酒匂 雄二[執筆] 7/9 8:00

「ChatGPT-4」の登場あたりから、にわかに盛り上がりを感じるAI界隈。2024年6月17日にソフトバンクがAI系スタートアップのPerplexity(パープレキシティ)社との戦略的提携と、「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEMO」の3ブランドでAI(人工知能)検索エンジンの有料版「Perplexity Pro(パープレキシティ プロ)」の1年間無料トライアルを実施することを発表しました。

「Googleトレンド」で直近1年のPerplexityの検索人気度を見ると、2023年7月~2024年2月まではほぼ横ばいだったのが2月後半で3倍になり、ニュースが報じられた直後にはそこから4倍、つまり半年で12倍近く増えた動きになっています。

「ChatGPT」や、“検索AI”と紹介されることが多い「Perplexity」経由の流入など、SEOへの影響も無視できなくなっていきそうですね。

信頼できる情報源の取り扱いや、「盗用疑惑」にも問題を抱えている

「ゴミを食べ、ゴミを吐く」、ベゾスも出資するAI検索エンジンの品質問題 | Forbes JAPAN
https://forbesjapan.com/articles/detail/72055

情報源自体がバイアスや不正確さを含んでいる場合、そのデータを基に構築されたアプリケーションは最終的に「モデル崩壊」という現象を起こす可能性がある

HTMLの生成、要約など重宝する機能が豊富な一方で、Googleの「Gemini」が「ピザ生地にチーズを貼り付けるには接着剤」と回答したことがニュースでも報じられ、事実ではない情報を生成するハルシネーション(幻覚)や誤引用なども問題になっています。

一般的ではない特定のトピックやニッチな情報では、高品質な情報が不足している可能性を理解しながら活用したいところです。AI依存ではなく、人との共存共栄が重要ではないでしょうか。

今回の記事タイトルは、上記記事からの一部引用ですが、映画「ブレードランナー」の原案として有名な『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を彷彿とさせ、約半世紀前のSF小説の世界観が現実味を帯びてきているような印象すらありました。

「PerplexityのAIがクローラーをブロックするrobots.txtを無視している」との指摘に対しCEOが「無視しているわけではないがサードパーティーのクローラーに依存している」と主張 | Gigazine
https://gigazine.net/news/20240624-perplexity-crawler/

Perplexityのアラヴィンド・スリニヴァスCEOが、「robots.txtの指示を無視しているわけではない」「自社のクローラーだけでなく、サードパーティーのクローラーにも依存している」と釈明しました。

自社オリジナルのコンテンツがAIのトレーニングに使われると、第三者が悪意なく生成AIで再コンテンツ化することも考えられます。自分のコンテンツが再生成されることはSEO担当者にとっては死活問題になりかねません。逆に自分自身が誰かのコンテンツを無意識に盗用していたということも避けたいところ。

AIスタートアップには著作物を守る対応も求められるのでしょうが、EC事業者がAIを利用した際は、公開前の人による監修を忘れず、健やかなサイト運営を心がけていきたいですね。

要チェック記事

ソフトバンクユーザーなら1年間無料で使えるAI検索「Perplexity」とは? その活用法と注意点 | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2406/29/news059.html

2023年末、友人から「子供と出かける場所を探すのに使っている」と教えてもらい使い始めたのですが、手軽さ・便利さを感じています。

検索順位と引用がリンクしているのかなと感じましたので、SEOを頑張れば「Perplexity」からの流入も獲得できるかもしれません。過去に「Perplexity Pro」を利用していた場合、無料サービスが適用されないケースもあるとのことで事前確認を。

Notionがウェブサイトに 「Notionサイト」カスタムドメインなど強化 | Impress Watch
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1603305.html

コンテンツの作成・編集を支援する「NotionAI」や、タイトル、ディスクリプションなどのカスタムSEO設定も充実とのこと。ノーコード+AIのサイト作成ツールもどんどん増えてきますね。

Google検索変動: アフィ/レビューサイト没落 → EC/クチコミ躍進の時代か【SEO情報まとめ】 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2024/06/28/47264

2024年3月のコアアップデート以降、「2024年最新のおすすめ◯◯ △選」のようなアフィリエイトサイトやレビューサイトが検索上位から消え、検索順位が押し上げられたケースが筆者のクライアントでもいくつも確認できています。

メディアECのKPIには何を設定すれば良い? 押さえておきたいポイント+事例で解説! | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/12406

自社でSEOに取り組んでいるECサイトには参考になる記事です。「GA4」では数だけでなく、セッション時間やエンゲージメント率などの質を見ていくと、「ユーザーがお店に求めているものは何か」という手がかりにもなりそうですね。

【月間100件のリード獲得企業に調査】93.8%が「自社サイトの強化と関係がある」と回答!BtoBマーケでリードを増やすコツとは? | リンクアンドパートナーズ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000064362.html

月間100件以上リードを獲得しているBtoB企業のマーケティング担当者に実施した調査ですが、「9割以上が『自社サイトやSEOコンテンツの強化はリード獲得件数に関係がある』と回答」したというのは興味深いですね。

今、みなさんにお伝えしたいこと

宗像大社から足をのばして 気のいい河童と巡る贅沢な海鮮グルメ | 翼の王国
https://tsubasa.ana.co.jp/entertainment/yokai/kyusyu/fukuoka2024-07/

妖怪を知ることは人間を知ること。古の人々が河童に託して後世に何を伝えたかったのかに思いを馳せるのは、なんとも豊かなひとときだ。

あるECサイトのコンテンツを読んでいくうちに、欲しかったはずの商品なのにどんどん興味が失せてしまいました。「文章から感じるこの違和感はもしかして?」と、その文章を複数のAI判定ツールにかけると平均で87%という結果に。

本当に人間が書いたものでそこまで機械的に判定されるのなら、見直した方がいいかもしれません。何より、「それがAIか人間によるものか」「SEOに良いか悪いか」ではく、買う気が失せる無機質な文章はユーザーに「最適化」されたサイトではないのかもしれませんね。

最後にご紹介したのは、愛読しているANAの機内誌『翼の王国』の「ニッポン47妖怪さんぽ」という特集の1つです。

今回はAIとSEOを中心に紹介しましたが、同誌からは「プロのライターさんってやっぱりスゴイな」と感じることが多く、未知の土地の匂い、音、温度、味などを感じさせてくれるような文章に機内で感嘆することも少なくありません。人の感情があふれる文章って本当に魅力的ですよね。2022年10月からWeb版も開始されているので、読んでみてはいかがでしょうか。

妖怪を知ることが人間を知ることなら、AIを知ることも人間を知ることなのかもしれません。であれば人間のことを知らない人間が、ましてやオンライン上で、人間の顧客に気持ちの良い購買体験を提供できるのだろうかと思うのでした。

それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。

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