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WalmartのAIエージェント利用者は客単価が約35%高い。「検索アシスタント」から「買い物パートナー」へ変わった最新の「AIネイティブ戦略」

米国の大手小売りチェーンWalmart は、提供するAIエージェントの活用が広がっており、利用者の客単価が非利用者と比べて35%向上、購入点数は前四半期比で4倍以上に急増しています。「AIネイティブ企業」へと進化を遂げようとしているWalmartの動向を解説します。

Digital Commerce 360[転載元]

8:00

米国小売大手のWalmartは、2026年2-4月期(第1四半期)の決算説明会で、AIを経営の核へと据え始めていることかを明かしました。売り上げの拡大に寄与するAIエージェントの活用から、配送やサプライチェーンにおける高度な意思決定、リテールメディア(広告事業)の投資対効果(ROI)向上まで、Walmartが実践する最新の「AIネイティブ戦略」を解説します。

「Sparky」がAI軸の成長をけん引

ジョン・ファーナーCEOは決算説明会で、Walmartが「AIネイティブの企業になりつつある」と話しました。
特にエージェント型AIに関して、Walmartが人工知能をどのように活用しているかについて説明。ファーナーCEOは、WalmartのAIアシスタントである「Sparky(スパーキー) 」が、AIネイティブ企業へと進化させる原動力になっていると話しました。

「Sparky」の活用イメージ。さまざまな顧客のニーズに対応し自律的に行動する(画像はWalmartのニュースリリースから追加)
「Sparky」の活用イメージ。さまざまな顧客のニーズに対応し自律的に行動する(画像はWalmartのニュースリリースから追加) 

WalmartはサプライチェーンにもAIを導入しています。ファーナーCEOによると、AI技術はWalmartの在庫配置の改善、配送手段の意思決定、顧客対応、子会社の会員制スーパー「Sam’s Club」 の会員などへのリアルタイムな対応に役立っていると言います。

Walmartは近年、AIを搭載したデータ分野に投資してきたことで、過去数年間にわたって行ってきたサプライチェーンへの投資に加えて、より迅速な意思決定のもと、可能な限り最善の方法で配送できるようになりました。(ファーナーCEO)

「Sparky」のデモ動画

「検索」から「自動再注文」へ。客単価35%増のワケ 

「Sparky」はECの利用促進に役立っています。ファーナーCEOによると、週間のアクティブユーザー数は直近の四半期(2026年2-4月期)だけで前四半期よりも100%以上増加。「AIへの投資により、『Sparky』の知能と回答の質は今年に入って40%向上しています。『Sparky』は日を追うごとに利便性がアップしています」(ファーナーCEO)

ファーナーCEOは、消費者が店内で「Sparky」を利用できるようになり、普段から繰り返し購入している商品を自動的に再注文できるようになったと説明。また、このエージェント機能は現在、スペイン語の話者も利用できるようになっています。

モバイルアプリ内で「Ask Sparky」をクリックするとユーザーはAIエージェントを利用できる(出典:Walmartの「Sparky」紹介動画のキャプチャ画面)
モバイルアプリ内で「Ask Sparky」をクリックするとユーザーはAIエージェントを利用できる(出典:Walmartの「Sparky」紹介動画のキャプチャ画面)

また、「Sparky」を利用しているWalmartの顧客は、利用していない顧客に比べて、平均注文金額が約35%高いことも明らかにしました。

AIの機能拡張がEC成長を後押し

米国内の店舗・EC事業を担うWalmart U.S.のデビッド・グッジーナCEOは、決算説明会で「Sparky」の機能拡張が成長の原動力になっていると話しました。「Sparky」は現在、WalmartのECサイト、モバイルアプリ、実店舗のすべての販売チャネルで稼働しているそうです。

在庫、価格、配送スピードの能力に基づき、顧客ごとにパーソナライズされた商品の自動補充、献立の作成、より正確なお薦め情報などの新しい機能を「Sparky」に追加しました。(Walmart U.S. グッジーナCEO)

グッジーナCEOは、Walmartが「Sparky」を最初にリリースした当時、消費者のエンゲージメントは「一般的な商品を検索するアクションに重きを置く人が多かった」と振り返ります。しかし、Walmartが「Sparky」の機能を拡張するにつれ、顧客が食品やその他の消耗品といった毎日の必需品を繰り返し注文するために「Sparky」の利用者が増えていったと言います。

販売点数は4倍増

その結果、Walmartの顧客が「Sparky」を通じて2026年2-4月期に購入した商品点数は、前年同期比で4倍以上に増加したとグッジーナCEOは話しています。

買収したTV基盤も連動、AIが変える次世代広告 

Walmartのジョン・デビッド・レイニーCFOは、Walmartは小売事業者向けのリテールメディアにもAIを活用していると話しました。

Walmart ジョン・デビッド・レイニーCFO(画像はWalMartのコーポレートサイトから追加)
Walmart ジョン・デビッド・レイニーCFO(画像はWalMartのコーポレートサイトから追加)

レイニーCFOによると、リテールメディアには広告主を支援するAI機能が組み込まれています。たとえば、広告の成果を高めるためにコンテンツの組み合わせを自動で調整したり、WalMartが2024年12月に約23億ドルで買収した米テレビメーカーのVIZIO(ビジオ) の配信基盤を活用して、広告が届く範囲や、テレビ画面などに表示する枠を広げたりできるようになります。

テレビ視聴と購買行動をつなぐ「コネクテッドコマース」の取り組みを本格化している
テレビ視聴と購買行動をつなぐ「コネクテッドコマース」の取り組みを本格化している

2026年3月には、WalmartはコネクテッドTV(インターネットに接続されたテレビ)を中心とした「コンテンツからコマースへ」のアプローチをさらに推し進めるため、VIZIOとの新たな連携を公開する予定だと発表していました。

EC成長の要因の1つはリテールメディア×AI

Walmartの2026年2-4月期において、広告売上はグローバルで前年同期比37%増加しました。また、米国内における成長率は同36%でした。2026年2-4月期におけるEC売上成長の主要な3つの原動力の1つがリテールメディアへの出稿であったと説明しています。

他の2つは、オンラインマーケットプレイス(サードパーティによる出品)と、実店舗からの配送サービスの成長でした。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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