LINEヤフーは2027年3月期の経営方針の柱として「AIエージェント化の推進」を掲げ、ユーザーと企業・店舗の双方でAI体験を再設計する。具体的には、「LINEを起点とした体験進化」と「既存サービスのAI時代適合」を両輪で進め、日常利用の導線にAIを組み込むことで、利用拡大と将来的なマネタイズにつなげる方針だ。

一般ユーザー向けは「Agent i」。「LINE起点」でAI利用を広げる
一般ユーザー向けには「Agent i」を展開する。各サービスをAIエージェント化しながら、対応領域を順次広げていく構想だ。特徴は、複雑なプロンプト入力を前提とせず、タップ中心で目的の情報や商品にたどり着ける“ナビゲーション型”の体験をめざしている点にある。
対象領域としては、「買い物」「おでかけ」「天気」「レシピ」「ヘルスケア」など日常生活に近い領域から、「仕事相談」「日程調整」「航空券手配」「住まい探し」「子育て」まで幅広い分野を想定している。
今後は、情報検索やレコメンドにとどまらず、ユーザーの要望に応じてタスクを代行する方向への発展も視野に入れている。

企業・店舗向けは「LINE公式アカウント」をAI化
企業・店舗向けには「Agent i for Business」を展開。LINE公式アカウントを“ビジネス向けAIエージェント”へ進化させる方針を示している。
接客領域:AIモードで顧客対応を自動化
接客領域では、LINE公式アカウントの「AIモード」を活用し、顧客対応をAIが補完する。多重同時対応や営業時間外対応を可能にすることで、ユーザー利便性と店舗側の運用効率を両立させる狙いだ。LINE公式アカウントのビジネスアカウント数は100万超としており、LINEヤフーはこの既存基盤をAI展開の重要アセットと位置付けている。
運用・分析領域:「Agent i BI」で施策実行を支援
運用・分析領域では、「Agent i BI」を展開する。マーケティング施策の立案から実行、分析までをAIが支援し、担当者の業務効率化と高付加価値業務へのシフトを促す考えだ。LINEヤフーは、こうした領域を“運用のエージェント化”と位置付けている。

マネタイズは「ユーザー/クライアント課金・広告・コマース」
AIエージェント化は現時点では利用拡大フェーズにあるが、LINEヤフーは2027年3月期以降のマネタイズ方針も示している。「AI時代に即した新たなマネタイズモデル」として、次の4方向を整理している。
- ユーザー課金:LYPプレミアム会員を基盤に、コンシューマー向けAI課金プランを拡充
- 広告:エージェント上で「Agent型広告」を提供(現在テスト中)
- コマース:AIによる購買支援を通じてコンバージョン改善や手数料収益につなげる
- クライアント課金:LINE公式アカウントの「AIモード」で課金を盛り込む
単なる広告表示だけではなく、AIとの対話や提案導線の中に収益機会を組み込む構想を描いている。

現在は「利用拡大と磨き込み」を優先
AI関連コストについては、「ソフトバンクグループ全体の枠組みの中でコントロール可能」と説明。2025年度のAIコストは約100億円、2026年度も同程度を見込んでいるという。また、現時点では収益貢献よりも、プロダクトの磨き込みと利用拡大を優先する段階と位置付けている。社内KPIとしては、売上よりも「アクティブユーザー数」を重視しているとしている。
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