高野 真維 2022/12/16 7:00

SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)」は、独自ネットワークでaround20(15~24歳)372人の女性を対象に実施した2023年のトレンド予測を発表した。

around20に該当するZ世代は2023年、「等身大の自分を楽しむ消費」への注目が高まりそうだと分析している。

SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)」は、独自ネットワークでaround20(15~24歳)372人の女性を対象に実施した2023年のトレンド予測を発表

トレンドキーワードに対してWEBアンケート調査を行い、4部門(カフェ・グルメ部門、モノ・コト部門、ファッション・コスメ部門、アーティスト部門)の中から、票を集めた上位10コンテンツを発表した。SHIBUYA109 lab.による2023年のトレンド予測は次の通り。

【カフェ・グルメ部門】

  • 夜の時間の過ごし方欧州の世界観に注目。ポイントは「背伸びしすぎず楽しみたい」

【モノ・コト部門】

  • 昭和のアイドルや平成初期マンガから自由な個性を表現するマインドを取り入れたい

【ファッション・コスメ部門】

  • 注目ワードは「儚い・青い・とうめい」。「トラディショナル」と「ギャルみ」の両極端を楽しむ

【アーティスト部門】

  • 新人からベテランまで、時代を超えて共存。聴覚だけでなく視覚で感じる世界観も重視

各部門ごとのトレンド予測について、調査結果は次の通り。

【モノ・コト部門】個性を貫き、自由に生きる「思想(マインド)」が魅力

SNSで共有することが前提となっているZ世代は、2023年もコミュニケーションにつながるモノ・コトに注目すると分析。

昭和のアイドルや平成初期のマンガなどのリバイバルトレンドは、Z世代にとってその「エモさ」だけでなく、個性を貫き、自由に生きる「思想(マインド)」が魅力になっているという。2023年のトレンドとして、モノ・コト部門で予測しているのは次の通り。

モノ・コト部門の2023年トレンド予測
モノ・コト部門の2023年トレンド予測
  • 昭和アイドル
    山口百恵さん、松田聖子さん、中森明菜さんなどの昭和のアイドルへの注目が高まっている。当時トレンドとなった「聖子ちゃんカット」や「ソバージュ」など、個性的なスタイルが新鮮に映り、取り入れたいという声が聞かれているという。
  • 平成マンガ
    「DEATH NOTE」「SLAM DUNK」など、平成初期~中盤にかけて流行したマンガが再度注目されているという。ストーリーの面白さだけでなく、マンガに出てくるキャラクターのメイクやファッションを再現して楽しむ様子も見られているといい、ヴィジュアル系やパンクロックなファッションスタイルは2023年のトレンドになりそうだと指摘している。
  • 写真共有アプリ「BeReal(ビーリアル)」
    1日に1回2分間だけ、撮影した写真を共有するアプリ。スマートフォンの内カメラ・外カメラ両方で撮影される。加工フィルター機能はない。飾らない姿を共有することから、気心の知れた友達との利用が想定されている。すでに「BeReal」のスクリーンショットを他のSNSで共有することも流行り始めているという。
  • 位置情報共有アプリ「iシェアリング」
    家族や親しい友人などとリアルタイム位置情報を共有することができるアプリ。ゆるくつながり続けることが当たり前であるZ世代は、気心の知れた友達の位置情報共有に利便性を感じており、待ち合わせの時にも活用しているという。
左上から順に「昭和アイドル」「平成マンガ」「パン屋巡り」「ジブリパーク」
左上から順に「昭和アイドル」「平成マンガ」「パン屋巡り」「ジブリパーク」
  • 香り診断
    自分に合った香りの香水を診断してくれるサービス。好きな香りの傾向や自分の性格、どんな印象を演出したいかに合わせ、香りを提案する。自分に合った香りを知ることで、香水選びの精度を高めたいというニーズが見られるという。
  • パン屋巡り
    オシャレで美味しいパン屋さんを巡ることが流行りそうです。ピクニックや自宅でのおうちカフェなどハイブリットな楽しみ方もできます。一日に沢山の店舗をはしごできることも魅力のようだ。
  • ジブリパーク
    2022年11月に愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」内にオープンしたスタジオジブリの世界を体感できる公園施設。キャラクターの外見やキーワードを取り入れた「概念コーデ」で訪れるなどの楽しみ方が生まれそうだと分析している。
  • チェンソーマン
    週刊少年ジャンプにて2019年1号から連載が始まった藤本タツキさんによるアクション漫画。2022年10月よりアニメ放送が始まり、毎回変わるエンディングテーマの担当アーティストが豪華なことでも話題になっている。

通販機能付きのコーディネートアプリも利用拡大に期待

  • 韓国ファッション検索アプリ「onthelook(オンザルック)」
    アプリ内で投稿されているコーディネートは、onthelookによって選ばれた韓国インフルエンサーによるもので、韓国現地のトレンドスタイルを知ることができる。気に入った商品はその場で購入することが可能だ。コーディネートの参考にし、服を選ぶ時間を短縮することを目的に活用されそうだと分析している。

  • 小紅書(RED)
    「中国版Instagram」ともいわれる、通販機能も搭載されたSNS。中国の若者トレンドに注目しているZ世代が増えているという。いち早く美容やファッションの流行をチェックできる情報源として活用が期待される。

【ファッション・コスメ部門】米国や英国などの欧米諸国のカルチャーにも注目

Z世代が引き続き韓国や中国を中心としたアジアトレンドに注目するなか、2023年は米国や英国などの欧米諸国のカルチャーにも注目が集まりそうだと分析している。

モノ・コト部門と同様、調和を大事にするZ世代が「自分らしさ」や「強い個性」の表現に目を向け始めている傾向がみられるという。2023年のトレンドとして、ファッション・コスメ部門で予測しているのは次の通り。

ファッション・コスメ部門の2023年トレンド予測
ファッション・コスメ部門の2023年トレンド予測
  • 海外ガール
    ロサンゼルスやニューヨークなどを中心とした米国のファッションスタイルに注目が集まっているという。2022年にトレンドとなったY2Kスタイル(2000年代に流行したファッションの再流行)にみられたカラフルさだけでなく、ヘルシーな要素もあるスタイルで、体型問わず楽しめることも魅力のようだ。
  • ローウエスト・ローライズボトムス
    Y2Kスタイルの1つとして注目されている。おなかを見せるスタイルに合わせて取り入れられそうだと予測している。
  • 水色界隈・天使界隈
    天使のような儚さと透明感を併せ持つ白や水色を基調としたテイストを楽しむスタイル。ファッションだけでなくインテリアなどお部屋作りにおいても注目されているという。
  • 白湯メイク
    中国でトレンドとなっている「ナチュラル盛れ」を実現したメイク。これまでトレンドの傾向であった、力強く凛とした印象のある中国メイクとは異なり、自然な透明感がポイントで、誰でも取り入れやすいことが魅力だという。
  • くらげメイク
    くらげのような儚さと透明感を演出するメイク。青いアイシャドウやパール感のあるハイライトを使用し、透明感のある柔らかい印象を作るという。
  • グレーコスメ
    知的で大人っぽく、アンニュイな雰囲気を叶えるコスメ。韓国アイドルのステージメイクなどでもグレーアイシャドウが取り入れられていることで注目が集まっているという。
左上から順に「海外ガール」「ローウエスト・ローライズボトムス」「水色界隈・天使界隈」「白湯メイク」「くらげメイク」「グレーコスメ」
左上から順に「海外ガール」「ローウエスト・ローライズボトムス」「水色界隈・天使界隈」「白湯メイク」「くらげメイク」「グレーコスメ」
  • 重ため前髪
    重く切りそろえた前髪のこと。重ため前髪を取り入れている韓国アイドルが増えていることから、注目が集まっているという。
  • 部分ウィッグ・エクステ
    「SHEIN(シーイン)」などの通販サイトで安価で購入でき、自分の髪型を変えずに様々なヘアスタイルを試せることが魅力。短期間でイメージチェンジをしたい時に取り入れられているという。髪型のレパートリーを増やし、さまざまなスタイルを楽しむ傾向がみられる。
  • 英国制服コス
    カフェ・グルメ部門にもみられるイギリスのクラシックな世界観に合わせた、イギリス風の制服にも注目が集まっているという。
  • ブランドショッパー
    小さいかばんが流行しているため、荷物が入りきらない時にブランドのショッパーをサブバックにして外出する人が増えているという。特にDiorやCHANELなどのハイブランドのショッパーが人気。
左から順に「重ため前髪」「部分ウィッグ・エクステ」「英国制服コス」「ブランドショッパー」
左から順に「重ため前髪」「部分ウィッグ・エクステ」「英国制服コス」「ブランドショッパー」

【カフェ・グルメ部門】夜のシーンで楽しめる場所に注目

夜の時間に友達と外で過ごすことが増え、夜のシーンで楽しめる場所に注目が集まっているという。居酒屋などお酒を飲める場所ではなく、お酒を飲まない・飲めなくても楽しめる場所を求めていることが特徴で、夜の時間の過ごし方が多様化していると分析している。

クラブやバーなど、少し背伸びしていくような場所に憧れを持っているものの、最初から本場に行くのではなく、まずは雰囲気を味わいたいというニーズがあることがわかると指摘。彼女たちは、「●●風」「●●っぽい」など、ハードルを少し下げている。

食そのものだけでなく、食を楽しむ空間の世界観を重視していることもZ世代の特徴だとまとめている。2023年のトレンドとして、カフェ・グルメ部門で予測しているのは次の通り。

カフェ・グルメ部門の2023年トレンド予測
カフェ・グルメ部門の2023年トレンド予測
  • 夜カフェ&バー
    夜、お酒だけでなくカフェメニューも楽しめる、カフェとバーを掛け合わせたようなお店に注目が集まっているという。「バーのような大人っぽい雰囲気の場所で時間を過ごしたいけど、お酒を飲まない人は行きづらい」という声があるなか、カフェメニューがあることで、お酒を飲むかどうかは気にせずに特別な空間を楽しめることが魅力だという。友達とゆっくりと夜の時間を過ごしたいというニーズもみられる。
  • ルーフトップバー
    屋上テラスからの景色を眺めながら食事が出来るバー。高層ビルや高級ホテルのバーに比べて予算や気持ちの面で気軽に楽しめる。特別感のある空間が魅力だという。
  • クラブっぽ居酒屋
    クラブのような照明と音楽が楽しめる居酒屋。「本当のクラブは怖いイメージがあるので行きづらいが、クラブの雰囲気を味わってみたい」というZ世代から注目されている。
  • イギリス風カフェ
    ホテルのアフタヌーンティーほど格式高くないが、イギリスのクラシックな雰囲気の中で、紅茶や焼き菓子、アフタヌーンティーセットやアンティーク食器などが楽しめるカフェ。
  • 透明カフェ
    店内のインテリアなどにクリア素材などが使われている、透明感のあるデザインで統一されたカフェ。SNSで共有したいZ世代にとって、どんなファッションテイストで撮影しても馴染みやすい空間であることがポイントとなっているという。
左上から順に「夜カフェ&バー」「ルーフトップバー」「クラブっぽ居酒屋」「イギリス風カフェ」「透明カフェ」
左上から順に「夜カフェ&バー」「ルーフトップバー」「クラブっぽ居酒屋」「イギリス風カフェ」「透明カフェ」
  • パヌレ
    カヌレの形をしたパイの菓子。外はカリっと中はやわらかい食感のカヌレとは違い、パイ生地特有のサクサクの食感に特徴がある。
  • カンノーロ
    イタリアの伝統菓子。イタリア語で「小さな筒」という意味で、カリカリの生地にリコッタチーズベースのクリームが詰められている。
  • ミラーケーキ
    ホールケーキの上に鏡が乗っており、鏡越しに撮影ができるケーキ。SNSに投稿することを前提とした食の楽しみ方
  • カラフルケーキ
    推しの誕生日を中心に楽しまれているカラフルなケーキ。米国のホームパーティーを彷彿とさせる、青や緑などの色が使われたカラフルなデザインのケーキがトレンドになるとみている。
  • 2Dアートケーキ
    チョコペンでケーキの縁や輪郭、クリームやフルーツなどの境目にラインを引き、マンガから出てきたようなデザインのケーキ。購入するだけでなく、自分たちでも再現して楽しめることが魅力だという。
左上から順に「パヌレ」「カンノーロ」「ミラーケーキ」「カラフルケーキ」「2Dアートケーキ」
左上から順に「パヌレ」「カンノーロ」「ミラーケーキ」「カラフルケーキ」「2Dアートケーキ」

【アーティスト部門】世代も時代も問わずに全て楽しむ傾向

ノミネートには次世代アイドル・K-POPアーティスト、ビジュアル系バンドなど、多岐にわたるアーティストが並んだ。新人からベテラン、昭和~平成に活躍したアーティストまで、世代も時代も問わずに楽しんでいる様子が見られる。動画で音楽を視聴する機会が多くなっているため、ミュージックビデオの世界観に注目している様子という。

アーティスト部門の2023年トレンド予測
アーティスト部門の2023年トレンド予測

SHIBUYA109 lab.の所長は、エネルギッシュなマインドチャージができる消費にも注目したいとして、次のようにコメントしている。

2023年は「等身大の自分を楽しむ消費」への注目が高まりそうだ。

コロナ禍を経て自分らしさを尊重してくれる、安全圏となるコミュニティが確立したことが理由としてあげられる。

心理的なハードルが高い体験に興味はあるものの「段階を踏んで様子を見ながら楽しみたい」という意識も見られる。背伸びをしすぎず実現可能な範囲で楽しみたいという気持ちに加え、各カルチャーにおけるコミュニティの調和を尊重しており、自分が参加することによってその調和を乱してしまうなどの「失敗をしたくない」という意識もあるようだ。

コロナ禍も含め、社会全体の空気に不安が募る状況が続いていることもあり、エネルギッシュなマインドをチャージできる消費を求める傾向が更に強まるのではないか。

 

アンケート調査概要

■ノミネート候補選定

  • 調査期間:2022年1月~10月
  • 調査方法:館内でのアンケート調査(自由記述式)
  • 調査機関:SHIBUYA109 lab.
  • 調査対象:SHIBUYA109 lab. 独自ネットワーク around20(15〜24歳)女性
  • 有効回答数:n=100/毎月

■ノミネート選定

上記調査結果から計10人の高校生・大学生とSHIBUYA109 lab.で2023年にトレンドとなりそうなキーワードをノミネートとして選出

■トレンド予測調査

  • 調査期間:2022年11月
  • 調査方法:WEBアンケート(上記ノミネートより複数選択式アンケート)
  • 調査機関:SHIBUYA109 lab.
  • 調査対象:SHIBUYA109 lab. 独自ネットワークとSHIBUYA109渋谷店来館者のaround20(15歳~24歳)女性
  • 有効回答数:n=372
この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]