ストア評価2.5→3.8へ! 三陽商会の「SANYO公式アプリ」、リニューアル成功の裏側とOMO戦略
「SANYO公式アプリ」リニューアルの裏側を三陽商会とアプリマーケティングプラットフォーム「MGRe(メグリ)」が解説
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2025年度の年間流通総額50億円を誇る、三陽商会の自社EC「SANYO ONLINE STORE」。成長の裏にはECとアプリの大規模リニューアルプロジェクトがあった。かつてはアプリのストア評価が2.5だった三陽商会が、いかにして壁を乗り越えたのか。ユーザーの利便性を徹底的に追求したアプリリニューアルの裏側から、現場の意識を変えた社内運用の定着化まで、リアルな舞台裏を解説する。

「SANYO ONLINE STORE」リニューアルの背景
三陽商会のオンラインストア「SANYO ONLINE STORE」は、現在24ブランドを展開し、2025年度の年間流通取引総額50億円、年間セッション1800万を誇るプラットフォームへと成長している。この成長の背景には、ECサイトとアプリの統合・リニューアルがあった。

まず着手したのがECサイトの統合と刷新である。2023年9月に実施したECリニューアルの背景には、2008年から運用していたプラットフォームの限界があった。度重なるカスタマイズによりシステムが肥大化し、新機能やトレンドへの対応が難しくなっていた。
また、ブランドごとの公式サイトとモール型ECが混在し、運用負荷がかかり顧客接点が分散していたため、一貫した顧客体験の提供が困難な状況だった。
こうした課題に対し、三陽商会は分散していた7つのサイトを統合し、顧客体験の整理とコスト最適化をめざした。そこで、新たなECプラットフォームとして採用したのが「Shopify Plus」である。
最大の決め手は「Shopify」特有の拡張性。多種多様な機能やサービスをアプリで柔軟かつ迅速に追加できる点は、極めて魅力的。加えて、グローバルで展開しているシステムの安定性と、運用コストの低さも大きな要因だった。(斉藤氏)
三陽商会 事業統轄本部 マーケティング&デジタル戦略本部
ウェブビジネス部 部長 斉藤裕介氏
リニューアルの結果、年間流通取引総額、プロパー売上、セッション数、店舗試着サービス利用がすべておよそ30%向上(リニューアル前の2022年と2025年の比較)し、プロジェクトは成功を収めた。
「SANYO公式アプリ」リニューアル前の課題
並行して進められたのがアプリのリニューアルである。以前のアプリは主な用途が店頭での会員証提示に限られ、ECへの導線がほとんど存在しなかった。また、7つのブランドごとにアプリが分散していた構造もユーザーの利便性を損ねていた。
加えて、リニューアル前のアプリストア評価は2.5と低迷していた。その大きな要因がシングルサインオン(SSO)の未実装である。アプリ、会員基盤、ECサイトを行き来するたびにログインが必要となり、顧客体験を大きく損ねていた。
これらの課題を解決するため、三陽商会はアプリのリニューアルプロジェクトを推進した。現在は移行フェーズを終え、さらなる改善を進める運用フェーズへ移行している。
アプリのリニューアルに際し、三陽商会が採用したのがアプリ開発から運用、分析までワンストップで支援するアプリマーケティングプラットフォーム「MGRe(メグリ)」だ。
ブランドの独自性やパーソナライズされた体験をアプリでどう実現していくかということと、コストパフォーマンスは、我々事業者は当然重視しなければならない。そういう意味では「MGRe」が最適なプラットフォームだった。サポート体制が非常に充実していて、導入から今現在の運用フェーズでも、伴走していただいているところが、我々としては助かっている。(斉藤氏)
重視したのは「ファン向けパーソナル設計」
三陽商会がアプリ統合で重視したのは、ブランドごとの世界観を維持しながら、ユーザーが迷わず利用できるパーソナル設計の実現だ。ユーザーが自身の好みのブランドを選択でき、興味のある情報だけを受け取れるUI/UX設計を徹底した。選択したブランドに応じて専用のタブが生成され、性別や属性に応じて表示コンテンツを変化させ、シームレスなパーソナライズ体験を提供している。
このユーザー体験を実現するために採用したのが、以下の3つの機能だ。
① マルチブランド対応UI
ユーザーが好みのブランドを自由に登録・変更でき、選択に応じてトップ画面が切り替わる。統合アプリでありながら、各ブランドのファンに専用アプリのような体験を提供している。
② カセットレイアウトによる内製化
管理画面上でブロックを配置しながらネイティブページを構築できる。通信環境に左右されにくく、性別や属性に応じた出し分けにも対応しているため、パーソナライズされた情報を瞬時に届けることが可能。
③ ネイティブ化による体験向上
②の「カセットレイアウト」により、ランキングなど外部サービスと自動連携できるようになった。「MGRe」は拡張性が高いため、特別な操作なしでこうした情報をネイティブページ上へ表示できる仕組みが構築できた。
アプリ活用を軸にしたOMO戦略
三陽商会は実店舗をアプリ活用の主戦場と位置づけ、店舗スタッフによるアプリの普及に注力している。アプリ経由の売り上げが事業成長に大きく寄与するため、接客時のダウンロード推奨や全社的なダウンロード促進キャンペーンを積極的に実施している。
どのブランドからも聞くが、アプリ活用はやはりリアル店舗での促進が最も効果が高い。(鯨岡氏)
メグリ マーケティング・セールス部マーケティングマネージャー
鯨岡 務氏
以前はECと実店舗の運営体制が分断されていたが、新アプリでは「タグスキャン」や「店内モード」を実装し、オンラインとオフライン双方の回遊性を向上させた。
「タグスキャン」は、商品のバーコードを読み込むことで商品詳細や店舗在庫をECサイトの商品ページで確認できる機能であり、ユーザーが自分のペースで情報収集できる環境を提供している。接客を好まない層への配慮にもつながり、購買体験の向上に寄与している。
「店内モード」はアプリ起動時に会員証バーコードを即時表示する機能を指す。シングルサインオンによってログイン負荷を大幅に軽減し、利便性を高めている。
リニューアル後の具体的な成果
2025年のリニューアルから1年、現在の「SANYO公式アプリ」は累計ダウンロード数75万超、年間ダウンロード数14万超、月間アクティブユーザー数は10万を超える。リニューアルからわずか1年でこの水準に到達したことは、ユーザーの利便性を追求した戦略が市場に受け入れられた結果と言える。
「タグスキャン」は年間で約8500回、「店内モード」も月間で約24000人が利用している。さらに、「店舗検索機能」や通信環境に左右されないオフラインバーコード対応も、店舗運営を支える重要な支援機能として活用。今後は店舗スタッフもこの機能を活用し、経験や感覚だけに頼らず、ECデータを活用した接客へと進化させる方針だ。
アプリは定量・定性の両面で成果を上げている。リニューアル後の1年間でアプリ経由売上は前年比126%を記録し、三陽商会が目標としていた売上比率30%を突破した。セッション数も前年比137%へと増加している。また、既存ユーザーの継続率は71%と、MGRe利用企業平均の62%を上回った。月5日以上利用するアクティブユーザーの割合も高く、日常的な利用が定着していることがうかがえる。
ユーザーアンケートでは全体の8割超が「普通」から「満足」と回答しており、アプリストア評価も2.5から3.8へ向上した。
評価が向上した主な要因は、シングルサインオン実装によるログイン負荷の軽減や、直感的な操作性を実現したことが大きい。また、ブランドごとに乱立していたプッシュ通知を整理し、配信頻度や内容を見直したこともユーザー満足度向上につながったと見ている。
地道な改善の積み重ねが評価の向上につながっているが、まだある不満を軽視することなく、真摯に向き合い、1つひとつ解消していくことが重要である。(斉藤氏)
3つの苦労と乗り越えた壁
壁① マルチブランド対応に伴う初期設定の壁
順調に見える「SANYO公式アプリ」のリニューアルだが、成功の裏側にはさまざまな試練があった。最初に直面したのが「マルチブランド対応に伴う初期設定の壁」だったという。当時、少人数のチームで20以上のブランド対応や属性別の画面設計などを進める必要があり、この作業に大きな負荷がかかった。
この状況を支えたのがメグリによる伴走型支援である。特にプロジェクト初期に「カセットレイアウト」の膨大なテンプレートを作り込む作業が、現在の安定運用につながっている。
単なるベンダーの枠を超え、プロジェクトの推進パートナーとして寄り添うメグリの支援によって、当初の想定を上回るスムーズな進行が可能となった。(斉藤氏)
壁② 社内運用の定着
システム導入後に課題となったのが、各ブランド担当者への運用スキル定着だった。全担当者への丁寧なレクチャーに加え、直感的に操作できる管理画面を整備したことで、運用しやすい環境を構築した。
現在はデータを蓄積する段階から活用する段階へ移行しており、各担当者が自らデータを分析し、販促施策に生かせる体制作りを進めている。
単なる操作方法の教育にとどまらず、データの背後にある意味も含めて丁寧に共有し、組織全体のリテラシーを高めていく必要がある。(斉藤氏)
壁③ 経営層への合意形成と社内理解促進
プロジェクト推進において最大の壁となったのは、経営層への合意形成と社内スタッフへの理解促進だった。経営層に対しては、アプリが単なるツールではなく、事業成長に不可欠な基盤であることを理解してもらう必要があり、「なぜ今、大規模なリニューアルが必要なのか」を投資対効果とともに説明を重ね、理解を得た。
一方、現場ではアプリの統合によってブランドの独自性が低下するのではないかという懸念の声もあったが、統合のメリットとブランドの世界観は維持できることを示しながら粘り強く説得を続けた。
リニューアルから1年経って、売り上げや継続率といった客観的な成果が数字として表れたことで、当初の懸念は確かな信頼へと変わった。(鯨岡氏)
現状の課題と今後の展望
現状の成果に満足することなく、三陽商会はさらなる成長に向けた次のフェーズへ移行している。次の目標はアプリダウンロード数100万、MAU(Monthly Active Users、月間アクティブユーザー数)は20万だ。大手セレクトショップがアプリ経由売上比率50%を創出している事例も参考にしながらKPIとして設定している。
一方で、「見やすく、使いやすいシンプルな設計」というコンセプトを維持し、機能拡張による複雑化を避けることも重視している。
三陽商会の統合アプリによるOMO実現は、顧客体験の向上と売上拡大を両立したモデルケースであり、今後も「MGRe」のプラットフォームを通じて継続的な支援を行っていく。(鯨岡氏)
三陽商会が導入したアプリプラットフォーム「MGRe」とは
「MGRe」は、理想の顧客体験を実現するアプリマーケティングプラットフォームである。アプリ開発から運用、データ分析、カスタマイズまでをワンストップで支援する。

ノーコードでの開発に対応し、専門スタッフによるサポートも受けられるため、短期間かつ低コストで高品質なアプリ構築が可能。企業ごとの要件に応じて柔軟にカスタマイズや拡張に対応する。



