GoogleはWebの花を咲かせる太陽? それとも破壊神? 今、検索を取り巻く状況とは【ネッ担まとめ】

2025年6月11日、なかなか刺激的なタイトルのコラムが、英国の大手放送メディア「BBC」に寄稿されました。これまで検索シェア90%超をキープしてきたGoogleに対し、「Google is the Sun that lets the flowers grow.(インターネットを庭にたとえると、Googleは花を咲かせる太陽のような存在)」とたとえる一節もありました。しかし、導入から1年が経過した「AI Overview(AIによる概要:AIO)」によって、Webサイトへのアクセスが大幅に減少していることも指摘されているなか、「AI MODE」によってその傾向がさらに加速するのではないかという懸念が広がっているのも確かです。
目の前にある情報の真偽を確かめることが大切
Is Google about to destroy the web?(GoogleはWEBを破壊しようとしているのか?) | BBC
https://www.bbc.com/future/article/20250611-ai-mode-is-google-about-to-change-the-internet-forever
If Google makes AI Mode the default in its current form, it's going to have a devastating impact on the internet – Lily Ray(もしGoogleが現状のままAIモードをデフォルトにした場合、インターネットに壊滅的な影響を与えることになるでしょう。)
Googleが本当に見ているSEO指標は?AI検索・LLMO時代の本質に迫る|リリー・レイ氏インタビュー | ミエルカ. マーケティング ジャーナル
https://mieru-ca.com/blog/seo-and-llmo-lily-ray/
基本的には、通常のSEOで行っていることと大きく変わらないと思います。
今は「同一人物であっても、1か月・1週間違うだけで見解が変化する」といった状況ではないかと思いますが、「BBC」の記事とミエルカの記事を読み比べると、随分トーンが違う印象です。
「Google Discover」など比較的新しい機能でも広告が表示されていることから、いずれ「AIO」や「AI MODE」に広告が出稿されることは想像に難くありません。Googleは、「Google」利用者が減少し広告収益が上がらなくなることを危惧しているでしょうから、「Google離れ」だけは避けたいでしょう。
私のクライアントでも、「ChatGPT」「Perplexity(パープレキシティ)」「Gemini」からのサイト流入が目に見えて増加しています。従来の検索エンジンからの流入を新しいツールが取りにきていることは間違いないでしょう。
しかし未来予測は本当に難しく、そしてなかなか当たりません。たとえば、2024年5月に下記のような予測記事が出て、SEO界隈では少し騒ぎになりました。
AIの台頭によって検索エンジンからサイトへのトラフィックが2026年までに25%減少すると調査会社が予測 | Gigazine
https://gigazine.net/news/20240523-google-ai-search/
各社のデータを見ても微減なものはあり、あと半年で急減することもゼロではありませんが、現状では考えにくいですね。とはいえ、Googleのサービスも完全無欠ではなく、シェアを取ることなく早期終了したものもあります。
2019年3月に発表したGoogleのクラウドゲームサービス「Google Stadia(グーグル スタディア)」は、「携帯ゲーム機やスマホゲームを滅ぼす存在になりうる」という触れ込みもありました。しかし、サービス期間は2019年11月から2023年1月まで、4年も経たないうちに終了しています。
Googleのような企業でもこのようなことがあるわけですから、新興AIサービスの未来は不確定要素の方が多い気がします。AIの普及・台頭は間違いありませんが、不確定要素に踊らされず、目の前にある情報の真偽、・是非を峻別できるようにしていきたいですね。
要チェック記事
マーケティング関連
「カラーミーショップ大賞2025」受賞傾向&今日からできるショップ改善のヒントを大公開! | よむよむCOLORME
https://shop-pro.jp/yomyom-colorme/105001
ECサイト構築サービス「カラーミーショップ」が主催する、ECサイトのコンテスト。2025年度大賞の「KEY MEMORY Online Shop(キーメモリーオンラインショップ)」は、私が講師を努めた「カラーミーショップ」の講座「カラーミーカレッジ」の受講生店舗でもあり、今回の受賞を大変喜んでいます。
- WordPressを利用したコンテンツマーケティング
- レビュー投稿で顧客の安心感を可視化
- 越境ECアプリを利用した海外販路の拡大
- Instagram、TikTok、YouTubeなど動画SNSの活用
繁盛店が取り組んでいる上記の取り組みは、多くの店舗さんにもヒントがたくさんあると思いますので、ぜひご覧ください。「カラーミーカレッジ」受講後の変化についてのインタビュー記事もあります。
ネットショップも実店舗もDIY! 鎌倉の小さなお店「KEY MEMORY」の起業と成長の話 | よむよむCOLORME
https://shop-pro.jp/yomyom-colorme/66925
店選びは“Googleマップ”が主流? 写真やクチコミが少ない店はスルーされる時代に【ニュートラルワークス調べ】 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/n/2025/06/05/49478
一企業の調査データですが、「お店選びは口コミサイトやSNSより『Google Maps』」というのは興味深いです。
「Googleマップの情報が少ないと『行くのをやめる』が2割弱」
店舗もあるなら、O2Oも重要な売上確保の戦略。SEO、SNSだけではなく、ローカル検索も意識していかねばですね。
地方・50代・フリーランスがこの先どうするのか?-どこかで誰かが見ていてくれると思いながら- | 運営堂
https://www.uneidou.com/22292.php
「ネッ担まとめ」の前任者、森野誠之さんのブログ。EC黎明期に若くして従事した方たちも50代~60代を迎えるにあたり、事業承継、引退など、さまざまな道を選ぶ方が増えてきました。
「特徴がない=ユーティリティープレーヤー」「これからの武器は言語化、棚卸し、裏方力かも?」
かくいう自分も50代が見えてきているなかで、少し先を歩む森野さんの言葉に思いを巡らせました。
SEO関連
AI Mode/AI Overviewはウェブトラフィックを送る、Google CEOが約束 | 海外SEO情報ブログ
https://www.suzukikenichi.com/blog/google-ceo-expects-ai-mode-to-drive-web-traffic/
GoogleのCEOスンダー・ピチャイ氏へのインタビューにて。ピチャイ氏は「『AI Mode』がウェブへトラフィックを送ることを、製品の方向性として非常に重視している」としながらも、本音と建前が見え隠れします。Googleとしては収益を上げることが何よりも重要ですからね。
SEO施策の失敗、8割以上が経験あり。具体的要因と改善策とは?【レオソフィア調べ】 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/n/2025/06/17/49505
8割以上が「SEOの失敗経験があり」と回答し、61.9%が「SEOに関する知識不足」をあげていることから、「正しく健やかな施策を行っている人が思いのほか多いのかも」とうれしくなりました。
商品検索はAmazon内が65%、楽天市場内が54%、Googleが44%。生成AIでの探索は7% | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14236
質問項目によって一律ではない点に注意が必要ですが、500名を超えるアンケートなので、EC事業者は商品検索の現在地の情報として持っておいて損はないでしょう。
マーケターの6割「AI Overviewsによる自然検索流入減」を実感、9割がSEO戦略見直し【Google検索のAI要約の影響調査】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14154
こちらも上記とあわせて。日本在住で自社のWeb広告の運用およびSEOに携わっているマーケティング担当者325人の回答というのは参考になるかもしれません。
今、みなさんにお伝えしたいこと
Octet Men's Fashion Channel | YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC1bnot9VbdsEqm3_xHSwjow
もはや「アフターコロナ」という言葉を見聞きすることも減った昨今。それでも、あの数年が人と人、人とWebの進化・変化に大きく影響したことはあると思います。
あの空白を埋めるように、会いたい人に会いに行く、話したい人と話す時間を大切にしていますが、先日、その1人であるメンズセレクトショップ「オクテット 名古屋」の代表 林啓成さんに会いに名古屋へ行ってきました。
「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」受賞経験もある同店のYouTubeチャンネル「オクテットチャンネル」は登録者約2.7万人を誇ります。最近は、審査通過率5%といわれる音声プラットフォーム「Voicy」も開始しました。
今回、「Voicy」の番組に4本出演させていただいたのですが、自分がとても楽しそうに話している声に我ながら驚きました。SEO、SNS、コンテンツ、AI時代の検索行動についてトークしていますので、ぜひ下記よりお聞きください。
SEOって、もう終わってる?──酒匂さんに聞く“これからの検索”のリアル | オトナ仕事図鑑byハヤシ
https://voicy.jp/channel/880814/6800807
AIツールでポッドキャストも簡単に生成できるようになっている今、むしろ生の人の声によるメディアが見直されそうな気もしています。
それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
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ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。
Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。
冒頭で取り上げた記事がこちら。記事には世界的に著名なSEOコンサルタント、リリー・レイ氏のコメントも掲載されていますが、危機感を抱いているようすが伺えます。ただ、これも「現状のままをデフォルトにした場合」という前提条件がついていることに注意したいですね。
あわせて読んでおきたい、リリー・レイ氏のインタビュー記事も紹介します。