朝比美帆[執筆], 吉田 浩章[撮影] 7:00
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スーツケースブランド「サムソナイト」の日本法人であるサムソナイト・ジャパンは、DtoC推進の一環として、自社ECの強化を進めている。良い買い物体験の提供がブランド戦略に直結するとの考えの下、決済面を改善。CVRの改善、購入完了率の向上といったさまざまな実績につなげている。具体的な取り組みや実績を、サムソナイト事業部 営業本部 デジタルセールス部 ECマネージャーの友田由紀子氏に聞いた。

サムソナイト事業部 営業本部 デジタルセールス部 ECマネージャー 友田 由紀子氏

自社EC「サムソナイト」「グレゴリー」のCRMを強化

1910年に創業した米国発祥の老舗スーツケースブランド「サムソナイト」。本社は米国のサムソナイト インターナショナルS.A.で、日本法人のサムソナイト・ジャパンは2004年に設立した。サムソナイト・ジャパンは顧客との直接的なつながりを強めていく方針の下、DtoCを推進。その一環として自社ECにも力を入れている。

自社ECは、旅行カバンやバッグなどを取り扱う「サムソナイト」のほか、バックパックを中心に展開するグループブランド「グレゴリー」を運営。2023年秋には、CRMの強化やオペレーションの内製化を進める目的で、Salesforce(セールスフォース)が提供するECプラットフォーム「Salesforce」でリプレイスした。

「サムソナイト」が取り扱う商品のイメージ(画像は銀座旗艦店)
「サムソナイト」が取り扱う商品のイメージ(画像は銀座旗艦店)
ECサイト「グレゴリー」トップページ
ECサイト「グレゴリー」トップページ

「サムソナイト」「グレゴリー」の自社ECでは2018年から決済方法の1つに「Amazon Pay」を導入しており、他の決済手段よりも利用者が多くコンバージョンも良かった。そのため、ECプラットフォームのリプレイス後も引き続き「Amazon Pay」をラインアップすることは自然な流れだった。

DtoCを強化していく上で、CRMは欠かせない。CRMはそれぞれのお客さまにパーソナライズした体験を提供することが重要であり、そのなかには決済も含まれていると考えている。カスタマージャーニーを大切にしていくという観点から、決済もお客さまからニーズのある手段をそろえておきたいという意向は強く持っていた。決済もブランド戦略の一環だと捉えている。(友田氏)

サムソナイト事業部 営業本部 デジタルセールス部 ECマネージャー 友田 由紀子氏
サムソナイト事業部 営業本部 デジタルセールス部 ECマネージャー 友田 由紀子氏

たまたまサイトを訪れた顧客にも決済時の安心感を提供

ECプラッフォームリプレイスと同時期の2023年秋に、ファッションブランドとのコラボレーションコレクションなどを発表し、新商品を積極的に投入した。

他ブランドとのコラボ商品は、そのブランドを好きな人がコラボ商品目当てにたまたま「サムソナイト」のECサイトを訪れているケースも少なくないと考えられる。そうした顧客は次にいつ「サムソナイト」のECで買い物をするかが見えにくいものだ。友田氏は「これまで『サムソナイト』と接点がなかったお客さまにとっても、ECサイトに『Amazon Pay』があることで、安心して買い物をしていただけていると思う」と話す。

「3Dセキュア2.0」導入後、「Amazon Pay」がカード決済に失敗した顧客の救いに

決済体験の改善は顧客体験を向上するための取り組みの一環。サムソナイト・ジャパンが自社ECに、なりすましによる不正リスクを判断するクレジットカードの本人認証サービス「EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)」を導入した。

ただ、当初は決済の全件を「3Dセキュア」の対象としたため、「カード決済がしづらい」「カード決済ができない」という顧客からの問い合わせが増加。最終的には不正の可能性が高い場合のみに「3Dセキュア」を適用する運用に切り替えた。

それにより顧客からあがった問題は解決したが、新しい決済プラットフォーム導入までの期間、もし決済手段の1つに「Amazon Pay」を用意していなければ、カード決済に失敗した顧客は代金引換しか選べない状況となっていたという。その場合、コンバージョンはかなり落ちていたであろうことは想像に難くない。

「Amazon Pay」を決済方法にラインアップしていたことが救いになり、当時の課題解決に役立った。クレジットカードで決済できなかったお客さまとも「Amazon Pay」で再度つながることができた。(友田氏)

他ブランドとのコラボモデルと「Amazon Pay」実装のイメージ
他ブランドとのコラボモデルと「Amazon Pay」実装のイメージ

自身の利用経験から、自社ECへの「Amazon Pay」導入を推進

サムソナイト・ジャパンが最初に自社ECの「サムソナイト」「グレゴリー」に「Amazon Pay」を導入したのは2018年で、きっかけは友田氏自身の「Amazon Pay」利用体験からだった。

ファッション通販サイトで商品の購入に悩んでいた時、サイトにあった「Amazon Pay」のボタンが目にとまり、「それなら『Amazon Pay』で買おう」と購入を決意できたという友田氏。「Amazon Pay」の安心感に、購入の背中を押された消費者としての経験を鮮明に覚えており、「サムソナイト」や「グレゴリー」のECでも有効に働くだろうと考えた。

実際に、ECサイトを運営していると、商品をカートに入れた後の決済段階で、クレジットカード情報を入力することにわずらわしさや不安を感じる顧客は一定数存在すると感じていた。特に新規顧客にとっては、ECサイトに個人情報を入力するには少なからず心理的な抵抗があるもので、購入体験の満足度を下げる要因になりかねないと友田氏は懸念していた。

自社ECの「サムソナイト」「グレゴリー」は旅行カバンやバックパックなどを中心に扱うため、日用品などと違い、ひんぱんに訪れて購入する商品ジャンルではない。そういうECサイトでクレジットカード情報を積極的に登録することにはためらいを感じる消費者が多いと思われる。そんなとき、私のように「『Amazon Pay』があるから買ってもいいな」と思う人は多くいるだろうと想像し、両ECサイトへの導入を決めた。(友田氏)

魅力はAmazonブランドの安心感、利便性、複数の決済手段を包括していること

Amazonで買い物をした経験のあるユーザーの数は相当な規模であり、「Amazon Pay」はAmazonアカウントを持っているユーザーであればすぐに使える。Amazonのユーザー基盤の大きさが導入サイトの新規顧客獲得の可能性を高めることに加え、友田氏自身も感じたAmazonブランドの安心感と、簡単な購入ステップの利便性が、サムソナイトのECサイトに「Amazon Pay」を導入する決め手となった。

決済を簡素化するとCVRが35%以上アップする」という海外の調査結果を見たことがあるが、決済体験がコンバージョンに与える影響は大きいと私も考えている。短い時間で便利に決済が完結できれば買い物体験自体が向上し、ブランド力アップにもつながる。優位性も高まっていると思う。(友田氏)

サムソナイト事業部 営業本部 デジタルセールス部 ECマネージャー 友田 由紀子氏
友田氏は決済の利便性がブランドの差別化や優位性につながると考えている

ECサイトでは通常、決済手段を1つひとつ導入していくたびに、開発の手間やコストがかかってしまうものだ。その点、「Amazon Pay」を導入すれば、そのなかの利用可能な支払い方法にクレジットカードや「あと払い(ペイディ)」「メルペイ」なども含まれるため、「Amazon Pay」から派生して顧客がさまざまな決済手段を使えるようになる

「Amazon Pay」導入で利用可能な支払方法
「Amazon Pay」導入で利用可能な支払方法

特にサムソナイト・ジャパンの場合、サイトの開発を海外の企業が手がけているため英語でやり取りしなければならず、「Amazon Pay」を導入するだけで複数の決済手段が取りそろえられたことは大きな魅力だったという。

商品詳細ページに「Amazon Pay」ボタンを設置

2018年の導入以降しばらくは、カートまで進んでから「Amazon Pay」のボタンが表示される仕組みだったが、2025年7月の決済機能リプレイス後は、「サムソナイト」「グレゴリー」の両サイトで、カートだけでなく商品詳細ページの時点でも「Amazon Pay」のボタンを表示するようにした。

商品詳細ページの「Amazon Pay」ボタン設置イメージ(PC画面)
商品詳細ページの「Amazon Pay」ボタン設置イメージ(PC画面)

合わせて、PC画面右上の「カートを見る」のアイコンをクリックすると表示される「ミニカート」にも、「Amazon Pay」ボタンを設置した。

PC画面ではミニカートにも「Amazon Pay」ボタンを設置
PC画面ではミニカートにも「Amazon Pay」ボタンを設置

また、「サムソナイト」においては、購入画面などでユーザーの離脱防止が期待できる機能の「Web接客型Amazon Pay」「支払い救済型Amazon Pay」も導入した。

「Web接客型Amazon Pay」は、会員登録ページや注文者情報の入力ページなどで、「Amazon Pay」で便利に購入できる旨をポップアップで提案する。これにより、情報の入力をわずらわしく感じて離脱するユーザーを未然に防ぐことができる。

「サムソナイト」での「Web接客型Amazon Pay」ポップアップのイメージ
「サムソナイト」での「Web接客型Amazon Pay」ポップアップのイメージ

「支払い救済型Amazon Pay」は、「Amazon Pay」以外の決済方法で決済に失敗したユーザーに、「Amazon Pay」も選べることをポップアップで案内し、購入完了まで導くことができる。

決済で「Amazon Pay」も選べることを案内し、ECサイトからのユーザーの離脱を防ぐ
決済で「Amazon Pay」も選べることを案内し、ECサイトからのユーザーの離脱を防ぐ

7~8月にかけてスーツケースの売れ行きが最も好調になるため、この時期に合わせて商品詳細ページでの「Amazon Pay」ボタンの設置や、「Web接客型Amazon Pay」「支払い救済型Amazon Pay」の導入ができてよかった。「Amazon Pay」でもっとスピーディに決済できる仕様になり、また、情報入力を面倒に感じられたお客さまの離脱防止にもつなげられたことで、「Amazon Pay」での決済完了率はさらに向上した。商品を買いたくても支払いの段階で離脱してしまい購入に至れないお客さまへの配慮が、より行き届くようになったと感じている。(友田氏)

サイト開発会社が海外でもスムーズに導入。高い費用対効果を実感

リプレイス後の「Amazon Pay」導入に要した開発期間は2~3か月で、2025年7月に実装した商品詳細ページでの「Amazon Pay」ボタンの設置などに要した期間はわずか1か月程度だったという。サイトの開発会社があるベトナムにはAmazonがないため、サムソナイト・ジャパンは当初、現地のエンジニアとのやり取りに不安があったというが、実際には、Amazon Payの手厚いサポート体制によってスムーズに実装できたという。

「Amazon Pay」の技術仕様書が日本語と英語で細かく丁寧に作られているほか、何かあったときにもベトナムのエンジニアとAmazon担当者が直接やり取りしたため、サムソナイト・ジャパンにかかる負担はほとんどなかった

ベトナムの開発会社は日本語まで理解しているわけではないため、日頃から現地と英語で連絡を取り合っているというサムソナイト・ジャパン。友田氏は「『Amazon Pay』も英語での開発対応が可能だったことがとてもありがたかった。同じようなニーズを持つ事業者はほかにもいると思う」と話す。

「Amazon Pay」導入後のランニングコストについては、一般的なクレジットカードの手数料率よりやや高めではあるものの、ユーザーの利便性やコンバージョン向上などに高い効果が表れていることから、高額だとは思わないという。

CVRなどさまざまな数字が改善している上、「Amazon Pay」を導入するだけで「あと払い(ペイディ)」や「メルペイ」まで使えるようになることを考えると、費用対効果は格段に高いと思う。通常なら1つひとつの決済手段を導入するたびに、開発コストやランニングコストがかかってしまうものだが、そうなると経理にかかる処理業務の負担がどんどん増してしまうことも課題となる。『Amazon Pay』一つで多様な決済手段が実現できるので、バックヤード部門からもとても高く評価されている。(友田氏)

サムソナイト事業部 営業本部 デジタルセールス部 ECマネージャー 友田 由紀子氏
友田氏は「Amazon Pay」がバックヤードの負担軽減にも間接的に役立っていると話している

決済シェアの約半数を占める「Amazon Pay」。簡単かつ安心して決済したいニーズを実感

商品詳細ページでの「Amazon Pay」ボタンの設置は、すぐに高い効果が現れた。「サムソナイト」では設置した2025年7月に、決済で「Amazon Pay」を選ぶ顧客数が前月比で42%増加。「グレゴリー」に至っては、同66%の増加となった。「Gregory」の一部商品は「Amazon.co.jp」でも販売しており、そちらでも常に人気を集めているという。Amazonで販売していない商品を「グレゴリー」のサイトで見つけ、「Amazon Pay」で決済したユーザーも多いだろうと、サムソナイト・ジャパンは推測している。

「サムソナイト」「グレゴリー」で出た結果はサムソナイト・ジャパンとしても想定以上の数字だったという。「それだけ簡単かつ安心して決済をしたいというニーズが高いことがわかった。『Amazon Pay』が初めて訪れるECサイトで買い物をするときの負の部分を回収し、購入ハードルを下げてくれている」(友田氏)

また、「サムソナイト」での「Amazon Pay」による購入完了率も、同期間比で45%増加した。7~8月のスーツケースの需要が高まる時期に、顧客の購入意欲が高い状態のまま素早く決済が完了できるメリットが十分に生かされた形だ。

「グレゴリー」は比較的買いやすい価格帯の商品を取りそろえていることもあり、「Amazon Pay」ですぐ購入を済ませるお客さまは多いと捉えている。また、2025年8月には、「グレゴリー」でECサイト専売商品を複数購入すると割引になるキャンペーンを実施していたため、「お得に買いたいが決済に悩む」というお客さまの背中を確実に押せたと思う。

正直なところ、商品ページにボタンの設置を進めていた当初は「サムソナイト」も「グレゴリー」も、「Amazon Pay」の利用率が10~20%程度改善されれば十分喜ばしいと思っていたので、想定をはるかに上回る利用率と購入完了率が実現したことにとても驚いている。(友田氏)

サムソナイト事業部 営業本部 デジタルセールス部 ECマネージャー 友田 由紀子氏
友田氏は商品ページへの「Amazon Pay」ボタン設置の、想定を上回る効果を実感している

今後は「Amazon Pay」主催キャンペーンへの参加や、「Buy Now」の導入を検討

サムソナイト・ジャパンは、自社ECサイトに「Amazon Pay」を導入して感じたメリットについて、改めて以下のポイントをあげた。

利便性の改善

ECサイトでクレジットカード情報を入力・登録することに抵抗やわずらわしさを感じるユーザーに対して、「Amazon Pay」が有効な解決策になり得る。

安心感の提供

ユーザーが日常的に使い慣れているAmazonアカウントで決済できる安心感が、買い物体験やブランド体験の向上につながる。

多様な決済手段を包括

「あと払い(ペイディ)」「メルペイ」など、クレジットカード以外の決済の選択肢を追加で開発せずに導入できる。オプションが豊富でありながら導入がしやすいため、コストメリットが高く、バックヤード業務の負担も軽減できる。

このほか、EC事業者が「Amazon Pay」を導入する際には、ぜひ商品詳細ページでの「Amazon Pay」ボタンの設置を推奨したいという。

どのEC事業者も、コンバージョンを改善したいと考えているはず。サムソナイト・ジャパンにおいては「決済完了までの時間が短縮するほどCVRが向上する」との仮説にのっとり、商品詳細ページでの「Amazon Pay」ボタンを設置したところ明確に効果を発揮しているので、コンバージョンを改善したいEC事業者にはぜひお勧めしたい。

「Amazon Pay」はカスタマーベネフィットと、事業者側のベネフィットの両方がある点に、ほかの決済手段とは違う独自性を感じる。(友田氏)

サムソナイト・ジャパンは商品詳細ページに「Amazon Pay」ボタンを設置した後の結果から、「Amazon Pay」の持つコンバージョンの改善効果をより生かしていくべく、今後は「Buy Now(今すぐ買う)」の導入を前向きに検討している。加えて、Amazonが提供するマーティング施策を積極的に活用したいとも考えており、Amazonが主催するキャンペーンへの参加にも意欲を見せている。

今後も「Amazon Pay」を通じてシンプルでスピーディな購入体験を提供し、ショッピングジャーニーの中にある決済フリクションを取り除いて、さらなる買い物体験の向上に努めていきたい。(友田氏)

Amazon、Amazon.co.jp、Amazon PayおよびそれらのロゴはAmazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。

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