ファーストリテイリングはこのほど公表した「統合報告書2025」で、デジタル業務変革の考え方について明らかにした。
経営判断の中心は「顧客」
「お客様が本当に欲しい服を、欲しい時に、すぐ買える」という状態の実現をめざし、2017年に事業経営の変革を推進する「有明プロジェクト」を立ち上げたファーストリテイリング。情報を起点に、企画・生産・物流・販売をつなぐ「情報製造小売業」の具現化と進化をめざしている。
ファーストリテイリングの経営判断の中心は顧客にある。顧客の要望に応えるため、現場が自ら考え、実行できる人材が業務プロセスを変革し、そのプロセスを再現性のあるものにするためにデジタルを活用する。この働き方こそが成長の原動力だとして、「デジタル業務変革」と「人材育成」を両輪で進めてきた。
その結果、顧客の声や商売の情報、商品の動きを、本部と店舗が細かくタイムリーに確認し、異常値や商機を素早く検知できるようになったという。ファーストリテイリングは、この基盤をさらに進化・活用していく方針だ。
デジタル化の前提は「現場の業務を知ること」
デジタル業務変革の基本となる考え方は、1993年に創業者の柳井正氏が記した社内メモに残されている。タイトルは「業務=システム」。そこには、最も重要なのはデジタル化の前に業務の標準化、マニュアル化、計画化を行うことだと記されている。
デジタル技術が急速に進展した現在でも、この考え方は業務変革の核心で、ファーストリテイリングのデジタル業務変革もこれを基本に進めてきたという。
変革の推進部署であるデジタル業務改革サービス部は、現場を知り、現場から「最も良いやり方」を学び、それを再現性のある仕組みに落とし込むことで、全社・全領域の業務プロセス改革を支援。効果が出るまで改善・改良を繰り返す「粘り強さ」も特徴だ。
デジタル業務変革がめざす3つの目標
ファーストリテイリングは、企画・生産・物流・店舗・本部を一貫して管理できる体制を強みとし、顧客起点のデジタル業務変革を進めてきた。変革にあたり、次の3つの目標を定めている。
「欲しい商品が常に品揃えされている」状態を作る
グローバルで寄せられる膨大な顧客の声を一元化・可視化することで、要望や不満を把握しやすくし、商品の改善・開発、人気商品の増産・再販につなげる。
SKUレベルで欠品を減らし、計画を連動・最適化する
売れ行きに応じた販売計画の修正を起点に、生産計画・販売計画・物流計画の連携、工場との情報共有、倉庫配分、店舗・ECへの配送最適化を進めることで、「欲しい商品が確実に手に入る」状態をめざす。
「簡単・便利・待たずに手に入る」購買体験を提供する
デジタルを最大限に活用し、店舗業務の効率化と同時に、店舗とEコマースが一体となった購買体験を提供していく。
ファーストリテイリングは、全領域でデジタル業務変革を推進する姿勢を明確にしている。現場それぞれに「最も良いやり方」があることを前提に、世界各地の拠点を訪れて現場メンバーと対話を重ね、課題を抽出し、変革プランの策定に生かしているという。
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