朝比美帆[執筆], 吉田 浩章[撮影] 6/5 8:00
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PC・周辺機器・サービスの販売やサポートを手がけるレノボ・ジャパンは、決済面の改善というアプローチで、自社ECサイトの利便性を高めることに成功した。当初は購入ステップの煩雑さの解消が第一目的だったが、カートからの離脱防止、購入者数の増加、顧客体験の向上実現といった成果をあげている。購入頻度が少なく価格も高額な「PC」という商材だったからこその相乗効果もあったと評価するその改善アプローチとは。Japan eCommerce Online Business Managerの暮石龍生氏に話を聞いた。

レノボ・ジャパン Japan eCommerce Online Business Manager 暮石龍生氏

自社ECは豊富な製品展開とカスタマイズニーズに応える場所

レノボ・ジャパンは実店舗など流通先の小売店のほか、自社ECでも製品を販売している。PCという製品の特性上、実店舗と自社ECのそれぞれで販売展開する意義は大きいという。

レノボ・ジャパンのECの強みは、豊富な製品展開やカスタマイズなどのサービスにある。

ECでも即日出荷に対応する製品を数多く取りそろえているほか、学生や教員、学生の子どもを持つ保護者などが学割価格で購入できる「学生ストア」や、60歳以上の顧客がお得に購入できる「シニア割り」を用意するなど、幅広い顧客ニーズに応えられる体制を整えている。

販売場所として、オンラインでどこからでも買えるようにしておくことは重要だ。加えて、PCはカスタマイズのニーズが高い。お客さまの用途に合わせて中の部品をハイスペックにしたり、グラフィックカードを取り付けたり……といった選択肢を多数用意して提供する必要がある。

実店舗では置ける製品の数に限りがあるため、幅広いラインアップを見せる役目はオンラインが担うようにしている。そのため、結果的にEC限定になる製品もいくつかある。一方で、特長のある製品は店頭で現物を見たいというお客さまも多いので、オフラインとオンラインで双方の良さを生かした販売手法を採用している。(暮石氏)

レノボ・ジャパン Japan eCommerce Online Business Manager 暮石龍生氏
レノボ・ジャパン Japan eCommerce Online Business Manager 暮石龍生氏

PCは安くても10万円弱で、高額なものだと30万~40万円台になる高価格帯製品のため、「顧客がどう買いたいか」に寄り添うことが重要になる。

レノボ・ジャパンの公式ECサイトトップページ
レノボ・ジャパンの公式ECサイトトップページ

4年に1回の購入頻度から生じる顧客体験の課題を決済で改善

決済のハードルを低くするために「Amazon Pay」を導入

レノボ・ジャパンによると、PCの平均購入頻度はおよそ4年に1度のペース。そのため、消耗品など日常的に買い物をするECサイトとは異なり、PCの販売サイトは会員登録する割合が低い。仮に登録した場合も、次回購入時にはクレジットカード情報が古くなっているケースが多いため、購入実績があってもカード情報の入力が再度必要になってしまうという。

また、外出先でスマホやPCの画面にクレジットカード情報を入力する行為は、少なからず顧客の買いにくさにつながってしまう。レノボ・ジャパンはECサイトを運営する上で感じていた顧客体験、特に決済周りの課題を解決したいと考え、2024年10月中旬にAmazonのID決済サービス「Amazon Pay」を導入した。

「Amazon Pay」を導入すれば、お客さまはAmazonアカウントに登録している住所やクレジットカード情報などを用いて、レノボ・ジャパンのECサイトでも最短3ステップで購入できるようになる。私自身も「Amazon Pay」が使えるECサイトで買い物をする際に、その利便性に魅力に感じていた。間違いなくお客さまのニーズもあるだろうと思い、導入を決めた。(暮石氏)

レノボ・ジャパンの自社ECサイトにおける「Amazon Pay」の利用イメージ

導入初週から決済シェア10%超

『Amazon Pay』自体が社会のインフラになりつつある」と語る暮石氏。その通り、「Amazon Pay」はすでに決済時の選択肢の1つにラインアップされていると言える。レノボ・ジャパンのECサイトでも、特に詳細な説明を必要とせず、「Amazon Pay」ボタンをショッピングカート内に置くだけで、すぐに決済手段として利用され始めたという。「Amazon Pay」を導入した初週から、全決済手段のうち10%を超えるシェアを占めたのだ。

「Amazon Pay」の導入当初は、少なくとも2%程度、多く見積もって5%程度の決済シェアを想定していた。予想を大きく上回る「Amazon Pay」の利用率に驚いたと同時に、「Amazon Pay」の導入でお客さまに対する有効な決済手段が1つ増えたことが大きな強みになったと実感した。(暮石氏)

PC業界はレノボも含め、有数の巨大なグローバルブランドが各国で販売展開しているケースが多く、各国で新たな決済手段を導入するにも、グローバルの許諾を得る手間が発生しやすい。

そんななかで、レノボ・ジャパンがいち早く日本のサイトで「Amazon Pay」を導入できたのは、システム全体の主導権を握る米国がすでに導入していたため。米国のレノボが一足先に「Amazon Pay」を導入していたことから、グローバル側もROI(投資利益率)が高いと把握していた。日本からの導入の提案もすぐに承諾が得られ、早期に導入が完了できたという。

レノボ・ジャパンは2025年3月期中のシステム拡張における1つの大きな施策として、「Amazon Pay」の導入を年度初めから計画していた。実装までのスケジュールについて暮石氏は「年度内から次年度が始まってすぐあたりに導入が完了する想定だったが、開発スタートからわずか半年後の2024年10月には実装に至ったため、とてもスムーズに進められた」と振り返る。

「Amazon Pay」導入後、購入者数が増加

2024年、10月から12月頃にかけては年末商戦となるため、レノボ・ジャパンは「Amazon Pay」を導入した時期に自社独自のキャンペーンを展開していた。そのため、純粋に「Amazon Pay」だけによるコンバージョン効果は正確に計測できなかったものの、少なくとも決済シェアが10%を超えた状況からも、ポジティブな効果があったと見ている。

当初はクレジットカード決済を利用するお客さまの一部が「Amazon Pay」に移行すると想定していた。しかし、実際にはクレジットカードや銀行振込、分割払いなど、ほかの決済の割合が均等に減り、「Amazon Pay」が10%のシェアとなった。それは、クレジットカードから「Amazon Pay」に置き換わったのではなく、購入者数そのものが純増したためだと考えている。これまでならショッピングカート内で離脱してしまっていたお客さまが、「Amazon Pay」でコンバージョンにつながったのかもしれない。

ECではほかの施策も並行しているため、必ずしも「Amazon Pay」のみの効果とは言い切れないが、カートページからのコンバージョン率は導入前と比較して30%以上向上しており、「Amazon Pay」が大きく貢献していると見られる。(暮石氏)

レノボ・ジャパン 暮石龍生氏

「Amazon Pay」との共同キャンペーンで購入者数がさらに増加

レノボ・ジャパンでは、「Amazon Pay」と共同で実施したキャンペーンでも、大きな成果があがっている。キャンペーン内容は、「Amazon Pay」を使って製品を購入し、キャンペーンに応募した顧客から抽選でPCやAmazonギフトカードをプレゼントするというもの。

3月に実施した「Amazon Pay」導入キャンペーンでは総額100万円のキャンペーンを実施

キャンペーン前の時点ですでに「Amazon Pay」の決済シェアは14%に達していたが、キャンペーン開始後は16%にまで上昇。キャンペーンの効果で購入者数が純増し、シェアは2ポイント上昇した

お客さまにとって魅力に思われるキャンペーンをさまざま実施しているが、Amazonとの共同施策では、「Amazonギフトカード」などをキャンペーンのアイテムとして活用できることがメリットだ。「Amazon Pay」をはじめ、Amazonのサービス自体がインフラとなりつつあるので、大半のお客さまは「Amazonギフトカード」がもらえる企画を喜んでいただけているだろう。反響の大きさに、あらためてAmazonの持つ強みを感じる。(暮石氏)

なお、「Amazon Pay」の利用者には、Amazonアカウントに登録している情報で簡単に購入できることだけでなく、支払いに「Amazonギフトカード」が使えることも広く認知されている。

利用者にとっては決済が簡単かつ「Amazonギフトカード」でお得に購入でき、導入サイトにとっては「Amazon Pay」を導入していることが自社製品・サービスの購買の後押しになるため、「Amazon Pay」は“買う側”“売る側”の双方に大きなメリットをもたらしている。

 

「Amazon Pay」では「クレジットカード」のほか、「あと払い」「Amazon ギフトカード」「パートナーポイント」での支払いもできる
「Amazon Pay」では「クレジットカード」のほか、「あと払い」「Amazon ギフトカード」「パートナーポイント」での支払いもできる

スマホファーストで進めるUI/UX改善

レノボ・ジャパンでは年々、スマホ経由の注文が増えている。「Amazon Pay」以外の決済手段も、よりスマホファーストでコンバージョンが向上できるUI/UXをめざしていきたいという。

「Amazon Pay」では、ほかの決済手段を選んだ消費者が入力画面で一定時間作業が止まっている場合に、ポップアップウィンドウで「Amazon Pay」の利用を提案する機能「Web接客型Amazon Pay」がある。情報の入力を煩雑に感じたユーザーの離脱防止が期待できる機能で、「Web接客型Amazon Pay」などの「Amazon Pay」の機能活用も、今後の検討課題だと捉えている。

「Web接客型Amazon Pay」の表示例

クレジットカード決済を選んだお客さまのなかには、決済が正常に終了できないケースも常に一定数発生している。現状でもそうしたお客さまの解決策の1つに、別のクレジットカードや銀行振り込みなどと並んで、「Amazon Pay」が有力な手段になっていることは間違いない。

PCは平均して4年に1度の買い物。なおかつ一般的に高額商品であることを考えると、クレジットカードの審査が落ちる可能性は当然高くなってしまうだろう。その点、Amazonユーザーは日常的にAmazonを利用しているはずなので、アカウント上には最新のクレジットカード情報が登録されていると考えられる。決済方法に「Amazon Pay」をラインアップしていることが、お客さまの手助けや買い物をする際の利便性になっていると思うので、引き続き利活用を進めていきたい。(暮石氏)

堅固なセキュリティのもと、チャージバックリスクを回避

PCは高額商品かつ換金性も高いため、不正注文のリスクが高まりやすい。レノボ・ジャパンではクレジットカード注文に対して、日頃から社内外の関係部署で対策を講じ、トラブルが起きた際も徹底して対応する。ただ、不正注文の手口は年々巧妙さを増す一方で、多くのEC事業者にとって対策にかかるコストや労力は、大きな負担となっているのではないだろうか。

「Amazon Pay」はこうした不正注文によるリスク対策においても、導入企業の役に立っているという。大前提として、導入企業はAmazonの有する世界水準の堅固なセキュリティレベルが享受できることに加え、不正注文に対してもチャージバックリスクを限りなくゼロにできる。万が一「Amazon Pay」経由の決済で不正注文が発生した場合、必要な手続きをとれば支払保証ポリシーの対象となり、導入企業にリスクが生じない仕組みとなっている。

※支払い保証ポリシーとは、Amazonマーケットプレイスの販売事業者に対する保証。不正利用やチャージバックなどのトラブルから販売事業者を保護するための仕組み。このポリシーが適用されると、販売事業者は責任を負うことなく、Amazonが代わりにリスクを負担する(ただし、一部の条件の場合は対象外となる)。

このほか、Amazonマーケットプレイスの購入者に対する保証は「マーケットプレイス保証」。Amazonにおいて顧客が販売事業者の出品商品を安心して購入してもらうために、購入商品のコンディションや配送を保証する。一定の条件を満たす場合、配送料を含めた購入総額のうち、最大30万円まで保証を受けられる制度。「Amazon Pay」を利用した購入においても、同等の保証対象となる(同)。

現時点では、レノボ・ジャパンのECで「Amazon Pay」の支払保証の対象となる事案は発生していない。ただ、前述したように「Amazon Pay」を導入したことで購入者数が純増したことを踏まえ、「『Amazon Pay』の決済シェアが10%を超えているので、その分のリスク軽減につながっている」(暮石氏)と捉えている。「Amazon Pay」は導入企業にとって、安心して販売展開するための支えにもなっているようだ。

さらに買いやすく利便性の高いECをめざす

レノボ・ジャパンは「Amazon Pay」のほか、セラーセントラルで管理できる「Amazon出品サービス」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonの提供するさまざまなサービスを利用している。今後も活用の幅を広げていきたい考えで、なかでも「Amazon Pay」の取り組みや訴求には強い関心を寄せている。

「Amazon Pay」での決済で、「Amazonギフトカード」で支払ったお客さまがベネフィットを得られるプログラムがある。こうしたプログラムはお客さまとの関係構築や体験の向上に寄与すると考えている。今後はより訴求を強化していきたい。(暮石氏)

暮石氏はECサイトのさらなる利便性アップをめざす。手前のPCはレノボ商品のなかでも人気が高い「ThinkPad
暮石氏はECサイトのさらなる利便性アップをめざす。手前のPCはレノボ商品のなかでも人気が高い「ThinkPad」

レノボのPCは「ThinkPad」をはじめ、「ThinkBook」「Yoga」「Legion」など、多様なユーザーの用途や好みに沿ったブランドとシリーズを展開している。一般的に「PCは何でもいい」と、複数のブランドや販売店から比較検討する消費者が多いなか、圧倒的な人気と長い歴史を持つ「ThinkPad」は、指名買いするファンを多数抱えている。暮石氏は「それが『ThinkPad』の強みであり、ほかのブランドをいかにそのレベルまで押し上げていくかが課題」と話す。

「ThinkPad」を継続的に購入しているファンにも、新たにほかのブランドのファンになるユーザーにも、買いやすく利便性の高いECサイトを引き続きめざしていく。

Amazon Payは、©2025 Amazon.com, Inc. 又はその関連会社。Amazon及びこれらに関連するすべての商標は、Amazon.com, Inc. 又はその関連会社の商標です。

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