アプリ開発プラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を提供するヤプリは1月7日、全国のアプリ運用担当者200人を対象に実施した「アプリ運用実態調査2025」の結果を公表した。公式アプリはECと店舗をつなぐ重要なチャネルとして位置付けられている一方で、「本当はやりたい施策」が実行できていない実態も浮き彫りとなった。
アプリ開発時に重視したポイント
アプリ開発時に最も重視したポイントとして、約半数にあたる49.5%が「導入後の社内運用・更新の容易さ」をあげた。「開発の自由度・拡張性(やりたいことができるか)」が46.2%、「初期開発のスピード」が35.3%と続く。アプリは一度作って終わりではなく、継続的な改善・更新を前提に、開発段階から運用フェーズを強く意識している企業が多い。
アプリの最も重要な成果指標(KGI)
アプリの最も重要な成果指標(KGI)では、「EC売上の向上」が58.5%で最多。次いで「実店舗への送客・売上向上(OMO)」が49.5%だった。アプリはオンライン・オフライン双方での売上貢献が期待されており、事業収益を支えるチャネルとして位置付けられているようだ。3位には「既存顧客のファン化・エンゲージメント向上」(46.0%)が入り、アプリを単なる販促ツールではなく、顧客と継続的につながるコミュニケーションチャネルとして重視している。
アプリでやりたい施策ができているか
一方、「本当はやりたいが、できていない施策」として、「ブランドの世界観を表現するデザイン性」と「商品にたどり着きやすい検索・回遊性」が34.5%で最多だった。機能をそろえるだけでなく、長期的なファン作りにつながるブランド表現と、ストレスなく購入へ導くユーザビリティ(UI/UX)の両立を求めているものの、理想通りには実現できていない状況があるようだ。
やりたい施策が実行できていない理由として、「機能追加・改修に費用がかかる」(52.3%)、「開発企業が対応してくれない」(36.3%)、「運用リソース不足」(33.6%)が上位にあがった。特に開発手法による差が顕著で、フルスクラッチ開発のアプリは、プラットフォーム型と比べて、費用・リソース・実現可能性のいずれの面でもハードルが高いと感じられている傾向がある。
機能追加や改修にかかる期間は、54.0%が「1カ月以上」と回答した。
なかでも「3カ月以上」かかるケースは、フルスクラッチ開発がプラットフォーム利用の約2.6倍に達した。
アプリのデータ活用の実態・連携
データ活用の面では、ダウンロード数やアクティブ率などの基本指標は計測しているものの、「施策に落とし込めていない」とする回答が65.0%を占めた。数値は把握しているものの、具体的な打ち手につなげ切れていない実態が浮かび上がっている。
今後連携したい外部システムとして、「CRM/ポイントシステム」(51.5%)、「MA」(37.0%)、「ECシステム」(35.5%)が上位になった。顧客情報を一元管理し、アプリ以外のチャネルも含めた顧客データを統合的に分析したうえで、アプリからアプローチしたいというニーズが高い。
ヤプリは今回の調査を通じて、企業公式アプリがECと店舗の双方での売上貢献や、長期的な顧客エンゲージメント強化において重要な役割を担っていることが改めて確認されたとしている。一方で、その期待の裏側では、多くの運用担当者が「やりたい施策をやりたくてもできない」という現実に直面。この背景にコスト、リソース、開発環境といった制約が複合的に絡み合った「改善スピードの壁」があると指摘する。
市場や顧客の嗜好が絶えず変化するなか、リリース後にニーズの変化へ迅速かつ適切に対応できない状況は、収益機会の損失に直結しかねない。ユーザーに「使い続けたい」と感じてもらうためには、アプリを単なる完成品ではなく、「成長し続けるサービス」として再定義する必要があるとしている。
調査概要
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2025年11月21日~2025年11月25日
- 調査対象:自社のスマートフォンアプリ(一般消費者向け企業公式アプリ)の企画・開発・運営・改善に関わる全国の男女
- 有効回答数:200人