富士経済が5月21日に公表した「通販・eコマースビジネスの実態と今後 2026」の調査結果によると、物販系の通販・eコマース市場は2025年に16兆9712億円となり、2040年には19兆9406億円まで拡大する見通しを示した。

なかでもECの伸長が市場拡大をけん引しており、2025年のEC市場は15兆3194億円に拡大。そのうち、仮想ショッピングモール市場は11兆9254億円に達した。2040年にはEC市場が18兆6589億円、仮想ショッピングモール市場が16兆5000億円まで拡大すると予測している。
調査では、通販形態別でEC比率がすでに9割に達していると分析している。2025年は節約志向が高まるなか、仮想ショッピングモール各社が大型セールやポイント還元キャンペーンを展開し、利用者を取り込んだことが市場拡大を後押ししたという。今後は仮想ショッピングモールに加え、メーカーや小売事業者がECをCRM施策の基盤として活用する動きが広がり、店頭からECへの需要シフトがさらに進むとみている。一方で、カタログ通販、テレビ通販、ラジオ通販などは縮小傾向にあり、市場の中心がECへ一段と集約される構図が鮮明になっているとしている。
物販系通販市場の大半をECが占める状況となるなか、企業・サービスを横断した商品比較や価格比較が進みやすくなる一方、顧客維持や新規獲得に向けては、単なる価格訴求だけでなく、購買体験の創出が重要になると指摘している。
Amazon中心の大型施策やライブコマースが市場拡大を後押し
2025年の市場拡大要因としては、「Amazon.co.jp」を中心とした大型キャンペーンやポイント還元施策が、節約志向の消費者を取り込んだことが大きいとしている。
加えて、ネットスーパー事業の拡充や、ふるさと納税仲介など周辺サービスの広がりによって、仮想ショッピングモールとしての総合力を高める動きも進んでいる。
また、2025年6月には「TikTok Shop」が国内でサービスを開始。「Instagram」や「TikTok」などSNS上で情報収集する若年層の新たな購買先として、ライブコマースの定着が進みつつあると分析している。
日用品・食品・家電が市場拡大をけん引
EC市場では、共働き世帯や単身世帯の増加を背景に、水、トイレットペーパー、ティッシュペーパーといった日用品や、冷凍宅配弁当など、購入や調理の手間を省く商品の需要が拡大している。都度購入だけでなく定期購入も増えており、ポイント付与や定期便割引といった“お得感”が支持されている。企業側にとっても、属性情報や購買履歴、閲覧履歴をもとに継続利用を促しやすい点が強みになっているという。
商品カテゴリー別では、家電製品・パソコン分野でWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要が発生したほか、高機能化による単価上昇も市場拡大に寄与した。
食品・生鮮品や生活雑貨は、日常利用の接点を作りやすいことから各モールが注力しており、食品分野では全般的な値上げに加え、米不足を背景に政府備蓄米の販売拡大も市場成長要因になったとしている。
化粧品分野では、韓国コスメ人気の継続に加え、国内メーカーの商品展開活発化も追い風となった。「TikTok Shop」のライブコマースを通じた若年層需要の取り込みも進んでおり、今後の市場拡大に寄与するとみている。
30〜40代が市場の中心、2040年はシニア層が拡大へ
購入者属性別では、30代と40代の比率が高く、結婚や子育てなどライフステージの変化をきっかけに、食品や生活雑貨の定期購入、まとめ買い、時短ニーズを背景としたEC利用が進んでいる。両世代で市場の約半数を占めるという。
一方、20代以下では女性を中心に「Temu」や「SHEIN」といった中国系越境ECの利用が増加している。
50代ではシミ予防・シワ改善を訴求する化粧品や、生活習慣病予防・エイジングケアを訴求する健康食品の購買がみられ、60代以上では健康食品の比率が1割を占める。
2040年に向けては、デジタル機器利用の一般化と65歳以上人口の増加を背景に、60代以上市場が大きく拡大する一方、20代以下や30代は少子化の影響で市場縮小が予想されるとしている。
小売各業態でもEC活用が進展
小売通販市場では、量販店が2025年に2622億円、2040年に5500億円、CVSが510億円から1300億円、家電量販店が6029億円から8000億円へ拡大する見通し。ネットスーパーの浸透、店舗発送型サービスの拡大、ショールーミングの定着などが背景にある。
量販店では、倉庫発送型ネットスーパーや受け取り方法の多様化が共働き世帯を中心に支持を集め、日常的な買い物手段として浸透している。
CVSでは、最短20分配送などの利便性向上が市場拡大を後押ししている。
家電量販店では、実店舗で商品を確認してECで注文するショールーミングが定着し、業態全体売上の1割超を通販が占めるまでになっている。
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