楽天グループの2025年度(2025年1~12月)における国内EC流通総額は、前期比3.9%増の6兆3452億円だった。前年度となる2024年がうるう年だった影響による日数差を考慮すると実質成長率は4.2%増だったとし、楽天グループは「一桁半ばの成長を達成した」としている。
国内EC事業の売上収益は前年同期比5.8%増の1兆232億円、Non-GAAP営業利益は同12.6%増の1224億円の増収増益だった。
国内EC流通総額は、「楽天市場」の流通総額に加え、「楽天トラベル」(宿泊流通)、楽天ブックス、楽天ゴルフ、Rakuten Fashion、Rakuten24などの日用品直販、フリマアプリ「ラクマ」などの流通額を合算した数値。
コア事業は増収増益、成長投資事業は赤字縮小
楽天グループは国内ECを「コアビジネス」と「成長投資ビジネス」に区分している。
- コアビジネス
「楽天市場」「楽天トラベル」などが牽引し、売上収益は前年同期比7.5%増の7102億円、営業利益は同6.5%増の1626億円と堅調に推移した。 - 成長投資ビジネス
物流事業やRakuten Fashionなどが含まれる。物流事業の料金改定や運営効率化、ネットスーパー事業の関西エリア撤退といった構造改革が進み、損失額は402億円(前年は439億円の赤字)へと改善した。
AI活用で255億円の利益創出
今回の決算で特筆すべき点は、AI活用の効果が明確な数値として示されたこと。楽天グループ全体におけるAI活用による利益創出額は2025年度で255億円。前年比2倍となり、当初目標の210億円を上回った。
主な取り組みは以下の通り。
- 購買行動の促進
「楽天市場」で「Rakuten AI」を体験したユーザーは、未体験ユーザーと比べ再来訪頻度が平均7倍高い。 - パーソナライズ検索・人気検索
ユーザーのブランド志向などを記憶し、個々に最適化した人気商品を表示。 - ディスカバリー・レコメンデーション強化
ユーザーごとに最適な商品や動画、記事を提示することで、アプリ利用時間は41%増加。 - 広告配信の最適化(RPP)
「Rakuten Promotion Platform(RPP)」の高度化により、出店店舗あたりの流通総額(GMS)は前年同期比5.1%増。 - 検索体験の高度化
セマンティックサーチ(意味検索)やAIコンシェルジュの導入により、潜在ニーズの顕在化やCVR向上を図る。
AI関連機能による「楽天市場」流通総額の押し上げ効果は年間約255億円規模と試算。さらに購入後対応のカスタマーサービス向けAI「Raptor」導入により、2026年度は通期43億円規模の利益押し上げを見込む。
楽天モバイルとのシナジー拡大
成長を支えるもう1つの柱が楽天モバイルとのシナジー。2025年12月時点で、楽天モバイル契約者の「楽天市場」における平均年間流通総額は、非契約者比で48.8%高い。2025年10~12月期(第4四半期)における「楽天市場」月間アクティブユーザー(MAU)に占める楽天モバイル契約者の割合は前年同期比1.4ポイント増の16.4%に上昇しており、エコシステム内の回遊性が高まっている。
四半期推移、4Qはマイナス成長
2025年度の国内EC流通総額(四半期ベース)は次の通り。
- 第1四半期(1~3月):1兆4307億円(前年同期比3.3%増)
- 第2四半期(4~6月):1兆4877億円(同4.7%増)
- 第3四半期(7~9月):1兆7141億円(同14.5%増)
- 第4四半期(10~12月):1兆7128億円(同5.0%減)
第4四半期は4四半期ぶりに前年同期比でマイナスとなった。
楽天トラベルはインバウンド好調
国内ECに含まれる「楽天トラベル」を中心とするトラベル事業の取扱高は前年同期比7.6%増。特に訪日外国人需要の取り込みが好調で、グローバル関連取扱高は58.0%増と大幅に伸長した。2025年11月に中国政府が日本渡航自粛を呼びかけた影響で訪日観光客の減少はあったものの、国内需要が補完。国内宿泊も1.8%増とプラス成長を維持した。
全社業績もNon-GAAP営業利益は大幅増益
楽天グループの2025年12月期連結業績は、売上収益が前期比9.5%増の2兆4965億7500万円、Non-GAAP営業利益は同1407.9%増の1062億7700万円。フィンテック事業の増収に加え、モバイル事業の損失改善が利益押し上げに寄与し、営業利益は前期比992億円増となった。
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