シュッピンは2026年3月期、主力のカメラ事業を中心にEC体験の強化を進めた。象徴的なのが、自社ECの商品ページに「商品紹介動画」を掲載し、オンライン上で“接客”を再現する取り組みだ。加えて、オペレーション領域における外部連携による販売プロセス強化、自社ポイントの価値向上など、リピート促進とLTV向上を見据えた施策も打ち出している。
2026年3月期の業績は減収減益、EC売上高も減少
2026年3月期の売上高は前期比1.4%減の519億2400万円。営業利益は同25.3%減の25億3700万円、経常利益は同26.0%減の24億9100万円、当期純利益は同16.6%減の16億8500万円だった。売上総利益率は18.8%と前年からほぼ横ばいだった一方、販管費は同11.8%増の72億1500万円となり、営業利益を押し下げた。
販管費増の背景として、販売促進費(買取・下取見積もりアップ施策、株主優待券など)に加え、従業員のベースアップ実施などをあげている。
EC売上高は前期比3.5%減の392億5800万円。そのうち越境EC売上高は同4.0%減の32億3100万円だった。越境EC売上高は減収となったものの、2026年1〜3月期(第4四半期)単体では過去最高売上を記録した。2026年1〜3月期(第4四半期)における自社ECサイト比率は前年同期比1.7ポイント減の85.7%だった。
カメラ事業では商品ページに紹介動画を掲載、“24時間365日の接客”へ
EC施策では、カメラ事業「Map Camera」における動画コンテンツ施策を強化。YouTubeに「Map Camera SHOWCASE CHANNEL」を開設し、2025年10月から自社ECサイトの商品ページで「商品紹介動画」の掲載を開始した。
狙いは、専門性の高いスタッフならではの知見を生かし、単なる商品説明にとどまらない“対面接客のような体験”を提供すること。これにより、ECサイト上で「24時間365日の接客スタイル」を実現するとしている。
3月末時点で1510製品に対応(カメラ本体995製品、交換レンズ515製品)。さらに、「ECサイト掲載のすべてのカメラ・レンズ商品への対応」を予定しており、コンテンツ整備を拡大していく方針だ。導線面では、ECサイトに動画を掲載してYouTubeへ送客し、YouTube側では関連動画表示を通じて接点を広げるなど、“EC⇔YouTube”の回遊を設計している。

「Camera is Fashion」を掲げ新市場開拓へ
また、シュッピンはカメラ事業で「Camera is Fashion」を掲げ、従来のカメラ専門店の枠を超えた新市場の開拓を進めている。アパレル市場からの新規参入やシェア獲得を視野に入れ、「比較されるECから、共感されるECへ」をテーマに次世代EC戦略を推進。新たな世界観の提案を通じて、ブランドの可能性拡大と継続的な進化をめざしている。

その一環として、2025年9月15日にファッションショーを実施。リアルイベントを起点に顧客接点を創出し、さらにSNSやインフルエンサーを通じて情報を拡散することで、新たな顧客層へのリーチ拡大につなげる考えだ。今後は年2回の実施や全国展開も予定している。
買取〜商品化〜発送まで見直し、外部連携で販売プロセスを強化
カメラ事業で、フクイカメラサービスとの連携を通じて販売プロセスの強化も進めている。2026年3月期には「点検工程の外部連携開始」を実施した。

点検に加え、「撮影・ランク付け・EC掲載まで」の対応領域を拡張し、商品化から国内発送まで一貫対応。リードタイム短縮と生産性改善による在庫回転率向上を図り、収益性の高いオペレーションの実現につなげる。
時計事業でも動画活用を推進
そのほか時計事業では、買取・販売力の強化を進めている。時計事業でも2025年6月からはECサイトの商品ページに紹介動画を掲載する「SHOWCASE VIDEO」を開始。スタッフが商品を手に取りながら特徴を説明することで、店舗に近い接客体験をオンライン上で提供し、購入前の不安解消を図る。掲載本数は700本を超えている。
加えて、委託販売モデルの強化策として、業界初の委託手数料一律キャンペーン「The Premium Owners」も展開。顧客が所有権を持ったまま販売できる仕組みにより、高価格帯商材の取り扱い機会拡大を狙う。
また、時計事業ではAIサポートの活用も進める。市場データや在庫データ、取引データをもとにAIが価格トレンドを予測し、販売・買取価格の設定を支援することで、市場変動への対応力向上や利益確保、損失回避、利益率改善につなげる考えだ。
ポイント払いでもポイント付与、リピート促進へ
CRM/リピート領域では「シュッピンポイント」を活用した商圏拡大を推進。ポイントプログラムの“バリューアップ”として、これまで「ポイント払いはポイント付与なし」だった仕組みを、「ポイント利用時でもポイントを付与する」へ変更した。

期待効果として、ポイント払いでもポイントが貯まることによる顧客満足度向上やリピート率向上、新製品購入時の優位性強化、業界内シェア拡大を掲げる。また、ポイントを活用したフォトコンテスト(受賞者へポイントを付与)など、コミュニティ接点づくりにもポイントを活用している。
そのほか、基幹システムリプレイスによる業務基盤の強化も進めている。3月末に基幹システムのリプレイスを実施し、2027年4月から本格運用を開始する。販売・業務プロセスに最適化したシステムにより、業務データの一元化と全社横断でのデータ活用を推進し、今後の業務効率化およびAI活用の加速につなげていく。
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