インスタグラムの「ショッピング機能」を解説! 導入方法や活用例を紹介
2018年6月5日、Instagramは米国で3月から開始していたショッピング機能を日本でも開始すると発表した。ユーザーにとってInstagramでのショッピングとはどんな体験になるのか、すでにテスト導入した国内3社はどんな手応えを感じているのか、また、Instagramの製品マーケティングディレクターが語ったInstagramのビジネス利用の現状はどんなものなのかをまとめた。
Instagramのショッピング機能とは
ショッピング可能な投稿をすると、フィードやビジネスプロフィール上の写真の左下に、ショッピングバッグのアイコンが表示される(下図①)。
ショッピング機能を導入するのに費用はかからないが、Instagramショッピングの承認を受けるには下記の条件が必要だ。
ショッピング機能の導入に必要な条件
- ビジネスで、提供者契約とコマースポリシーに準拠した物理的な商品を販売している
- Instagramアカウントがビジネスプロフィールに移行済みである
- Instagramアカウントが所有権のあるFacebookページと接続されている
- Facebookページでショップセクションを追加もしくはビジネスマネージャでカタログを作成している(あるいはBASE、EC-Cubeなど、カタログ作成をサポートする国内事業者のECプラットフォームと連携する)
上記の要件が満たされるとInstagramによるアカウント審査が行われ、製品のタグ付けができるようになる。4番目の項目については、各社が関連サービスを発表している。
導入企業の3社のパネルディスカッション
6月6日現在、ショッピング機能を実装しているアカウントは、テスト運用に参加した下記6ブランド。
- BAYCREWS(@baycrews)
- BOTANIST(@botanist_official)
- creema(@creemajp)
- Gilt Japan(@giltjapan)
- minne(@minne_official)
- ZOZOTOWN(@zozotown_official)
この中から、Baycrews、BOTANIST、minneの三者がテスト運用に参加した感想を語った。
BAYCREWS(ベイクルーズ)
これまでユーザーとのエンゲージメントは「いいね」やコメントだったが、ショッピング機能によってユーザーが気になったり欲しいと思ったりしたモチベーションが高い状態のときに購入への導線を作れるので、今まで以上にエンゲージメントが高められると思っている。また、商品情報だけでなくブランドの世界観を伝えられる。
サイト流入で新規率が他のソーシャルよりも高い。これまでの集客施策だけではリーチしきれていなかったユーザーがまだまだInstagramにいることを実感している。今回テストに参加したのはBAYCREWS全体のアカウントだったが、今後は各ブランドのアカウントにもショッピング機能を導入し、ユーザーとのエンゲージメントを高めていきたい。(ベイクルーズ EC統括 馬來 真知子氏)
BOTANIST(ボタニスト)
Instagramに期待しているのは、ブランドの醸成やイメージ訴求だったが、ショッピング機能で興味関心から購入までシームレスな体験が提供できることに期待している。
ショッピング機能を導入してまだ1週間ぐらいだが、CTRで他に類を見ない数値が出ている。投稿を工夫しながら波に乗っていければと考えている。フィードを作るのがちょっと大変だったが、効果が出たので苦はない。(I-ne 販売本部 ECセールス部 部長 小松 悠氏)
minne(ミンネ)
これまでInstagramでもらっていたコメントに「どこで買えるんですか?」というものが多かった。買える場所のURLやキーワードは載せていたが、購入までのハードルが高かったようだ。それがタップだけで購入しに行けるようになることは大きい。流入は増えており、もともとURLを掲載していたビジネスプロフィールからの流入が落ちるのではなく、それにプラスして各投稿からの流入が増えている。
minneにとってInstagramは作家さんを助ける手段。ライブ配信でワークショップなどの動画もしており、反応はとても良い。今後も作家さんとコラボレーションしながら、体験を提供する場としてInstagramを活用していきたい。(GMOペパボ minne事業部 部長 阿部 雅幸氏)
製品マーケティングディレクターが語るInstagramのいま
Instagram 製品マーケティングディレクターのスーザン・ローズ氏によると、現在のInstagramの月間アクティブアカウントは全世界でおよそ8億。毎日使っているデイリーアクティブアカウントは5億。米国以外の利用者が80%で、日本のアクティブアカウントは2千万以上。日本の利用者の特徴は、1日に何度も頻繁に利用していること。
Instagramでは例えば食べ物、ショッピング、旅行、自動車というような、興味関心でつながっている人が多いが、日本のユーザーは検索機能を利用してハッシュタグで検索する人が世界平均より3倍多い。「よりアクティブにInstagramで何かを発見したいと思っている表れだと考えている」(スーザン・ローズ氏)。
ビジネスの数は現在グローバルで2500万。広告主の数は200万。スーザン・ローズ氏は、Instagramを通じて売上が伸びる、または顧客増える理由として、下記の3つを挙げた。
- ユーザーが興味関心でつながっているから
- UXが没入感を持っているから
- 発見をうながすプラットフォームだから
ビジネスプロフィールでは文字による説明とWebサイトのURLを掲載でき、スワイプするだけでそのブランドがどんなブランドで、どんな商品を売っているのかがわかるようになっている。また、予約のようなアクションもしやすいように改善している。
3分の1以上のビジネスアカウントが毎日、何らかのインタラクション(「電話する」「道順」「メールする」ボタンのタップ、DM受信、URLのタップのいずれか「いいね」やコメントは含まない)がある。
1か月あたり1.5億のユーザーが、ビジネスプロフィールを見るだけでなく、おすすめを聞いたり、買える場所を聞いたりといったDMのやりとりをしている。3分の2はそのアカウントをフォローしてない。
コミュニティーと強固につながってください。利用者は興味関心やビジネスとつながるためにInstagramに来ています。特に日本においてはブランドのことを知りたい、見つけたいという人が意欲的にInstagramを利用しています。また、ショッピング機能はシームレスなショッピング体験です。既存ユーザーとのコミュニケーションや新規顧客の開拓に、ECにたずさわるみなさんにパワフルに使っていただける機能だと思います。(Instagram スーザン・ローズ氏)