Z世代年齢別の購買起点、ECは25〜29歳で47%。TikTok経由は15〜19歳が27%、実店舗は25〜29歳が60%

調査の結果、Z世代のなかでも年齢区分ごとに消費行動が大きく異なることがわかった。ECが購買起点の最多となっている年齢区分は25~29歳だった

大嶋 喜子[執筆]

6:00

OASIZが実施したZ世代を15~19歳(Z1)、25~29歳(Z2)、25~29歳(Z3)に分けて調査した「Z世代の消費意識・SNS利用実態」に関する調査によると、毎月の自由な支出における主な購買経路は、ECサイトでの購入は25〜29歳(Z3)が47%と最も高かった。また、「TikTok」経由は15〜19歳(Z1)が最多の27%、実店舗は20〜24歳(Z2)が最多で60%だった。

調査対象は全国の15〜29歳の男女1201人。調査期間は2025年9月〜10月。

15~19歳はSNS経由、20~24歳は実店舗、25~29歳はECが購買起点

TikTok、Instagram、ECサイト、実店舗のなかで、毎月の自由な支出について、支出経路で多いものを3つ聞いたところ、「TikTok」経由での購入はZ1(15〜19歳)が27%と最も高く、Z2(20〜24歳)、Z3(25〜29歳)と年齢が上がるにつれて割合が低下する傾向が見られた。実店舗での購入はZ2が60%と最多となり、Z1・Z3を上回った。ECサイトでの購入はZ3が47%と最も高く、Z1(24%)との差が大きく開いた。

OASIZは「Z1はSNS上で流行しているコンテンツやトレンドを起点に、衝動的・直感的に購買へと移行する傾向が強い一方で、Z2は実店舗での体験や共感を重視し、Z3はECサイト上で情報を比較・検討したうえで購入している」と推測している。

毎月の自由な支出について支出経路で多いもの(複数回答可)
毎月の自由な支出について、支出経路で多いもの(複数回答可)

消費タイプの3つの傾向「新しさ」「共感」「安定・堅実」

消費タイプの傾向を世代別に比較すると、Z1(15〜19歳)は、購入によって承認や共感といった“反応”が得られることを重視する「リターン期待型消費」や、新しい・話題性のあるものを積極的に取り入れる「イノベーター消費」の割合が高く、トレンドを起点とした消費行動が特徴的だという。

15~19歳の消費タイプの傾向
15~19歳の消費タイプの傾向

Z2(20〜24歳)は、商品やサービスにどのような背景や思いがあるかを重視する「ストーリー性重視消費」や、実際の体験価値を大切にする「経験重視消費」が最も高く、自分が共感できるかどうかが購買判断の軸となる傾向が見られたという。

20~24歳の消費タイプの傾向
20~24歳の消費タイプの傾向

Z3(25〜29歳)は、知名度や実績があり安心して選べるものを選好する「定番消費」がZ1、Z2と比較して最も高く、新しさよりも信頼性や安定感を重視する堅実な消費スタイルが際立ったという。

25~29歳の消費タイプの傾向
25~29歳の消費タイプの傾向

OASIZは「Z世代向け施策においては、Z1には新規性・拡散性、Z2には共感や体験、Z3には信頼性や情報の厚みを軸としたコミュニケーション設計が有効であることが示唆された」と解説している。

SNS利用目的、年齢とともに娯楽→情報取得→実用に変化 

SNS利用の主目的(1番当てはまるもの)を聞いたところ、Z1層では、「暇つぶし」が最多で45.0%、Z2層では「情報収集」が最多で41.5%、Z3層でも「情報収集」が最多で42.2%だった。年齢とともにSNSの役割が変化していることがうかがえる。

SNS利用の主な目的
SNS利用の主な目的

情報収集の起点、Google検索が最も多いのは25~29歳

新しい情報をどこで知ることが多いかを聞いたところ、Z1(15〜19歳)は、最も多かったのが「TikTok」で68.4%、続いて「Instagram」が60.1%、「YouTube」が56.2%だった。

Z2(20〜24歳)では、「Instagram」が54.8%、「YouTube」が49.8%、「Google検索」が49.3%、「TikTok」が47.1%となっており、さまざまな情報源をバランスよく使っていることがわかった。

Z3(25〜29歳)では最多が「Google検索」で62.8%。「Instagram」が47.2%、「YouTube」が42.0%と続き、「テレビ」は39.9%だった。「Google検索」「テレビ」を情報源にしているのはZ3が最も多い。

新しい情報をどこで知ることが多いか(複数回答可)
新しい情報をどこで知ることが多いか(複数回答可)

購入時のポイントは「話題性」「ストーリー性」「コスパ」

購入時に重視する要素を聞いたところ、Z1(15〜19歳)では「SNS上での話題性」が最多で39.7%、Z2(20〜24歳)では「ストーリー性・共感できる背景」が最多で46.3%、Z3(25〜29歳)では「コスパ・機能・評価」が最多で51.8%だった。OASIZは「Z世代の購買理由は年齢とともに、トレンドや感情を起点とした判断から、より合理的な判断へと移行している」と分析している。

購入時に重視する要素
購入時に重視する要素

OASIZは調査結果を踏まえて、Z1(15〜19歳)はトレンドや勢いを起点に直感的に行動する「トレンド層」、Z2(20〜24歳)は商品やサービスの背景やストーリーへの共感を重視する「ストーリー共感層」、Z3(25〜29歳)は情報収集や比較を前提に合理性・納得感を求める「ロジカル層」として、それぞれ異なる価値基準で意思決定を行っていると分析。「今後、Z世代をターゲットとしたマーケティングやコミュニケーションにおいては『Z世代向け』という一律の設計ではなく、どの層に向けた発信なのかを明確にした“3層Z設計”が重要になる」と解説している。

Z世代の年齢別の特徴
Z世代の年齢区分別の特徴

調査概要

  • 実施主体:OASIZ
  • 調査対象:全国の15〜29歳の男女1201人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 調査期間:2025年9月〜10月

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