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「ウイスキーをもっと気軽に楽しんでほしい」というコンセプトから生まれたウイスキーの量り売りECサイト「ひとくちウイスキー」。ウイスキーは、「1杯分を気軽に購入」「試飲」といったことができる機会が少ないのが、コンビニなどで購入できる缶ビールなどと大きく異なります。そのため、元バーテンダーの滝駿介店長は、「自分のお気に入りのウイスキーに出会うことが難しい」と感じていました。

「小分け販売することで、多くの人がウイスキーに触れるきっかけ作りをしたい」。バーテンダーだった自身の経験を生かした商品紹介、Twitterの活用方法などについて聞きました。

「1杯分のウイスキー」から多くの人にさまざまなウイスキーを楽しんでほしい

――「ひとくちウイスキー」について教えて下さい。

「ひとくちウイスキー」の 滝駿介店長(以下、滝氏):「ひとくちウイスキー」は、一般的に700mlまたは1Lで販売しているフルボトルのウイスキーを30mlまたは100mlの小瓶に移し替えて販売する通販店です。

30mlは、バーの世界で言う「ワンショット」、飲食店における1杯分にあたる容量なんです。「飲食店における1杯量を販売する通販店があったら面白いのではないか」という考えからECサイトの運営を始めました。

2021年で起業から5年目。ECサイトも起業と同時に「カラーミーショップ」を利用してスタートしました。

――ECサイトを開設した理由も、「小分けにして販売するサービスが面白そう」という考えからでしょうか?

滝氏:それもありますし、「必要とされるのではないか」と思ったんです

前職でバーテンダーをしていたとき、当時の上司から「いろいろな飲食店に行ってそのお店のサービスを勉強し、あるべき姿を考えなさい」と言われていました。しかし、いざ行こうと思っても、行ってみたいお店と自分の店の営業時間が被っているため、なかなか足を運ぶことが難しい。

そうした状況だったので、「バーに来店できる人はどういう人なのか」と考えたんです。バーは都心部や繁華街、観光地に多く、営業時間帯は夕方から早朝にかけて営業するケースがほとんど。都心部に夜から早朝にかけて外出できる、さらに来店するために車を運転しなくて良いという条件を満たす人はどれだけいるでしょうか。

また、一般的なウイスキーのアルコール度数は40度~50度、容量は700mlあり、すぐに飲みきれる量ではありません。そのため、試飲というわけではないですが、「ちょっと一口試しに行く」という機能や役割をバーや飲食店は担っていると考えました

「飲食店で飲んでみて美味しかったのでフルボトルを購入した」という話を聞きますが、先ほど言ったようにバーに行ける人自体、とても限られています。

1杯分、30mlという量は、試飲としてちょうど良い量なんです。「グラス1杯分ずつを通販する」というのがスローガンで、多くの人に多くのウイスキーと接する機会を提供できる「有料の試飲屋さん」というコンセプトで「ひとくちウイスキー」を運営しています。

――バーにはなかなか行けないけれど、ウイスキーを試してみたい人にとって一歩踏み出せるサービスになっている?

滝氏:そういった面ももちろんありますし、同時に「良い物をたくさんの人に知ってほしい」という気持ちがあります

ウイスキーという美味しいお酒を飲む機会となるバーが地方に行き届かないのと同時に、「ウイスキーまで地方に行き届かなくて良いのか?」と考えたことがあるんですよね。「たくさんの人に良い物を知ってほしい」という気持ちがあるからこそ、「ひとくちウイスキー」を楽しく運営できている部分があります

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ 店長滝駿介氏
「ひとくちウイスキー」店長の滝駿介氏(画像はタキノミヤ提供)

他の酒販店や美味しい物を楽しむ一歩を手助けしたい

――ウイスキーに触れる機会が少ない人にも、ウイスキーを楽しんでほしいという気持ちがあるんですね。

滝氏:そうなんです。グラス1杯分になる350mlでアルコール度数3%のチューハイ、5%~6%のビールはコンビニやスーパーでも購入できます。しかし、ちょうど1杯分のウイスキーというのはどこにも売っていないんです。それが当たり前ではあるんですが、「その当たり前はどこか変じゃないか」と。

味のことがわかっていて、「これを買っておけば間違いない」というウイスキーを理解しているなら、高くても好みのウイスキーを買えば良いと思うのですが、なかなかわからない人が多いと思うんです。自分の好みがわからないなかで、ボトル1本5000円もするウイスキーをスパッと買える人はなかなかいない。

いろいろなウイスキーを試せる「ひとくちウイスキー」の運営を通じて、他の酒販店さんでフルボトルを買うきっかけ作りや手助けになったら良いと考えています

――「ひとくちウイスキー」の運営を通じて、飲食業界の活性化にもつなげていきたいとお考えなんですね。

滝氏:まだ売上規模も小さく、コロナ禍ということもありますので、活性化というほどお役に立てているかはわかりませんが、ささやかながらお役に立ちたいという気持ちがあります。美味しいものを自由に楽しむための第一歩、背中を押せる存在でいられたらと考えています

風味を損なわない2種類の小瓶でウイスキーをお届け

――ECサイト利用者の年齢などに傾向はありますか?

滝氏:年齢確認で20歳以上であることを確認していますが、年齢の偏りはほとんどありません。地域もほとんど偏りはありませんが、強いていうと東京が多いでしょうか。東京都内はバーなどが多く、お酒に触れる機会が多いので、ウイスキーに興味を持つきっかけも多いからでしょう。

Twitterを運用しているのですが、フォロワーは飲食店や酒販店に勤務されている人もいます。想像ですが、飲食店で次に仕入れるお酒の試飲の役割や、バーテンダーの勉強ツールとしてフォローしていただいているのかもしれません。

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ 商品の一例
「ひとくちウイスキー」で扱っている商品の一部(画像は「ひとくちウイスキー」サイトからキャプチャ)

――コロナによって変化したことはありましたか?

滝氏:利用者数が増えました。ステイホームなど在宅時間を楽しむ需要が高まっているからだと分析しています。それから、販売数に対して高級品を購入する方の割合が減少した印象です。もしかしたら、元々ウイスキーなどを購入する方は飲食店や酒販店関係の人が多く、なかなか高級なお酒にお金をかけられない、という要因があるのかもしれません。

――取り扱っている商品数はどのくらいでしょうか?

滝氏:新商品を含めて700種類ほどです。バーテンダー時代にお店を作りたいと思っていて、その時からウイスキーを買い集めており、その結果が今の事業に結びついている部分もあります。

――小分け用の瓶はウイスキーの風味を落とさないものを使用されているとのことですが、特注で作られたのでしょうか?

滝氏:特注ではありませんが、相当数を国内外から取り寄せて吟味しました。

まず素材がガラス瓶であること。ペットボトルやポリエチレンなどさまざまな素材がありますが、種類によってはアルコール度数の高いものを入れると匂い移りしてしまう恐れがあるためです。それから、蓋にもこだわりました。液体が触れる内側は匂い移りの原因にもなるので、しっかり選んでいます。

瓶は1つひとつ手作業で洗浄、煮沸消毒し、衛生管理は徹底して行っています。試飲サービスと銘打っているのに、本来の風味を損なってしまうと意味がありません

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ 小分け用ウイスキー瓶
「ひとくちウイスキー」で使用している2種類のボトル
ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ 移し替えた後
ボトルに移し替えた後はオリジナルのラベルを貼り、発送する(画像提供:タキノミヤ)

「オリジナル商品がない」特徴を商品ページに生かす

――商品ページですが、商品単体の場合は飲んだ人の口コミ、セット商品は滝さんのレビューが掲載されていました。掲載内容を分けている意図を教えて下さい。

滝氏:基本的にほとんどの個別商品は口コミを募り、私以外の意見を掲載するようにしています。口コミは「ひとくちウイスキー」で購入して下さったお客さまのほか、クラウドワーカーやSNSで募集したりしました。

クラウドワーカーなどで募集をした理由は、ウイスキーにとても詳しい人がオススメするウイスキーが美味しいものかというと、必ずしもそうではないからです。 だからこそ、私やウイスキーに詳しい人が書いた説明だけではなく、クラウドワーカーの力を借りたという意図があります。

――クラウドワーカーやSNSで募集した方は、全員がウイスキーに詳しい人ではない、と。

滝氏:私のSNSを見ている時点で、多かれ少なかれウイスキーへの知見はある人たち。ただ、プロでないと投稿できないような仕組みにしたのではなく、誰でも投稿できるような仕組みにしています。

「ひとくちウイスキー」の最大の特徴で、弱点でもあり同時に強みでもあることは、「ひとくちウイスキー」で扱っている商品はオリジナル商品が1つもないこと。「ここだけの味」というものがまったくない。ということは、「ひとくちウイスキー」を利用したことがない、存在を知らない人でもお酒を飲んだことがあれば感想を書けるんです。「ひとくちウイスキー」で商品を購入したことがない人、知らない人の声を含め、幅広く口コミを集めるようにしています。

「ここだけの味」がないからこそ、試飲性があり、「ひとくちウイスキー」を契機に他のサービスを利用したり、よりウイスキーやお酒を楽しむ術を模索したりするきっかけにつながるのではないか、と言う点は大きな特徴ですね。

――1つの商品に対して、さまざまな視点からの評価が見られるようになっているんですね。

滝氏:口コミで工夫している点は、点数を付ける項目を「ビギナーおすすめ度」と言う項目にしていること。

「美味しい/美味しくない」は主観的すぎてしまう面がありますので、「このお酒はビギナーにとって何点か」という感想を記載していただいています。ウイスキーに詳しい人だと「すごく美味しくてすごくお気に入りだけれども、同時にすごくオススメできない」っていうものがあるんですよね。

自分にとって一番美味しいものが他の人の一番美味しい物になるとは必ずしも限らない。ウイスキー自体そういうものなので、「ビギナーおすすめ度」という項目にしたんです。そのため、上から下まで読んで納得するような感想であっても、「ビギナーおすすめ度0点」と書いてあるような口コミもあります(笑)。

賛否両論が分かれるお酒だからこそ試飲の価値があるように感じていて。そういう点から「ビギナーおすすめ度」という項目にしました。

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ 口コミ ビギナーおすすめ度
商品に寄せられた口コミの一例(画像は「ひとくちウイスキー」からキャプチャ)

セット商品は、セッティングした人間の意図を伝える必要があります。「組み合わせはランダムではなく、この組み合わせだから意味がある」という意図を伝えないとセットにしている意味がなくなってしまうため、私が責任を持って書いています。

ウイスキーと一言で言っても、アメリカ産だったらアメリカンウイスキー、スコッチウイスキーとかいろいろ種類があり、さらにスコッチウイスキーの中でも多くの種類があります。セット商品は「突っ込んだところまで味比べしていただく」というのが意図ですね

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ セットメニュー 解説
滝氏の説明を掲載しているセット商品(画像は「ひとくちウイスキー」からキャプチャ)

バーテンダーの経験を生かした商品提案

――前職はバーテンダーだそうですが、経験を生かしたECサイトの施策などはありますか?

滝氏:「ひとくちウイスキー」には複数のウイスキーを組み合わせたセットメニューが50~60ほどあります。このメニューのセッティングスキルはバーテンダーの知識や経験が生きている部分です

バーに来店したお客さまに1杯目のウイスキーを飲んでいただき、1杯目を踏まえた上で2杯目を提案するというのがある意味バーテンダーがいる価値だと考えています。1杯目に飲んだウイスキーの「甘い部分が好き」という人と「辛い部分が好き」という人では2杯目にオススメするものは違ってきます。

――「ウイスキーチャート」という特集が、ご自身の経験を生かして生まれたものでしょうか?

滝氏:そうです。「ウイスキーフローチャート」は、「このセットがお好きだったら次はこのセットにしてみましょう」「このセットの中でこのウイスキーが好きだったら、こちらのセットにしてみましょう」などの誘導の仕方、サジェストの仕方はまさにバーテンダーの仕事です。

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ ウイスキーフローチャート
「ひとくちウイスキー」の特集の1つである「ウイスキーフローチャート」
(画像は「ひとくちウイスキー」サイトからキャプチャ)

「こういうお酒が好きなんですが、どんなウイスキーがオススメですか」というお問い合わせを頻繁にいただきます。なるべく丁寧に返信はしているのですが、やはりリアルタイムで「これだったらこうですね」とか素早く受け答えができるのは、対面だからこその強さであって、飲食店の最大の魅力だと。

そういう点では、私たちのサービスは飲食店に敵わない部分が確実にあると思っています。そのため、飲食店に取って代われるような存在になるとはまったく思っていません。だからこそ、私たちにできることを模索・提供することでお客さまに喜んでいただけるようにしていきたいですね

飲み比べをきっかけにウイスキーに興味を持ってほしい

――お客さまにより楽しんでいただくために行っている施策はありますか?

滝氏:ギフトメニューに力を入れています。ウイスキーが好きな人に対して何を選ぶかって難しいと思うんです。そのため、100mlのものを3本揃えて飲み比べギフトを行っています。

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ ギフトセット
3種類のウイスキーを100mlの小瓶に移し替えたギフトセット。
父の日など季節に合わせた提案をしている(画像は「ひとくちウイスキー」サイトからキャプチャ)

飲み比べってやっぱり面白いと思うんですよ。「味の違いがよくわからない」という人がいますが、そんなことはないと思っていて。同じタイミングで2種類のウイスキーを飲み比べたら、違いがわかるはずなんです。ただ、ウイスキーはアルコール度数が高いので1度にたくさんの量を飲むのは難しいので、飲み比べをする機会は少ないはずです。

だからこそ、ギフトのような形でも良いですし、セットメニューで飲み比べの楽しさや飲み比べを通じて「美味しい/美味しくない」と言うことだけではなく、ウイスキーの違いを知ってほしい。その違いを知るところからウイスキーに興味を持つきっかけ作りにつなげていきたいです

Twitterは宣伝だけでなく、「本物であること」を証明する手段

――Twitterではウイスキーのテイスティング動画をあげていますが、商品紹介を兼ねているのでしょうか?

滝氏:テイスティング動画は商品紹介を兼ねて行っています。私のTwitterをフォローしてくれている人たちは、お酒が好きな人や上級者の人が多いだろうという考えから、テイスティング動画ではあえて上級者こそすんなり理解していただけるような表現や、難しい専門用語・言葉を使って説明しています

わざわざ難しい言葉を使わなくても説明はできるのですが、お酒に詳しい人にとっては専門用語を使う方が語弊を生まなかったり、わかりやすかったりするので、その点は意識しています。

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ Twitter テイスティング動画
Twitterで発信しているウイスキーのテイスティング動画
(画像は「ひとくちウイスキー」Twitterからキャプチャ)

ECサイト上の商品説明文はお酒が詳しくないからこそ、文章を頼りにお酒を探している人にもわかるよう、読みやすいようにしていますが、Twitterは上級者向けに。誰が見ているかを考えて発信していますね

新商品情報などはわかりやすい情報をあげていますが、インフルエンサーでもない人間がウイスキーを飲んであれこれ説明している動画を見に来るような人はよほどウイスキーが好きな人だろうと想定しています。

――Twitterでは出荷状況を写真付きで投稿していましたが、こちらもお酒の紹介でしょうか?

滝氏:商品紹介の面もありますが、「発送する商品が偽物ではない」ということを伝える為に投稿しています。発送のようすも、テイスティングの動画の時にも必ずフルボトルを映すことで「きちんと商品を持っています」ということを表しています。

希少なお酒や高級なお酒でも、価格設定はバーよりも安い価格にしているんです。安い価格にしているからこそ、バーの価格帯を知っている人のなかには「こんなに安いわけがない。偽物では?」と考える人もいます。問い合わせでも「本物だという証拠はありますか?」と聞かれることもありますし。

動かぬ証拠は出せないんですよ。入荷してきた商品を小瓶に移し替えて、その商品があなたの元に届きますという切れ目のない動画を投稿するというのは到底できません。私としては「証拠はありますか?」と聞かれたら「ありません」としか言いようがない。酒販店で販売している物と飲み比べしていただいたら、同じ物というのは確認できるかと思いますが、基本的にこちらとして証拠は出せません。

しかし、出せないからこそ「本当に商品を持っているし、移し替えて発送しています」という意味をこめて発送のようすを投稿していますし、テイスティング動画にもフルボトルを映してています

ひとくちウイスキー タキノミヤ ウイスキー量り売りECサイト 自社ECサイト カラーミーショップ 発送準備のようす
Twitterで投稿している発送準備のようす(画像は「ひとくちウイスキー」Twitterからキャプチャ)

味見や試飲目的で買っていると、味がわからないからこそイメージとは違う味だったときに「本当に本物なのか」と考える気持ちはわかります。気持ちがわかるからこそ「本当に発送するウイスキーを持っている」というアピールをしています。

――今後の展望を教えて下さい。

滝氏:商品数を増やしていきたいと思っています。コロナ禍で飲食店でお酒を提供する機会が減ることで、お酒を飲む習慣が失われるかもしれない状況です。健康面では良いことかもしれませんが、お酒のカルチャーが好きな私にとって寂しいことです。

通販はバーを知っている人からしたら味気ないと感じるかもしれません。それでも皆が楽しくなれるような方法を模索しながら運営していきたいと思っています。

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