「決済承認率」上昇で売上アップ! 売上損失を防ぐための3ステップをYTGATEとVISAが解説
ECサイトのUI/UXを改善し、人員や予算をWebマーケティングに投じて顧客を流入 、 決済手段・環境を整備することで購入に導く――。多くのEC事業者は日々、コンバージョンの向上に向けてこのような努力をしていることだろう。しかし、最終段階である決済でエラー率が上昇 、クレジットカードの承認率が低下し、失注してしまってはそれまでの努力が報われない。そのため、決済承認率はEC事業において重要な問題だ。
決済の最適化で売上向上と不正防止を支援するSaaSソリューション「YTGuard」をEC事業者向けに提供しているYTGATEの高橋祐太郎氏と、ビザ・ワールドワイド・ジャパンの田中俊一氏が、不正利用対策の最新技術と決済承認率を向上させるソリューションなどについて解説する。

EC事業に大きな影響を及ぼす「決済承認率」
決済が正常に処理されているかの確認や、自社ECサイトの承認エラー率を正確に把握しているEC事業者は多くない。カード会社ごとの承認率まで把握しているというケースはほぼ皆無と言っていいだろう。自社のECサイトにおける決済承認率やエラー率についての認識が乏しいことが問題だ。(高橋氏)
YTGATE 代表取締役 高橋祐太郎氏
決済承認率が低下する要因の1つとしてあげられるのが不正利用である。悪意の第三者はさまざまな手口で攻撃を仕掛けてくる。不正防止策を講じても、対応が後手に回ってしまう場合も多い。不正利用はEC事業者にとって、解決が難しい頭の痛い問題だ。
加えて、3Dセキュア2.0による本人認証が導入されたことで、不正利用によるチャージバックの負担が加盟店からカード会社へと移った。その結果、カード会社はオーソリ承認へ慎重になり、以前よりもカード決済が承認されないケースが増えているという。
クレジットカードの不正利用が増加するなか、不正なユーザーからサイトを守ることはもちろん重要だが、正規のユーザーから失注してしまう事態は避けたい。不正防止策を適切に実施しながら承認率を改善することが求められているのだ。
承認率向上のための第一歩とは
EC事業において、重要と言える決済承認率を向上させるため、YTGATEが提唱するのは ①現状の可視化 ②不正対策 ③承認率向上という3ステップだ。
最初に行うのが承認率の現状を可視化するための分析。YTGATEではこれをECサイトの「健康診断」と呼んでいる。「健康診断」では、決済の非承認によってサイト内でどの程度の失注が発生しているかがわかる。さらに、非承認の原因(エラーコード)についても詳細に分析する。次の画像は良好な診断結果が出た例だ。
この事業者の場合、過去4か月間の決済承認率は90%以上で維持されている。単価レンジ別での分析では高額になるにつれて承認率が低下する傾向が確認できるが、高額商品は不正犯が転売目的で狙いやすいため、高額になるほど承認率が低下するのは一般的な傾向だ。
エラーコードのうち、入力エラーについてはECサイトでの案内方法やUXを改善することでエラーを削減することが可能なため、原因や問題点を把握し、改善につなげることが重要だ。一方、次の画像は改善が必要な結果が出た例だ。
この事業者は平均承認率が79.2%と低く、特に高額商品の承認率が42%まで下がっている。YTGATEには近年、このような結果が頻繁に報告されているという。さらに、エラーコードに関する調査では限度額エラーや入力ミス以外に、カード発行会社側のエラーが多いことと、カード会社ごとの承認率に差があることが計測されている。
あるカード会社では承認率が8割程度ある一方で、別のカード会社では承認率が4割程度にまで落ち込んでいる。すぐにでも承認率の低いカード会社に確認する必要がある状態と言える。この事業者の場合、決済承認率を80%から90%に引き上げることができれば、毎月数千万円以上の取扱高の向上が見込めるという。
「YTGuard」の承認率改善の仕組み
YTGATEが提供する「YTGuard」は、承認率の改善支援と不正防止のためのSaaSソリューション。「YTGuard」は、VISAとの協業を通じて開発したリアルタイム不正検知システムで、過去データの診断や不正対策を簡単に実装できる。
YTGATEは企業の承認率改善と不正防止を支援し、失注抑制と売上向上を実現する伴走型サービスを提供している。カード利用の不正が非常に多いとされる旅行業界において、5〜6か月かけて承認率の改善に取り組んだ結果、年間数億円単位の取扱高を取り戻し、失注を抑えつつ売上利益を向上した事例もある。
不正利用のグローバルな最新傾向と取り組み
YTGATEは、VISAが提供する不正検知の「Decision Manager」や、アカウント乗っ取り対策の「Account Takeover Protection」といった高度な不正検知ソリューションにおいて国内唯一のリセラーとなっており、これらの機能とYTGATEの技術との連携で、より高度な不正検知を可能にしている。
「Decision Manager」はAI技術を活用して不正を検知し、すでに多くのブランドや業種で導入されている。2023年には330億ドル相当の不正取引を防止し、3940億ドル以上の取引をスクリーニングした実績がある。
VISAでは、不正対策として国際標準の本人認証ソリューション「Visa Secure(3Dセキュア)」、PAN※1を無価値化する「Visa Token Service」、スコアリングによる不正検知機能「Visa Advanced Authorization」、さらにリアルタイムでクレマスアタック※2を判定する「Account Attack Intelligence」といった複数の取り組みをグローバルで進めている。
※1 Primary Account Number/クレジットカードの番号
※2 クレジットカード番号と有効期限、セキュリティコードを機械的に割り出して不正利用を試みる攻撃
今後も、新しいソリューションの導入予定がある。「Cloud Token Framework」(CTF)はトークンを信頼できるデバイスに登録することで、なりすましによる被害を防止し、「Click to Pay / Passkey」はカード番号の入力を廃止することで、UXの大幅な向上とワンタイムパスワードからの脱却を実現する。(田中氏)
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 ソリューション営業本部 テクニカル・イネーブルメント部 部長 田中俊一氏
YTGATE×VISAの連携による高度な不正対策
決済の承認率を改善するには、最終的にカード会社との交渉が必要になる。しかし、その前に現在の状況を正確に把握し、不正対策を講じることが重要だということをここまで説明してきた。不正対策は属性行動の分析や不正検知が推奨されるが、多くのEC事業者は不正利用やチャージバック被害の増加、処理コストの増大といった課題を抱えている。
YTGATEが提供する「YTGuard」は、決済ゲートウェイや不正検知システムと連携し、リアルタイムで不正データを検出、加盟店へ即座に提供する。初期費用無料や開発も不要だ。スクリプトタグをHTMLに挿入するだけで利用可能で、導入までにかかる時間は1営業日程度と、EC事業者にとって実用的なソリューションとなっている。
「カード決済の前」「カード決済時」「カード決済後」、あらゆるタイミングでの不正利用対策が求められている。もうすでに不正対策や不正検知ソリューションなどを使っている事業者も多いと思うが、真ん中の「カード決済時」のみの対策になっていて、その前と後の対策が手薄になっているケースが多い。
開発不要でタグを埋め込むだけで実装できる「YTGuard」は、まさに「カード決済」の前と後に注力しているソリューション。いま、真ん中で別のソリューションを使っている場合でも、「YTGuard」で前と後を強化することもできる。まずはお問い合わせいただき、自社サイトの「健康診断」を、ぜひ受けてみていただきたい。(高橋氏)