークス株式会社

楡井 康哲(にれい・やすのり)

インフォマークス株式会社
マーケティングソリューション部 シニアコンサルタント

1976年東京都生まれ。1994年に秋葉原のパソコン量販店チェーンの九十九電機に入社。店舗接客の他、販売企画立案から仕入れまでを担当。1995年から新規事業のパソコン通信によるネット通販を起ち上げ、EC事業の責任者を努める。単体ECサイトで年間売上100億円を達成する。

2009年にはニフティのECメディア事業部門から独立した、同グループのEC事業戦略企業コマースリンク株式会社にて経営企画、SEOコンサルティングを担当。2011年、インフォマークス株式会社にジョイン。

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