群馬県安中市で、観光分野に生成AIを活用する取り組みが始まった。一般社団法人安中市観光機構(安中市DMO)と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2月10日、一般社団法人関東広域観光機構(関東広域DMO)と連携し、生成AIを活用した次世代観光案内サービス「観光AIコンシェルジュ」を開発したと発表。1月から安中市で提供を開始し、旅行者1人ひとりに合わせた提案を24時間・多言語で行い、地域観光の課題解決と消費拡大を支援する。
会話型で周遊・消費を促進
「観光AIコンシェルジュ」は生成AIを活用し、地域の観光資源を横断的に案内する仕組み。旅行者の興味関心や滞在時間、天候、移動条件などを踏まえ、飲食店や体験プログラム、立ち寄りスポットを自然な会話形式で提案する。複数のサイトや案内所に分散していた情報を収集・統合し、効率的に提供することで回遊性の向上を図る。
「観光AIコンシェルジュ」はブラウザ型で提供し、専用アプリは不要。スマートフォンでQRコードを読み込むと専用サイトにアクセスできる。24時間・多言語対応により、営業時間や人手不足による機会損失を抑制。混雑状況やイベント情報も踏まえた提案で満足度の向上をめざす。
ふるさと納税・地域ECへの導線も設計
ふるさと納税や地域ECサイトへの導線も設計した。滞在中だけでなく、旅行後の購買にもつなげる狙い。対話ログを分析することで、旅行者の関心や潜在ニーズを可視化。地域マーケティングや商品企画・開発にも活用し、継続的な観光価値創出につなげるとしている。
3者が連携、DMP分析を基に設計
連携する3者の役割は次の通り。
- 安中市DMO
地域課題や観光戦略に基づく導入設計、地域事業者との連携推進を担い、インバウンドを含む受入環境整備や周遊・消費促進を推進。 - CTC
地域活性化ソリューションの提案・構築・運用を担当し、戦略に沿ったサービスの実装を担った。 - 関東広域DMO
DMP(データマネジメントプラットフォーム)による分析情報の提供、広域視点での戦略立案・横展開支援を担当。来訪者属性など来訪に直結するデータ分析と戦略支援を行った。
関東広域DMOのDMP分析によると、安中市では豪州を中心とした海外からの来訪者が増加する一方、多言語対応や電子決済など受入環境整備に課題があることが明らかになった。
また、観光客の滞在時間が短く、地域内での周遊や消費が伸び悩んでいることも判明。従来のFAQや紙パンフレット、Webサイトでは多様なニーズや即時性に十分対応できず、機会損失が発生していた。
安中市DMOが主催する体験プログラム「廃線ウォーク」では、体験後の周辺情報提供が不足し、周辺観光地である磯部温泉や飲食店、土産店への誘導につながりにくい点も課題となっていたという。
DMO連携による観光DXモデル
今回の3者による取り組みは、観光庁の「世界に誇る観光地を形成するためのDMO体制整備事業」における専門人材制度を活用。関東広域DMOが人材を登用して実施した。地域DMO、広域連携DMO、IT企業が一体となった観光DXモデルとして先進的な事例という。なお、観光庁の補助事業の活用も視野に入れているという。
3者は今後、安中市における観光高度化を段階的に進めるとともに、他地域のDMOや自治体、観光関連事業者への横展開もめざす。地域の実情に即した導入・運用ノウハウを整備し、観光産業の生産性向上と持続可能な地域経営への貢献を図る。
