酒匂 雄二[執筆] 8:00

この1か月、地方創生事業を主なテーマとしたセミナーで、新潟、福島、奈良、宮崎、大阪、岡山で登壇してきました。その多くはSEOやECに関するものでしたが、シリーズ講座の1回目では1分間の自己紹介ワークショップを行います。最初は皆さん「今さら?」といった顔をすることもあるのですが、短い時間でプレゼンする「エレベーターピッチ」という言葉もある通り、ECサイトでもここが重要だと考えています。まずは皆さんも自社のことを「5W1H」で伝えられているか、見直してみませんか?

SEOに絶対はない。絶対と言う会社を絶対に信じない

SEO対策会社への依頼時の注意点 Google「検索1位に秘訣なし」 | ツギノジダイ
https://smbiz.asahi.com/article/15432125

Googleにさえ、次のような営業メールが届くことがあるそうです。

 「貴社のウェブサイトにアクセスしたところ、ほとんどの主要な検索エンジンとディレクトリに登録されていないことがわかりました」

「釈迦に説法」ともいうべき事象ですが、私の周囲の各業界のプロフェッショナルにもこうした営業メールが届くと聞きます。

深夜に複数回、同じ会社から届くこともある、フォームツールなどを使った無差別営業なのでしょうが、そうした会社の「Googleビジネスプロフィール」には星1つの「迷惑営業をやめて」というクチコミも散見されます。これは顧客無視の手法で最適化とは程遠いものですよね。

以前、Googleのイベントで「絶対というSEO業者を絶対信じてはいけない」という話もありましたし、先日もSNSの広告で「1位に上位表示」というキャッチコピーのセミナーを見かけました。「頭痛が痛い」的な気もしますが、「SEOに強いツール」というのも個人的には違和感があります。いずれにしても、SEOは恒常的・中長期的にユーザーと向き合い実践していくものではないでしょうか。

そのことを経て、改めてSEOの「O=Optimization」は「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」ということを、お客さんに向けてどれだけ発信できているか? ではないかと感じています。

そして冒頭の「なぜ最初に1分で自己紹介を行ったか」という理由ですが、日本人が1分間に読める文字数は平均して600文字前後というデータがあります。

新規ユーザーのサイト滞在時間を見てみると、1分を切るサイトは多くあります。セミナーでは、自己紹介ワーク終了後に「まずは1分で自社の魅力、主力商品、お店の人となりを伝えるページを作るためです」とタネ明かしをします。Googleのことはさておき、「まずはサイトに来てくれたお客さんのための接客に全振りしましょう!」ではないでしょうか。

10月1日の石田さんの記事(https://netshop.impress.co.jp/node/12933)でも触れている通り、「生成AIの時代こそ『考える力』が大切」ではないでしょうか。また、9月25日の中林さんの記事(https://netshop.impress.co.jp/node/12910)でも「『画面の向こう側には、人間がいる』ということをよく話します」と触れています。

お客さんのために考えることを止めてしまっているお店の商品を買いたいと思うでしょうか。AIがそこに追いつくにはまだまだ時間もかかりそうです。

そもそも考えることを止めたとき、人は人でなくなってしまうような気もします。人が人と売買をする以上、AI活用を「どの領域でどこまで行うか」を社内で決めることも重要ではないでしょうか。

冒頭で紹介した記事では、SEO業者に依頼する際の注意点や面談するときに役立つ質問一覧がまとめられているので、今後SEO業者を選定する際はぜひ参考にしてみてください。

要チェック記事

2024年8月のコアアップデートに関するGoogleのダニー・サリバン氏へのインタビュー | アイオイクス
https://seojapan.com/column/interview-google-august-core-update/

Xアカウント「Google SearchLiaison」の“中の人”でも知られるダニー・サリバン氏のコアアップデートに関するインタビューの日本語翻訳。

非常にボリュームが多いですが、3月・8月のアップデートの変化、今後に向けて、コンテンツマーケティングの取り組み方などサイト担当者は知っておいて損がない情報ばかり。必読です!

129日後にGoogleインデックスから消えるURL【SEO情報まとめ】 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2024/09/20/47758

「129日間 再クロールされないURLはインデックスから消える」

サイト運営者が聞くと背筋が凍りそうな見出しですが、10万件以上のURLを対象にした調査結果に基づくレポート。確かにこのレポートで頷くポイントも多くありました。

未クロールやインデックス未登録のコンテンツに対して、「Search Console(サーチコンソール)」からクロールリクエストを送信するだけではなく、コンテンツの品質を見直して高めていくことの重要性を再認識する記事です。

【EC事業が大幅成長のコメ兵】サイトの表示速度改善が購買体験を向上!SEO対策にも寄与 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/12483

EC事業が右肩上がりで成長しているというコメ兵のEC戦略のインタビュー。「表示速度がSEOを左右する」とありますが、検索順位よりも、表示速度改善によって来訪したユーザーの体験価値が向上したことによるものが大きいかもしれません。

“商品の選びやすさ”という店内の居心地に直結する部分ですから、これも最適化ではないでしょうか。

閉鎖病院のHPを再公開疑い、会社役員の男を書類送検 取り扱う健康食品の広告掲載 | 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20240911-7BKFCDM5YNI3DGG33A36IYZ7IM/

2024年春の「Googleコアアップデート」時に明記されていた「期限切れのドメインの悪用」「サイトの評判の悪用」にも抵触する内容かと思いますが、容疑は「写真を再公開し、撮影した写真事務所の権利を害した」著作権法違反でした。

それでも、こうしたなりすましサイトが事件化されることは、詐欺に遭う人を減らすことにもつながるかもしれません。「インチキはダメ、ゼッタイ!」ですね。

SEOコンサルティングサービスに期待することは、オーガニックトラフィックが継続的に増加しているか!契約更新は費用対効果で判断【ランクエスト調査】 | マナミナ
https://manamina.valuesccg.com/articles/3702

「SEOコンサルティングサービス契約を更新したか?」という質問に対し、「いいえ」と回答した人は55%。主にSEOやコンテンツマーケティングの伴走支援をしている身として、考えさせられる記事です。

冒頭で紹介したような「絶対保証」や「Googleのアルゴリズムを完全ハック」という謳い文句で営業を受けたという話も見聞きするなかで、自分自身の仕事のスタンスも見直したいと感じました。

SEOをお願いするかどうか考えているEC事業者の皆さんにとっても、気をつけるべきこと、参考になることがあるのではないでしょうか。

【信頼できるメディアは?】WEB検索は57.1%が「信頼できる」と回答、一方でXやテレビは...? | BIGLOBEニュース
https://news.biglobe.ne.jp/economy/0927/prt_240927_6750439794.html

「信頼できる」の割合をみると、AI検索の情報が16.8%、テレビの情報は46.4%でした。オーガニック検索の信頼度は57.1%で、AIと比べて高いですね。だからこそ「E-E-A-Tの概念が大事」ということにもリンクしてきそうです。

そのほか、XやYouTubeについてのアンケート結果が見られますので、ご参照ください。

今、みなさんにお伝えしたいこと

「晴レのワッフル」がビジネスプランコンテストで優秀賞をいただきました! | レプタイル
https://www.reptiles.co.jp/archives/repnews/5393/

創業当時から交流があり、メンターとしてお手伝いしてきたレプタイル(岡山県津山市)が運営するワッフルを中心としたカフェ「晴レのワッフル」が、「岡山県しんきん合同ビジネス交流会」のビジネスプランコンテストで優秀賞を受賞しました。

2024年2月にオープンしたばかりですが、Instagramのリール動画(https://www.instagram.com/reel/C7ljmJGp0NT/)は10月5日時点で937万回再生を超える人気になっています。

現在準備を進めているサイトの打ち合わせでは、「こうしたい」「こう思うがどうか?」などの質問が飛び交い、「GA4」や「サーチコンソール」の活用についてもお伝えする時間がありました。

入社3年目の若いスタッフ主体で立ち上げたプロジェクトが早々に受賞するのは、私にとっても本当にうれしい出来事です。自分が従事していたECサイトを伸ばすために学んだSEOやSNS活用の知識・経験がどんどん若い世代につながっていることを感じられた、幸せな一時でした。

コロナ禍が過ぎた今、ようやく自己紹介で「ECで地方創生のお手伝いをしています」と胸を張って言えるようになってきた気がします。

それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

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