アシックスは6月15日、「Onitsuka Tiger」ブランドのデザインに酷似した商品の製造・販売事業者に対し、製造および販売の中止などを求める措置を講じたと発表した。
対象は、ECサイト「GRL(グレイル)」を運営するGio(子会社のアートデコを含む)、FMDH、DS商店の3社。アシックスは商標権侵害および不正競争防止法違反に該当するとして、侵害品の製造・販売の中止などを要求した。

アシックスによると、「Onitsuka Tiger」の靴製品の側面に用いられるストライプデザイン「オニツカタイガーストライプ」について、多数の商標権を保有している。このデザインは約60年にわたって採用されており、主力商品の「MEXICO 66」や「TIGER CORSAIR A55」にも使用。また、これら商品の立体的な形状についても商標権を保有しているという。
アシックスは、各社が製造または販売していた一部商品について、自社商品に酷似していると判断。商標権侵害および不正競争防止法違反に当たるとして、侵害品の製造・販売の中止などを要求した。
これに対し各社は要求に応じ、対象商品の製造・販売などを中止。一部の事業者は、消費者に販売した商品の回収や返金の申し出も行ったとしている。
DS商店は、「楽天市場」内の店舗「ナンデモストア」で謝罪文を公表。謝罪文では、アシックスの「TIGER CORSAIR A55」に酷似したスニーカーを販売していたことについて、商標権侵害および不正競争行為に当たるとの指摘を受けたと説明した。社員の経験不足から販売可能と判断してしまったとして経緯を明らかにした上で、指摘を受けて直ちに販売を中止し、在庫も保有していないとしている。また、商標に対する認識の甘さと知的財産権に関する教育不足を原因として挙げ、再発防止に努める姿勢を示した。
商標や立体形状、デザインなどの知的財産権をどう保護するか? 実効性ある運用を示す事例
今回の対応は、ECを含む流通チャネルでブランド模倣品が広がるなか、商標や立体形状、デザインの保護をどのように実効性のある形で運用するかを示す事例と言える。とくに自社ECやECモールに出店する事業者にとっては、商品企画段階での知財確認に加え、販売後も模倣品の監視や是正対応を継続する体制づくりが重要になりそうだ。
商標を守る上で、ブランド名やロゴだけでなく、パッケージ表記や海外展開時の名称使用なども含めて、早期に権利取得を進めることが重要となる。商標は先使用よりも先願が原則であり、国内で知名度があっても海外では別途権利取得が必要となるケースが多い。EC事業者には、事前調査や商標登録に加え、越境ECを見据えた海外出願、模倣品や類似表示の継続的な監視まで含めた対応が求められる。
なお、今回アシックスが対応対象としてあげたGioとアートデコを巡っては、直近でも知的財産権に関するトラブルが表面化。マッシュスタイルラボは2026年2月、アートデコとGioに対して提起していた商品形態模倣を巡る訴訟が和解に至り、両社が総額3億円の和解金支払い、対象17商品の販売中止・廃棄、将来にわたる模倣行為の禁止を受け入れたと発表している。
アシックスは、製品デザインを含む知的財産を重要な経営資源と位置付けており、商標権侵害や不正競争行為を含む知的財産権侵害に対しては、今後も断固とした措置を講じ、厳正に対処する方針を示している。
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