通販新聞[転載元] 5/7 7:30

青汁市場は、ここ数年700~800億円規模で安定的に推移する。ただ、コロナ禍を経て緩やかな減少傾向に転じている。

裾野広がる青汁市場

従来の訴求は「栄養素」「飲みやすさ」

青汁の通販市場は、古くはいずれも“野菜不足”のニーズに応える「栄養素」と「飲みやすさ」の訴求が市場を二分していた。栄養素が豊富なケールを原料に「まずい、もう一杯」のCMで認知を得たキューサイ、大麦若葉を原料に「ごくごく飲める」ことを売りにテレショップで認知を高めたアサヒ緑健が高いシェアを持っていた。

青汁製品の売上高
青汁製品の売上高

近年の訴求は機能性

近年は“機能性”により差別化を図る訴求が強まっている。トレンドの変化も早く、主要プレーヤーの入れ替わりも激しい

一方で、「青汁」という商品自体は市場に定着しており、新たな商品設計やマーケティングなどアプローチ手法で企業の参入が容易な市場でもある。

市場に定着して以降は、キューサイやアサヒ緑健に続き、テレビ通販への積極的な広告投下で認知を得たテレビショッピング研究所、シニアに認知の高い「乳酸菌」を配合した世田谷自然食品などが台頭した。当時の青汁は、シニアをターゲットに新聞やインフォマーシャルで認知を図る展開が一般的だった。

その市場で「若年層向け」、「ダイエット訴求」という新たなアプローチで、Webのアフィリエイト広告を中心に急成長を果たしたのがメディアハーツ(現ファビウス)。当時の通販市場は“ファスティング”を目的に食事の代替にする飲料を展開する企業が多く、このことも成長を後押しした。

ブーム一巡も、新日本製薬は新規獲得好調

ただ、現在はブームが一巡。青汁ユーザーのすそ野が広がった市場で、これをフックに成長しているのが新日本製薬だ。同社は、「血中中性脂肪・体脂肪・血圧」のケアを目的とする機能性表示食品で訴求ECを中心に新規獲得が好調に進む。

今期(2024年9月期)も青汁への投資を継続しており、これを含め、ヘルスケア事業は約52億円の売り上げを計画する。青汁ECで得た知見を、他商品にも生かすことで、健食関連の事業基盤を固める。

シェア1位は伊藤園

流通卸では、コロナ以前はインバウンド需要を見据え、CMなど国内外のプロモーションを強化した山本漢方製薬が認知を得ていた。ただ、コロナ以後は、訪日外国人の動向変化などインバウンド需要の性質が変わり、新たなアプローチを模索しているとみられる。

本紙(※編注:通販新聞)調査で、市場のトップシェアは、「ごくごく飲める」の名称で飲みやすい青汁を展開する伊藤園。通販で「おいしい青汁」を展開する森永製菓も定期顧客数が増加している。今期(2024年3月期。※編注:通販新聞が記事を配信した3月22日時点)は3Qを終えて約23%増で推移。コラーゲンドリンクに続く第2の柱として育成をめざす。

青汁製品の売上高ランキング
青汁製品の売上高ランキング

市場で流通する青汁は、約8~9割が「粉末タイプ」とされる。一部で「錠剤」もあるが定着しておらず、伊藤園は強みのある飲料で展開。「ドリンクタイプ」の利便性が支持を得ている可能性がある。他社とのコラボレーションで拡販を進めるキューサイなど業務用も一部にあるが、市場の形成はこれからだ。

市場規模は縮小傾向

本紙による今回調査の売上高総計(ランキング掲載企業)は、約738億円。そのほかの調査データでは約787億円(2020年)を天井に減少基調に転じている。

健康ニーズの多様化から、免疫ケア訴求の乳酸菌飲料、機能性表示食品制度の活用など新たな需要創出の動きも活発化している。将来的に700億円前後にまで市場規模が落ち込むとの見方もあり、「すでに成熟市場で再成長は期待できない」という声も聞かれる。

自社の青汁製品、6割が「縮小」

アンケート調査でも、「縮小」との見方が約6割に上った。各社の動向をみていく。

青汁製品の販売状況を聞いたところ「縮小」(60%)が最も多く、「成長」(30%)、「横ばい」(10%)と続いた(図1)。「縮小」と回答した企業では市場の飽和感をあげる声が目立つ

自社の青汁製品の販売状況
自社の青汁製品の販売状況

アサヒ緑健は前年比14.0%減の62億6500万円。認知施策をテレビショッピングからテレビCMに変更。女優の安田成美さんを起用したテレビCMを展開するが、「新規顧客獲得は苦戦している。景気動向の影響もあり、リピート率も減少した」とする。現状のまま売上拡大を図ることは難しく、「顧客の囲い込み(ファン化)に注力する」としている。

富士薬品は「社内における優先順位低下により減少した。野菜不足解消へのニーズは高いが、在宅時間の増加に伴い自宅での野菜摂取機会も増えており、需要の高まりは期待できない」とする。商品は、2022年に6種の青汁原料や基礎栄養素、食物繊維を配合する形でリニューアル。製薬会社製造を強みに訴求する。

ハーブ健康本舗は「青汁の売り上げは大きく減少した。顧客向けの大規模キャンペーン施策を実施していない影響が大きい」とする。「返品保証」の初回限定クーポンの配布で拡販を進める。ただ、「中長期的にみると人口減少や栄養補完食品が多岐にわたることから市場は縮小すると考える」とみる。自社通販サイトでは返品保証付きの初回限定クーポンを配布し、大麦若葉に40種の野菜、乳酸菌を加えた「モリモリスリムフルーティー青汁」などの拡販を進めている。

成長企業は投資効果を実感

「成長」と回答した企業では、マーケティング投資の強化による成果を上げる声がある。

新日本製薬は「特定の素材を持たないことを強みと捉え、消費動向や生活意識の変化に合わせてタイムリーに商品内容に反映している」とする。

青汁原料の成分別販売額(2022年)は、「大麦若葉」が46%と半数を占め、「その他」(16%)、「ユーグレナ(ミドリムシ)」(13%)、「クロレラ」(11%)、「ケール」(7%)、「野菜粒」(3%)、「スピルリナ」(2%)などと続く(富士経済調べ)。

各社、自社生産などこだわりの原料を使い訴求するが、同社にはそうした制約がなく、顧客ニーズに合わせた商品設計を行えるのが強み。商品は、機能性表示食品として届出。「肥満と高血圧のダブルアプローチが支持を得ている。広告クリエイティブも最適化に向け、改良を繰り返している点が奏功した」とする。

販売状況は、「マーケティング投資を拡大した効果で定期顧客づくりが進捗。ECの新規獲得がオフラインを逆転し、EC化も加速した」とする。

青汁製品の定期顧客が事業基盤を支える企業も

愛しとーとは「極めて順調。もともと新規獲得を狙う商材ではなく、既存顧客向けを目的に販売している」とする。定期顧客の割合が高く、安定的な事業基盤を下支えする商品として定着しているようだ。

販売状況(図1)は未回答だが、キューサイは、異なるターゲット層へのアプローチで、事業の拡大を図る。ケールを原料にした「ザ・ケール」シリーズに加え、昨年9月には「ザ・ケール ビューティーリッチ」を発売。30~50代の新規層の開拓を進めている。原料販売も強化し、ケール青汁の認知を図る。業務用ケール青汁の卸先店舗数は411店舗(今年1月時点)。2022年末から約3倍に広がった。

原料のケールは自ら生産。このため、「原料を生かした他社とのコラボレーションの活用幅が広い点も当社の強み」とする。昨年にはインスタグラムの公式アカウント開設など、SNSの活用も積極的に行っており、サンプリングなどでUGC投稿率を高め、新規獲得を進めている。

市場展望は大多数が「縮小」「横ばい」

市場展望は、「縮小」(40%)と「横ばい」(40%)が同数で並んだ。「成長」は20%だった(図2)。

青汁市場の展望
青汁市場の展望

「縮小」とした企業では、急激な物価高や競合商品の多様化をあげる声が目立った。「栄養補完食品が多岐にわたり、認知度も上がってきた」(ハーブ健康本舗)

「横ばい」とした企業では、「ここ数年、大きな変化は見られないため」(富士薬品)、「成熟市場へ移行したように感じる。機能性食品などニッチなターゲット層に特化した商品が増えているが、一商品で大きな市場を獲得できていない印象」(アサヒ緑健)などの声があった。

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