頭皮や毛髪に関する商品は「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」と多岐に渡りますが、ここでは最も身近な「化粧品」に分類されるヘアケア商品の広告表現についておさらいしましょう。

ヘアケア化粧品で標ぼうできる範囲とは?

化粧品に分類されるシャンプー、コンディショナー、その他ヘアケア剤において、標ぼう可能な効能効果は下記の通りです。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ
(4)毛髪にはり、こしを与える
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ
(7)毛髪をしなやかにする
(8)クシどおりをよくする
(9)毛髪のつやを保つ
(10)毛髪につやを与える
(11)フケ、カユミがとれる
(12)フケ、カユミを抑える
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
(15)髪型を整え、保持する
(16)毛髪の帯電を防止する

上記以外に素肌のメーキャップ効果と同様、

  • ワックスのような髪を固める作用
  • ヘアマニキュアのように髪表面を着色する(洗浄と共に徐々に色落ちする)
  • そしてUVカットするスプレー(物理的にUVを遮断する効果)

など、物理的な作用も標ぼう可能です。

「頭皮にハリを与える」は不可

注意したいのが「(4)毛髪にはり、こしを与える」という表現です。 スキンケアの場合は「肌にハリを与える」という効果が標ぼう可能ですが、ヘアケア製品においては「【毛髪】にハリを与える」が標ぼう範囲となります。したがって「【頭皮】にハリを与える」ことに関しては想定されておらず、「頭皮にハリを与える」は効能効果を逸脱した表現とみなされます。

「血行促進」には一工夫を

また「抜け毛の予防」「頭皮の血行促進」は、その効果効能に対して承認を受けた医薬部外品等であれば標ぼう可能ですが、一般的な化粧品では標ぼうできません。 許可を得ていない場合で、「血行促進」ということを表現する必要がある場合には、自身による洗髪行為の一環として、

頭皮を(自身で)よくマッサージすることにより、血行を促進してあげましょう。

というように、「商品や含有成分により血行促進が促されるものではない」とはっきりとわかる形にする必要があります。 その基本をしっかりと押さえておけば、頭皮マッサージの方法等を図説で入れ、「血行促進」の言葉を視覚的に印象づけることも可能でしょう。

「ダメージヘアを修復」はOK?

次に、ダメージヘアのケアに関する表現について解説します。ヘアケア製品でよく「ダメージを補修」という表現が見られます。毛髪損傷等の物理的な「補修」表現は事実であれば標ぼう可能ですが、「修復」のような治療的回復表現は不可とされています。

不適切な例

 × 「傷んだ髪を修復」
 × 「ダメージヘアを再生」
 × 「傷んだ髪が回復」
 × 「健康な髪が甦る」
 × 「本質から髪質改善 」

表現可能な例

 ○ 「傷んだ髪に」
 ○ 「傷んだ髪(ダメージヘア)用」
 ○ 「ダメージケア(潤い補給)」
 ○ 「髪を補復して髪の質感を整える」

表現がよく似ているので注意しましょう。

「髪の内部へ浸透」は標ぼう可能

ダメージヘアの補修表現において、「髪の内部に美容成分が浸透」という表現もよく見られます。肌の場合、「浸透は角質層まで」と範囲が決められていますが、毛髪の場合は、日本化粧品工業連合会発行の『化粧品等の適正広告ガイドライン2017年版』で「髪の内部へ浸透」という表現は可能とされています。そのため、事実として髪の内部に浸透するのであれば、表現可と判断できます。

ただし、ここにも注意点があります。髪の表面を「キューティクル」、その内側を「コルテックス」、中心部を「メデュラ」と言いますが、キューティクルについては補修効果をベースに使用可能ですが、コルテックス、メデュラという用語を使用するのは避け、あくまでも「髪の内部」に留めることをおすすめします。詳しくは下記をお読みください。

参考

美容師による推薦

最後は美容師からの推薦表現についてです。 『医薬品等適正広告基準』には下記のように記載されています。

10 医薬関係者等の推せん

 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。

 ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

<共通>

(1)医薬関係者の推せんについて

 本項は、医薬品等の推せん広告等は、一般消費者の医薬品等に係る認識に与える影響が大きいことに鑑み、一定の場合を除き、例え事実であったとしても不適当とする趣旨である。「公認」には、法による承認及び許可等も含まれる。

 また、「特別の場合」とは、市町村がそ族昆虫駆除事業を行うに際して特定の殺虫剤等の使用を住民に推せんする場合である。なお、本項は美容師等が店頭販売において化粧品の使用方法の実演を行う場合等を禁止する趣旨ではない。

(2)推せん等の行為が事実でない場合について

 推せん等の行為が事実でない場合は、法第 66 条第2項に抵触する。

~以下略~

ヘアケア用品という製品の特性上、美容師や理容師を起用し、商品を推薦する広告を作りたい所ですが、 『医薬品等適正広告基準』では医師をはじめ美容師、理容師等による推薦そのものを禁止しています

事実であったとしても、広告において美容師が「おすすめです!」というようなコメントを述べることはできませんので、注意しましょう。

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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