家電量販店を展開するケーズホールディングスは、2025年3月期〜2027年3月期を対象とした「中期経営計画2027」で、重点施策の1つに掲げるているのがDXによる業務効率化と売上拡大だ。なかでもEC領域では、オンラインショップの利便性向上、出荷拠点の集約、OMOを含む店舗連携強化を柱に据える。2027年3月期中にはECサイト刷新による新サイトのリリースを予定しており、EC売上高を2024年3月期比で倍増させる目標も掲げている。
ケーズホールディングスのDXは単なるECサイト改修にとどまらない。店舗業務の効率化、本社業務の省力化、商品情報管理基盤の刷新、AI活用、人材育成まで含め、全社横断で構造改革を進めている。EC強化も、その一環として位置付ける。
中計の重点施策は「EC利便性向上」「店舗業務効率化」「システム基盤強化」
ケーズHDはDX戦略の重点施策を大きく3つに整理している。1つ目は、ECと「あんしんパスポート」アプリの利便性向上による売上拡大。2つ目は店舗業務の効率化。3つ目は、社内システム刷新による基盤強化と本社業務の効率化だ。
EC領域では、次の施策を重点的に進める。
- オンラインショップのUI改善による利便性向上
- 店頭受け取りの強化
- 出荷拠点集約による物流効率化
- EC売上高の倍増
- 「あんしんパスポート」アプリの機能強化
EC成長を、「集客」「UI改善」「店舗受取」「物流効率」「アプリ活用」を組み合わせた複合施策で実現する考えだ。
2027年3月期中に新ECサイトをリリース
DX施策の中核となるのがECサイトの刷新だ。目的は、顧客利便性向上による売上拡大と、EC価格対応の迅速化によるシェア拡大。2027年3月期中に新ECサイト公開を予定している。
これまでの取り組みとして、インターフェースデザイン改良、商品検索性向上、価格調査体制の見直し・強化、デジタル広告強化などを進めてきた。
出荷拠点集約で受注能力を強化
EC売上倍増を支える基盤として、物流体制の見直しも進める。DX投資の1つとして、EC出荷体制強化による受注能力向上を目的に「EC出荷拠点の集約化」を推進。2025年3月期には、一部地域で発送拠点集約のテストを実施した。2026年3月期には発送拠点の集約化を本格的に進めた。
OMO推進で店舗との相互送客を強化
ケーズHDは、ECを単独チャネルとして強化するのではなく、店舗との連携を前提としたOMO施策も推進している。「ECサイト取組強化」の目的は、店舗連携による相互送客の実現。具体的には店頭受け取りを強化しており、店頭受取件数は2025年3月期に前期比6%増、2026年3月期には同18%増となった。
アプリ刷新や電子レシート導入も推進
スマートフォンアプリの刷新も重点施策の1つに位置付ける。狙いは、顧客利便性向上と個別マーケティング強化による売上機会拡大。2025年3月期には「あんしんパスポート」アプリ内の顧客情報整理を進め、2026年3月期にはトップ画面のリッチ化を実施した。また、電子レシートの導入も進める。これも顧客利便性向上と個別マーケティング強化を目的とした施策として位置付けている。
店舗DXや基幹システム刷新も推進
今回の中計では、EC強化を支える周辺領域のDXも同時に進めている点が特徴だ。店舗業務効率化では、POSシステム刷新(タブレット化)、ストアコンピュータ廃止、店舗・本部間コミュニケーションツール見直しなどを推進。これまでに、POS返品処理操作の簡素化、ネットワーク回線見直し、社内携帯見直し、タブレット型POS導入着手、社内チャットボット活用開始などを進めた。2027年3月期には、接客時の手書き商談メモの電子化もリリース予定としている。
また、社内システム基盤強化では、ECシステム刷新、本社バックオフィス効率化、商品情報管理基盤刷新、データ統合・連携、生成AI活用、クラウド活用加速、IT人材育成・増員などを推進している。2026年3月期には、商品情報管理システムの稼働開始、基幹システムのクラウド移行完了、一部商品を対象とした商品在庫管理へのAI導入などを実施した。

