最近、SNSのタイムラインにセミナー・イベントの広告が多く流れてくるのですが、タイトルに「勝ち筋」「勝てる」「勝ち抜く」といった言葉を含むものが散見されます。「検索順位や売り上げを他社と競う」という意味では勝ちたい気持ちは当然なのですが、ファンマーケティングのような内容でも「勝つ」がメインテーマのようになってしまっていることに疑問を抱きます。EC事業者としての本懐は、たくさんのお客さんと出会い、選んでもらい、購入してもらい、長く利用してもらうことではないでしょうか。これらのタイトルだけで判断できませんが、勝つだけではない方法を考えていきたいですね。
EC運営で大切なのは「お客さんの気持ちに寄り添う・向き合う」こと
「ペルソナ」も「SEO」も効かない? ポスト検索時代を勝ち抜く3つのマーケティング新常識 | MarkeZine
https://markezine.jp/article/detail/50243
従来のマーケティングは、すでに顧客が検索したり比較したりする「顕在化した需要」が前提だった。SEOやSEMはその典型的なモデルだ。しかしAI検索では、ユーザーが質問を入力する前に、AIが大量のデータをもとに“適切だと思われる選択肢”を提示するようになっている。こうなると、従来のように「検索ボリュームのあるキーワードを刈り取る」戦略は意味を失い始める
要チェック記事
SEO関連
2026年2月のGoogleのDiscoverコア アップデート | Google Search Central
https://developers.google.com/search/blog/2026/02/discover-core-update?hl=ja
多くのSEO従事者が「もう?!」と驚いたかもしれませんが、12月に展開された検索のコアアップデートではなく、「Discover」のコアアップデートです。主な内容は次の通り。
- ユーザーの国に拠点を置くウェブサイトから、地域に関連性の高いコンテンツをより多く表示する
- Discover での扇情的なコンテンツやクリックベイトの削減
- 特定の分野の専門知識を持つウェブサイトから、より詳細でオリジナルでタイムリーなコンテンツを、サイトのコンテンツに関する Google のシステムの理解に基づいて表示する
一時期「Discover対策」のようなハック記事もありましたが、内容をみると「E-E-A-T」の概念に沿う内容のようです。煽る数値や文言でクリックを誘うもの、低品質なコンテンツを除き、エリアや専門性を考慮して、ユーザーにとって品質の高いコンテンツを表示していく方向性でしょうか。
愚直に自社の商品やサービスについて独自性のある内容を発信している事業者にとっては追い風ですね。
「まずは米国の英語ユーザーを対象にして、数か月以内に全世界へ拡大」とありますが、私のクライアントでも少しずつ「Discover」が増えてきている印象があります。その傾向を見ると、筆者の一次情報が豊富で「行った・食べた・着てみた」という体験談に、自分で撮影した写真も添えているコンテンツが多いと感じます。
Google は「必要悪のインフラ」か? トラフィック38%減でも離れられないSEOジレンマ | DIGIDAY
https://digiday.jp/publishers/media-briefing-the-anatomy-of-the-publishers-seo-dilemma/
“今後のSEOは単なる流入数の追求ではなく、エンゲージメントやコンバージョンを重視し、AIに引用されやすい構造化された高品質なコンテンツづくりがカギとなる。”
AIによってコンテンツの数は増え、平均点も上がっていると言えるかもしれません。だからこそ、「Discover」のコアアップデートをみても、量より質のような気がしますね。
マーケティング関連
【サンリオ流】1年目で身につけたい! Webマーケティング「5つの基本」 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2026/02/12/51993
“サンリオはハローキティの会社ではなく、多数のアイドルキャラクターがしのぎを削る“タレント事務所”だった”
サンリオのWeb担当者の話は商材を問わず参考になる点が多いと思い、ピックアップしました。
キャラだけではなく、ECサイトでもある程度育ってくると、人気商品が複数になることも“あるある”ですね。それがしのぎを削るのか、足を引っ張り合うかでも、成長曲線は雲泥の差のはず。
セレクトショップやモール型だと、ブランドやカテゴリによって部署が違うことで問題が起きるケースも見てきました。
“自分が直接関わらないサイトであっても、自社が運営するサイトの数や種類を把握して、その関係性や立ち位置を理解しておかないと、施策同士がぶつかる危険があります”
ECモール、自社サイト、コンセプト違いの2号店など複数店舗を運営している事業者さんも多いと思います。だからこそ横との連携、対話をしながらそれぞれの動きを把握することは大切ですね。サンリオの5つの基本、必見です。
「勝手に記念モデル出すな」…「栃木レザー」の“偽広告”が横行 「病気の父を助けて」「つぶれそう」露骨に情に訴える悪質手口に憤り | FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/articles/-/1000907
"栃木県の老舗ブランド「栃木レザー」をかたり、格安でバッグを販売する偽広告がSNSで相次いでいる。"
周囲のECサイトでも同様の被害を見聞きします。こんなことでクレーム対応させられては、たまったものではありません。SNSの縦型動画にはAIで生成したものも含め、常軌を逸した広告が溢れています。
TikTokでは、インフルエンサーを用いたショッピング広告も増えていますが、有名企業の商品を「めちゃクソうまい」「バズりちらかした」といったテロップで紹介しているものもあります。
味に対して「クソ」という言葉を用いたり、人気の指標に「散らかる」を用いたりすることに抵抗感があるのですが、これも今どきの表現なのでしょうか。少なくとも出稿企業は代理店任せにせず、ブランド毀損(きそん)にならないよう、努めていきたいですね。
フューチャーショップが提供するECレビュー基盤「future Review」 提供開始からわずか2か月でレビュー投稿率は1.9倍、投稿数は2.3倍に拡大の実績も | フューチャーショップ
https://www.future-shop.jp/news/2026/02/12.html
投稿率、投稿数共に倍というのは驚き。自社ECサイトでは、モールよりもレビューによる「ひとけ」の重要性を感じます。
「楽天市場」出店者向けのセミナーでも「レビューには返信しないとだめですか?」という質問をいただくことが多いです。レビュー投稿の促進はもちろん、真摯にレビューに返信することで売上増につながることは大いにあると思います。
リリースでは実際のレビュー活用店舗の体験談も掲載されているので、EC事業者は必見です。
今、みなさんにお伝えしたいこと
「会話」と「対話」は似て非なるもの。仕事をスムーズに進めるための「共通言語」をつくる対話の技術 | STUDY HACKER
https://studyhacker.net/yosuke-horikoshi-interview02
「そもそも〇〇とは?」といった深く考えて探求する、あるいは互いの本音の考えを理解し合おうとするような場合には、会話は適さない
「会話と対話は似て非なるもの」。今回の「ネッ担まとめ」は、向き合うことの大切さを改めて考える内容が中心でしたが、マーケティングもレビューも、お客さんと向き合い、対話する絶対数の上に育まれるものだと思っています。
「社内のコミュニケーションは取れている」と思っている経営者の話をよく聞くと、それは対話には達しておらず、会話で止まっていると感じることも。
EC運営上でも「そもそもこのページは何のため?」「なぜこの価格なのか?」「アクセスはあるのに売れない」といった「そもそも」は多いはずなのに、おざなりにしていませんか? お店の「伝えているつもり・わかるだろう」という考えと、お客さんの「わからない」気持ちが平行線になっていませんか?
少し掘り下げて「共通言語」を探ってみると、お客さんとお店、スタッフ同士のズレがチューニングできるかもしれないですね。
それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。
「新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ」は以下の専門家が連載しています。
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。
ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。
Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

こちらの記事もタイトルに「勝ち抜く」というワードが含まれていますが、内容的には“生き抜くため”にという感じかも。
AIによる概要(AI Overviews)を目にしたり、AIツールで絞り込んでくるユーザーも増えたりすることが予測されるなか、検索ボリューム、サジェスト、関連する質問に出てくるキーワードを盛り込むだけのコンテンツでは、人にもAIにも選んでもらえなくなりそうです。
その結果、検索での表示回数やアクセス数は減少するかもしれません。しかし絞り込んでくるからこそ、サイトへのエンゲージメントは上がることも多いはず。
だからこそ、質の高いコンテンツでアクセスを獲得し、コンバージョンにつなげる設計が重要になります。ECサイトが生きていくために大切なのは「勝つ」ではなく、お客さんの気持ちに寄り添い、向き合うことですね。