公益財団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構は12月に実施した「Webグランプリ」第13回贈賞式で、Web社会の発展に貢献してきた「人」に授与する「Web人賞」受賞者の1人として、宮崎県都城(みやこのじょう)市 ふるさと納税課の野見山修一課長を選出した。都城市の寄付受入額はこれまでに5度、全国1位を獲得している。選出理由は、「“役人らしからぬ”チャレンジ精神で、民間の力を取り入れたふるさと納税の仕組み作りを推進」したこと。その立役者である野見山氏に話しを聞いた。
「肉と焼酎」のブランディングが奏功
人口約16万人の宮崎県都城市で、民間の力を取り入れたふるさと納税の仕組み作りを推進している野見山氏。都城市のふるさと納税サイトは、寄付受入額において全国で唯一11年連続トップ10にランクイン。2022年、2023年は2年連続で全国トップを獲得した。野見山氏は多くの市町村が参考にするふるさと納税サイトに成長させた立役者である。
――都城市は2014年頃からふるさと納税の取り組みを本格的に強化した。返礼品は、都城市の特産品のなかでも、肉と焼酎にフォーカスした戦略を採用してきた。
野見山修一氏(以下、野見山氏):都城市には肉、焼酎以外の特産品もたくさんあるため、「なぜ肉、焼酎ばかりを宣伝するのか」と地元からの反発もあったんです。まずは寄付者に都城市の魅力をアピールし、ブランディングする狙いだった。全国に1700以上ある自治体のなかから、差別化を図ることでユーザーに覚えてもらえるサイトになると考えたんです。
狙いはうまくいき、全国上位の寄付金額が集まるサイトに成長。現在のふるさと納税サイトでは肉、焼酎のほかにも、野菜や果物、コメ、お茶など、多くの特産品を返礼品として取り扱っています。肉、焼酎だけにとどまらず、ふるさと納税の返礼品は寄付者の方から幅広く選ばれるようになりました。
――ふるさと納税サイトへの寄付金額の集まりは、地元の民間企業の協力あってのこと。それが「Web人」の受賞につながったと野見山氏は強調している。
野見山氏:行政だけでは実現できない部分は多く、地元の民間企業の皆さんにさまざまな協力をいただいています。やはり、民間の皆さんのスピード感やチャレンジ精神はすごい。
――2023年度のふるさと納税の寄付受付額は約193億円だった。2024年度の実績は?
野見山氏:2024年度は176億円でした。
――2025年度の寄付受付額の見込みは。
野見山氏:具体的な見通しはまだ立っていないが、期末までに多くの寄付をいただけそうです(2025年12月時点)。
――今後の抱負を教えてほしい。
野見山氏:ふるさと納税の返礼品制度をしっかり活用して、地域産業にもさらに活用していきたい。何はともあれ、まずは都城市のことを多くの方に知っていただくのが第一。ふるさと納税を地方創生にしっかり役立てていきたいです。