帝国データバンク(TDB)はは、全国の企業を対象とした「2026年の景気見通しに対する意識調査」の結果を公表した。それによると2026年の景気見通しについて、「回復局面」と回答した企業は11.0%で前年から3.3ポイント増加、2年ぶりに1割を超えた。「踊り場局面」は同1.3ポイント増の43.0%で、3年連続で4割超に。「悪化局面」は同6.5ポイント減の17.4%で、4年ぶりに2割を下回った。「分からない」は同1.9ポイント増の28.6%だった。
TDBでは、景気見通しに関する調査を2006年以降毎年実施しており、今回で20回目となる。
企業規模が小さいほど景気を厳しく見る向き
調査結果を企業規模別に見ると、「回復局面」と見る割合は大企業が11.5%、中小企業が10.9%で、このうち小規模企業は10.5%だった。「悪化局面」と見る割合は大企業が12.8%、中小企業が18.2%で、このうち小規模企業は21.8%。企業規模が小さいほど景気を厳しく見ている傾向がある。
業界別では、「回復局面」と見る割合は「金融」が12.7%で最も高く、「サービス」が12.1%、「製造」「小売」が11.5%で続いた。「運輸・倉庫」は9.0%で最も低かった。一方、「悪化局面」と見る割合は「小売」が23.3%で唯一の2割台。「卸売」が19.3%、「不動産」が18.8%で続いた。「金融」は10.2%で最も低かった。
2026年の懸念材料トップは「インフレ」
2026年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料について、「物価上昇(インフレ)」が45.8%でトップだった。前年は31.5%で、14.3ポイントの大幅な上昇となった。2位は「人手不足」で前年比2.9ポイント増の44.5%。3位は「原油・素材価格(の上昇)」で同10.3ポイント減の35.9%、4位は「為替(円安)」で同0.3ポイント減の30.4%だった。
物価上昇について、飲食料品を中心とした価格上昇が家計を直撃しているとの指摘がある。人手不足を背景に名目賃金が上昇し、その一部がサービスや商品の価格に転嫁されている状況も続いている。原油や素材価格は2022年をピークに緩やかな低下傾向にあるものの、高水準が続いており、依然として物価高の要因になっている。
コストプッシュ型のインフレは2026年も継続すると見られ、収益の圧迫など企業に対する悪影響だけでなく、一般消費者にもさらなる負荷となる可能性がある。企業からは、「少しずつ財布のひもがかたくなっている印象がある」といった指摘もあり、インフレによる一般消費者の節約志向の高まりを懸念する声が寄せられた。
そのほか、「トランプ関税の影響による米中対立および日中関係の悪化による経済への影響が出てきて、景気を悪化させるのではないかと危惧している」といった懸念も寄せられた。
景気回復に求められる政策
景気回復のために必要な政策について、「個人向け減税」が前年比1.3ポイント減の38.3%で最も多かった。「人手不足の解消」が同2.5ポイント減の37.0%、「所得の増加」が同10.1ポイント増の36.6%、「中小企業向け支援策の拡充」が同0.2ポイント増の36.0%、「物価(インフレ)対策」が同13.8ポイント増の32.1%、「個人消費の拡大策」が同2.7ポイント減の31.0%と続いた。
このうち、「個人向け減税」「所得の増加」「個人消費の拡大策」のいずれか1つ以上を選択した企業は64.2%で、個人の可処分所得を増やす政策への期待が強い。一方で、「最低賃金の引き上げや初任給の引き上げにより中小企業の体力が問われる」といった声もあり、「人手不足の解消」や「中小企業向け支援策の拡充」といった企業向けの支援も求められている。
TDBは2026年について、「インフレ懸念が強まるなかで、企業による賃上げのみでは物価上昇を上回る可処分所得の増加は見込めそうもない。消費税の減税や年収の壁引き上げに加え、社会保険料の減額などによって個人消費の拡大を促し、景気回復への活路を見出す政策が求められる」と総括している
調査概要
- 調査期間:2025年11月14日~11月30日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:全国2万4531社
- 有効回答企業数:1万207社(回答率41.6%)
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