CVR改善と不正利用対策を両立。美容家電の公式ECに学ぶ「Amazon Pay」導入の実際
美容家電をはじめとするトータルビューティブランド「ホリスティックキュアーズ」は、「Amazon Pay」の「Buy Now(今すぐ購入)」を活用し、公式ECサイトの購買体験を改善している。決済比率の拡大、低単価商品のCVR向上、不正利用対策まで、導入効果の実像を聞いた。
9月10日 8:00
「美と健康の未来を創造する」というタグラインを掲げ、美容関連製品の研究開発販売を長年手掛けるメーカー事業や、美容室向け商社事業などを傘下に抱えるコスモホールディングスのグループ企業で、ドライヤーやヘアアイロンをはじめ、化粧品、サプリメントなどのトータルビューティ製品を展開するホリスティックキュアーズ。同グループが長年研究を重ねてきた「テラヘルツテクノロジー(育成光線)」活用の高機能なヘアドライヤーやヘアアイロンなどを開発・展開し、プロの美容師からも絶大な支持を得ている美容ブランド「マグネットヘアプロ」を展開する。
その製品を扱う公式ECサイトには、比較検討を終えた新規顧客が「公式サイトで確実に安心して、できるだけ早く購入したい」という明確な目的意識を持って訪れるケースが多い。こうした購買体験の向上に大きく寄与しているのが、「Amazon Pay」と「Buy Now」だ。コスモホールディングスの半田康浩氏(執行役員 経営企画本部 本部長)、中道啓輔氏(D2C事業部 次長)に、事業の成り立ちからEC強化の背景、「Amazon Pay」導入による成果、今後の展望を聞いた。

ホリスティックキュアーズは「包括的美容」という思想から始動
グループ全体の経営を統括する持ち株会社であるコスモホールディングスは、その傘下に美容室向け美容商材の卸売を手がけるコスモ、美容機器メーカーのクレイツなどを抱えている。
ホリスティックキュアーズは、こうしたグループの事業基盤を背景に2014年に設立した事業会社。「美と健康の未来を創造する」というグループの理念の基に、製品や教育などを通じて、美容のプロから一般消費者まで、最先端で賢い美と健康に関する提案を続けている。
そのスタートは美容家電ブランドの立ち上げではない。顧客に寄り添った提案をするには、美容師自身が加齢による変化や、食生活・生活習慣と美容の関係を理解する必要がある――。こうした考えから、ホリスティックキュアーズが最初に取り組んだのは商品開発ではなく、美容師向けの教育だった。
その背景にあったのは「『外見だけを整える美容』だけでは、これからの時代の顧客課題に十分応えられないのではないか」という問題意識。従来、美容業界ではヘアカット、カラー、パーマ、メイクなど、見た目を整える「外面美容」が重視されてきた。一方で、年齢を重ねるにつれて、髪のうねり、白髪、薄毛、肌や爪の変化など、加齢に伴う悩みが増えていく。
ホリスティックキュアーズは、こうした課題に対し、髪や肌、爪といった「素材美」、さらに生活習慣や健康状態まで含めて美容を考える「ホリスティックビューティー(包括的美容)」という考え方を提唱してきた。
これまで美容業界は、「髪を切る」「カラーリングをする」「パーマをかける」といった外面美容や、メイク・着付けなど、見た目を整えることにフォーカスしてきました。しかし美容を突き詰めていくと、高齢化が進む日本ではエイジングと切り離せません。髪や爪、肌といった素材美や内面美が整っていないと、プロの手で外面を整えても、本当の意味では輝かないのです。(半田氏)
コスモホールディングス 執行役員 経営企画本部 本部長 半田康浩氏
ブランド全体で販売機会を広げるオムニチャネルで美容室との共存を図る
現在では一般消費者向けECでも存在感を高めているホリスティックキュアーズだが、転機となったのは2020年以降のコロナ禍だった。営業担当者は美容室を訪問しにくくなり、消費者も美容室へ足を運ぶ機会が減少した。一方、巣ごもり需要の高まりを背景に、「商品をどこで購入できるのか」という問い合わせが増加、美容業界全体でもECへの見方が変化していった。
そして現在では、ECやブランドサイト、SNSなどでブランドや商品の認知を高めつつ、プロの美容師からの提案、美容室や販売店での体験を重視しており、各チャネルとの共存を図っている。
この戦略により、公式ECは美容室や販売店と競合するチャネルではなく、ブランド認知を高め、新たな購買機会を生み出すことと、近くに販売店のない方の受け皿として機能することを重視している。
美容師のSNS投稿を見た顧客が、近隣に取扱店の美容室がなければ公式ECで購入する。逆に、ECで商品を知った顧客が美容室で相談し、プロのアドバイスを受けて購入するケースもある。ECと実店舗が相互に送客し合う、オムニチャネル型のブランド戦略がホリスティックキュアーズの特長となっている。

独自技術の価値は、プロの体験とECの情報設計で伝える
ホリスティックキュアーズの主力商品であるドライヤーやヘアアイロンには、グループ企業であるクレイツが長年培ってきた美容機器開発の知見が生かされている。
特長の1つが、天然鉱石を微細なパウダー状に粉砕し、プレートや製品内部に加工する独自技術だ。自然の力を製品開発に応用する、バイオミミクリー(生物模倣)的な発想を取り入れている。鉱石から放出されるテラヘルツ波(遠赤外線)の作用により、単に熱で髪を乾かしたり整えたりするだけではなく、スピーディさと、潤いやツヤを高める美髪効果に着目した仕上がりを追求している。

ホリスティックキュアーズは、こうした技術を背景に、単なるスタイリング機器ではなく、毎日のケアを通じて髪のコンディションを整える「高付加価値美容家電」としてブランド価値を高めてきた。
一方で、こうした技術や使用感をEC上の情報だけで完全に伝えることは難しい。特に高価格帯の商品では、購入前の最後の後押しとなるのは「体験」である。美容室で髪を最も美しく整えた状態でプロの美容師が実際に使用し、その違いを実感してもらう。その体験が購入意欲につながる。そのためホリスティックキュアーズでは、営業担当を通じて美容師に対し、限られた接客時間のなかで商品の価値を伝えるための説明方法も共有している。
ECは単独で販売を完結させる場ではなく、美容師によるリアルな体験価値と連動しながら、商品の魅力を補完する役割を担っている。
美容室に行かない「約360日」を埋めるAI接客にも挑戦
ホリスティックキュアーズは、ECを単なる販売チャネルではなく、顧客との接点を広げる場としても位置づけている。
その取り組みの1つが、AIを活用したスタイリスト接客だ。著名スタイリストの知見を学習したAIのスタイリストが、チャットを通じて商品に関する質問やヘアケアの悩みに回答する仕組みを導入している。
あるデータでは、美容室へ行く平均的な頻度は年4〜6回程度とされる。つまり、顧客が美容師と接する時間は年間を通じて見ると限られており、残りの約360日は自宅で髪の悩みと向き合う時間になる。「ホームケアはどうすればいいのか」「前髪のまとまりが悪くなってきた」「今の髪の状態に合う商品は何か」といった日常的な悩みに対し、デジタル上で相談できる接点を提供することが、AI接客の狙いだ。

目的は単なる商品販売ではない。顧客が悩みを感じたタイミングで相談できる環境を整えることで、ブランドとの関係性を維持し、次回購入や美容室への来店にもつなげる考えだ。
また、AIには自社商品の販売だけを目的とした回答をさせない工夫も施しており、顧客にとって有益な情報提供を優先しているという。
14時30分までの当日出荷体制が、「Buy Now」の価値を高める
ホリスティックキュアーズのEC体験を支える重要な要素が、物流基盤だ。ホリスティックキュアーズは委託先倉庫とのシステム連携により、14時30分までに注文が完了した場合、当日出荷できる体制を整えている。さらに商品詳細ページには、地域ごとの最短配送日を確認できる仕組みも用意しており、ユーザーは「いつ届くのか」を確認したうえで購入判断ができる。
この仕組みと相性が良いのが、Amazonのオンライン決済サービス「Amazon Pay」に搭載されている「Buy Now」だ。「Amazon Pay」は、Amazonアカウントに登録した配送先や支払い情報を利用し、外部ECサイトでもスムーズに決済できるサービス。初めて利用するECサイトでも、住所やクレジットカード情報を入力する手間を削減できる。
「Buy Now」は、商品詳細ページからカート画面を経由せず、直接購入手続きへ進める仕組みだ。購入意欲が高まったユーザーを、より短い導線で決済完了まで案内できる。
ホリスティックキュアーズの顧客は、比較検討を終えた上で公式ECサイトを訪れるケースが多い。「確実に公式サイトで購入したい」「できるだけ早く商品を手に入れたい」そうしたニーズに対して、商品詳細ページで配送日を確認し、そのまま「Buy Now」で購入できる導線は大きな価値を持つ。
委託先の倉庫で注文情報が自動連携されるため、14時30分までの注文完了で当日出荷が可能です。商品詳細ページには最短お届け日を試算できるコンテンツもありますので、迅速な受注完了から最短でお届けする仕組みができています。(中道氏)
コスモホールディングス D2C事業部 次長 中道啓輔氏
中道氏は、今後この仕組みはリピート商材でさらに価値を発揮すると見ている。美容家電は買い替え需要が中心だが、今後、スタイリング剤や消耗品、飲料水など継続購入する商品が増えれば、「迷わず、すぐ購入できる」体験の重要性はさらに高まるという。
決済全体の約3割が「Amazon Pay」、「Buy Now」が購入完了率を押し上げる
「Buy Now」などの機能を有する「Amazon Pay」は現在、ホリスティックキュアーズの公式ECにおいて、主要な決済手段の1つになっている。
現在の決済比率は、クレジットカードが約60%、「Amazon Pay」が約30%、その他決済が約10%という構成だ。さらに「Amazon Pay」利用者の約半数が「Buy Now」経由で購入しており、全体の購入件数ベースでも約15%弱を占めるという。
この高い利用率の背景には、ホリスティックキュアーズの顧客特性がある。ホリスティックキュアーズによると、自社ECで購入する顧客の95%以上は、すでに比較検討を終えた状態で公式サイトを訪問する新規顧客だという。
ドライヤーやヘアアイロンといった美容家電を購入するユーザーは、「今使っている商品より良いものに買い替えたい」「故障したので、できるだけ早く新しい商品が欲しい」といった明確な購入目的を持っているケースが多い。つまり、公式ECサイトを訪れた時点で「買うかどうか」ではなく、「どの商品を、どのタイミングで購入するか」という段階に入っている。そのため、購入直前の不要な入力負荷をいかに減らすかが、購買体験の重要なポイントになる。
新規のお客さまにとって、初めて訪れたサイトで住所や個人情報、クレジットカード情報を入力することには抵抗がある方もいます。しかし「Amazon Pay」なら必要な情報がすでに登録されているため、入力の煩わしさがありません。(中道氏)
比較検討を終えた顧客に対し、最短距離で購入完了まで導く――。「Amazon Pay」と「Buy Now」は、ホリスティックキュアーズの顧客特性に合った購入体験として機能している。

「Buy Now」は低単価商品のCVR向上にも効果
「Buy Now」導入による効果は、コンバージョン率(CVR)の改善にも表れている。中道氏によれば、導入前後を比較すると、特に1万円前後の比較的低単価な商品では、商品閲覧画面からのCVRが1.5〜2%向上したという。ストレートアイロンなど、比較的購入判断が早い商品では、カート画面を経由せず、その場で購入できる短い導線が効果を発揮しやすい。
また、サイト全体のCVRも導入後にベースアップしており、「Buy Now」による購入ハードル低減が一定の成果につながっているという。高価格帯の商品では慎重な比較検討が必要になる一方、購入意思が固まったユーザーにとっては、最後の入力ステップを減らすことが離脱防止につながる。
不正利用対策でも安心感、当日出荷体制の維持に貢献
「Amazon Pay」導入による事業者側のメリットは、CVR改善だけではない。高価格帯の美容家電を扱うホリスティックキュアーズにとって、大きな課題の1つが決済の不正利用対策だった。3万円を超える商品も多いホリスティックキュアーズでは、クレジットカード決済を悪用した不正注文が発生していた時期があったという。
特に「空き家配送」と呼ばれる、不正利用されたカードで購入した商品を指定場所へ配送させる手口などへの対応が必要になり、スタッフによる目視確認や注文キャンセル対応を行わざるを得ない状況も出ていた。
不正利用が非常に多かった時期があり、出荷前に人の手で目視チェックを入れて注文キャンセルを行う必要がありました。しかし「Amazon Pay」経由では、現在のところ大きな不正利用やチャージバックは発生しておらず、安心感は非常に大きいです。(中道氏)
CVR向上と不正利用対策。この2つの効果を両立できる点が、「Amazon Pay」をホリスティックキュアーズにとって欠かせない決済手段へ押し上げている。
課題は「配送日指定」と「自社会員化」
一方で、今後に向けた課題もあるという。現在、ホリスティックキュアーズが設定している「Buy Now」では、最短での出荷を想定しているため、「特定の日に受け取りたい」というニーズがある場合は通常のカート導線を案内する必要がある。また、送料無料設定、モバイル端末で閲覧した際の購入ボタン表示など、UI面での改善も行っていきたい。
さらに、戦略上の大きなテーマとなっているのが、自社会員の拡大だ。「Amazon Pay」は会員登録を必要とせず、スムーズに購入できる点が大きなメリットだ。一方でブランド側から見ると、購入後も継続的な関係を築くためには、自社会員化やCRM施策につなげることが重要になる(「Amazon Pay」の「Buy Now」機能では、従来の配送先住所・支払い方法の確認と編集、注文金額表示、配送方法・配送日指定、会員登録、メルマガのオプトインなどの機能が設定可能)。
「Amazon Pay」で購入いただいたお客さまを、購入後のチェックアウト時などで、いかに自社会員登録へつなげていくか。このサービスを今後どのように組み立てていくかが、会員戦略の鍵になります。(中道氏)
購入時の利便性を高めながら、購入後の関係構築につなげる――。決済サービスを単なる購入手段ではなく、顧客接点の1つとして活用していく考えだ。

美容室のプロ品質を、全国の生活者へ届けるECへ
今後、ホリスティックキュアーズは「Amazon Pay」の大型キャンペーンやインフルエンサー施策なども活用しながら、一般消費者向けのマーケティングをさらに強化していく方針だ。美容室というプロフェッショナルの現場をブランドの軸に置きながら、SNSやECを通じて全国の生活者へ商品の価値を届けていく。
リアル店舗での体験、デジタル上での情報発信、そしてスムーズな購入体験。それらをつなぐオムニチャネル戦略のなかで、「Amazon Pay」と「Buy Now」は、購入の最後の一歩を支える重要な基盤となっている。
- Amazon Payは、 Amazon.com, Inc. 又はその関連会社。Amazon及びこれらに関連するすべての商標は、Amazon.com, Inc. 又はその関連会社の商標です
- 本事例で使用しているデータは全て、コスモホールディングス(ホリスティックキュアーズ)自社調査によります(2026年7月時点)
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