食品表示の「名称」が重要な理由。食品のネット通販が押さえておくべきポイント

食品表示について、事例をもとに、間違いを生みやすいポイントについて紹介します(連載第1回)
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2015年4月1日に新しい食品表示基準が施行されてから、ちょうど半年が経ちました。“新基準に対応しないといけないとわかっていても、何から始めたらいいのかわからない”というEC事業者なども多くいることでしょう。本コラムは、食品表示に関する基本的な内容や規制および、ニュースや事例などについて、できるだけわかりやすく紹介します。今回は、一番大事な基本である「名称」について説明します。

食品表示で1番間違えやすいのは「名称」

たとえば、「大分名物 青じそドレッシング」という商品の一括表示ラベル。何が間違っているかわかりますか?

間違いは、商品名をそのまま「名称」に記載している点になります。

名称は、その商品の内容を一般的に表すものでなくてはならないため、ある程度決まった書き方や定義があります。

名称は、添加物やアレルギーなどの原材料名と違い、書き漏れすることは少ないですが、それだけに間違いを指摘されやすい項目です(添加物やアレルギーの漏れについては、製品規格書をもとに確認する必要があります)。

では、どう表示すればいいのでしょうか。

まず、ひとくちにドレッシングと言っても、規則でこれだけ定義がわかれています。(詳細はこちら → 食品表示基準別表第三「用語」

  • ドレッシング
  • ドレッシングタイプ調味料
  • 半固体状ドレッシング
  • 乳化液状ドレッシング
  • 分離液状ドレッシング
  • マヨネーズ
  • サラダクリーミードレッシング

上記例では、原材料名欄を見る限り、食用植物油脂の記載がないため、「ドレッシングタイプ調味料」に当てはまります。従って、以下のような修正が必要になります。(赤字が修正箇所

なお、ドレッシングタイプ調味料は、ノンオイル(※)の場合を除き「ドレッシング」と表記してはいけないため(食品表示基準別表第二十二「表示禁止事項」)、「大分名物 青じそドレッシング」という商品名も、「大分名物 青じそ」などのように商品名を変更する必要があります。
(※)製品100g中の脂質量が3g未満のものについては、「ノンオイルドレッシング」と表記することができます。

名称の書き間違いを起こさないために必要なこと

「名称」は自由に書けるものではなく、決まりがあると知っておくことが大切です。食品表示基準には多くの名称の定義があり、全てを覚えることはなかなか難しいため、ルールがあることを知り、都度確認しようとする習慣が重要です。

食品表示では、原材料や製法で名称が決まり、その名称によってさまざまな表示規則も変わるため、名称はとても大事なポイントとなります。

また、名称が影響するのは表示規則だけではありません。実際の流通の現場では、まず「名称」を見て食品分類を判断し、その商品が食品表示基準以外の規格(食品分類ごとに定められた添加物の使用量や、冷凍食品の場合は細菌数など)を満たしているかどうかをチェックされることが多いのです。

そのため、「名称」の表記はとても大事ポイントになるのです。

次回のテーマは「原材料名」を予定しています。それでは。

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