楽天グループの広告事業が好調に推移している。AI活用の推進を背景に、国内ECの収益性向上への貢献が鮮明だ。「楽天市場」で導入したRPP(楽天プロモーションプラットフォーム)広告の自動最適化が、出店店舗の売上拡大と楽天側の広告収入増に寄与している。
広告事業の売上収益は、2024年1−3月期(第1四半期)の519億円から、2025年1−3月期には前年同期比5.6%増の548億円、2026年1−3月期には同13.0%増の619億円へ拡大した。楽天はこの要因に、AI活用の推進、「楽天市場」におけるRPP広告の自動最適化の適用などをあげている。

AI活用で広告運用を高度化、国内EC収益性向上に貢献
楽天は広告事業の強みとして、グループ内に蓄積する豊富なデータと、圧倒的な訪問数を持つグループサービス群をあげる。広告主は楽天グループ各サービスのパートナー企業や「楽天市場」の出店店舗、外部広告主などで、広告掲載先は楽天グループの各種サービスに加え、GoogleやMetaなどの外部媒体にも広がる。
その中核となるのが「楽天統合広告プラットフォーム」だ。オンライン購買データ、オフライン購買データ、検索データ、位置情報データ、広告データなど、事業横断のデータをリアルタイムかつシームレスに統合し、AIによって広告運用の高度化と効率化を進めている。こうした仕組みによって、より多くの変数を広告配信やターゲティングに反映できる体制を整えている。

楽天ID基盤と購買データがAI時代の広告競争力に
楽天は、AI時代における広告事業の強みとして、「データ品質」「効果測定」「網羅性」の3点を打ち出している。
データ品質の面では、楽天IDにひも付いた実購買データを保有している点を強調。一般的な広告ビジネスが検索・閲覧履歴などの推測ベースのデータに依存しやすいのに対し、楽天は実際の購買データを活用できる点が差別化要因になるという。
効果測定の面では、共通IDを基盤に、認知から購買まで分断のないフルファネルでの測定が可能。Cookie規制の強化で従来型のトラッキングが難しくなるなかでも、広告接触から購買までを把握しやすい点を優位性としている。
さらに網羅性の面では、楽天エコシステム全体を通じて、多様で継続的なデータ蓄積が可能という。単一サービスごとのデータ収集・分析にとどまりがちな一般的な広告モデルに対し、複数サービスを横断したデータ活用ができることが、AI活用時代の強みになるという見立てだ。

RPP広告自動最適化で、店舗売上と楽天収益の双方を押し上げ
AI活用の具体例として示したのが、「楽天市場」におけるRPP広告の自動最適化だ。楽天は2025年7月から、「楽天市場」のRPP広告に自動最適化機能を順次導入し、同年11月に全店舗向けへの導入を完了した。
RPP広告の自動最適化は、楽天が保有するデータとAIを活用し、配信面ごとの配信量や入札の強弱を最適化する仕組み。導入前後を比較すると、RPP経由の「楽天市場」GMS(Gross Merchandise Sales、流通額)は13.8%増となり、RPP利用店舗の売上増加に寄与した。また、楽天のRPP広告収入も10.9%増加したという。
楽天はこれらの結果について、AIによって出店店舗と楽天の双方にメリットが生まれる「Win-Winモデル」が実現したと説明している。


