「単発PR」で終わらせないインフルエンサー活用のポイント+TV通販最大手ジュピターショップチャンネルの事例

インフルエンサー活用の成果を最大化し、再現性を高めるための新しいインフルエンサーマーケティングのメソッドを、テレビ通販最大手ジュピターショップチャンネルの事例も踏まえて解説します。
次につなげられない――インフルエンサーマーケティングの落とし穴
多くのブランドがインフルエンサーマーケティングに取り組むなか、共通の課題に直面するケースも少なくありません。現状のインフルエンサー施策では、次のような声をよく聞きます。
- 話題にはなるが、売り上げへの影響を感じない
- 一度うまくいっても、その成功を次につなげることが難しい(再現性がない)
- 場当たり的な運用になりがちで、マーケティング戦略全体との連携が弱い
こうした課題の背景には、インフルエンサー施策が単発のプロモーションとして終わってしまいがちな構造があります。
インフルエンサーにPR投稿を依頼すると、一時的な認知拡大はできます。しかし、継続的な売上増やブランド全体の成長にまで貢献できるケースは残念ながら多くありません。ブランドを持続的に成長させていくためには、統合的な戦略設計が必要不可欠です。
ブランド成長を加速させる新概念「インフルエンサーグロース」とは?
そこで私たちが提唱し実践しているのが、新しいインフルエンサーマーケティングの概念「インフルエンサーグロース」です。これは、インフルエンサーの投稿を単発のPRで終わらせず、SNS、広告、LP、さらにはブランド戦略にまで再利用・拡張していくことで、成果の再現性を高める考え方です。
「インフルエンサーグロース」において最も大切なのは、起点となる「質の高いインフルエンサー投稿」を生み出すことです。ユーザーの心を動かし、保存やシェアといった良い反応を得られる投稿は、SNSアルゴリズムにも評価され、多くのユーザーに拡散されやすくなります。
こうした良い投稿を一時的な情報拡散のみで終わらせず、成果を分析し、効果が高かったものを広告やLPなどさまざまなチャネルで繰り返し活用していく、PDCAを実施することが重要です。さらに、この取り組みを通じて施策全体の費用対効果を高め、投稿分析から得られたヒントをブランド戦略にもつなげていくことができます。
インフルエンサーの投稿を一時的な情報拡散にとどめず、ブランド成長のための“戦略の起点”として捉え直す。これこそが「インフルエンサーグロース」の考え方です。
「インフルエンサーグロース」の4つのステップ
「インフルエンサーグロース」は、次の4つのステップでブランド成長を仕掛けていきます。
STEP1:マッチング(成果につながる人選)
先述の通り、「インフルエンサーグロース」の起点は、「商品を売ることができるインフルエンサー」との出会いです。
前回の記事でも触れたように、単にフォロワー数の多いインフルエンサーではなく、投稿によって“購買を促せる人”を見極めて起用します。
【アサインのポイント】
- 保存率、再生数などの過去実績から分析
- 「誰に何を伝えるか」が明確な投稿ができるかどうかを確認
- 投稿の拡張可能性(SNS外への転用)も視野に選定
STEP2:コンテンツPDCA(勝ちパターンの特定)
インフルエンサーの投稿を「作って終わり」ではなく、どの切り口・表現が最も効果的だったかを分析します。
【分析の流れ】
- 高反応だった投稿の共通点を抽出
- ターゲット別の訴求軸や表現の傾向を可視化
- コンテンツとインフルエンサーの掛け合わせパターンを整理
STEP3:アンプリフィケーション(拡張と二次活用)
成果の出た投稿はSNSだけにとどめるのではなく、広告素材、LP、Webサイトなどに再利用して効果を最大化します。
【投稿の活用例】
- SNS広告:インフルエンサーの動画・画像をそのまま活用
- Web改善:商品ページにインフルエンサーの紹介コンテンツを掲載
- アカウント運用:自社SNSアカウントに転用し、商品の使用例などを補足
STEP4:ブランド戦略への展開
投稿の分析と拡張を繰り返すことで、ブランドにとって “最も刺さる訴求軸”を明確にすることができます。
【訴求軸の活用先】
- 商品企画
- ブランドコンセプト設計
- パッケージやクリエイティブの刷新
ジュピターショップチャンネルはなぜ成功したのか
「インフルエンサーグロース」を実践して顕著な成果をあげた企業として、ジュピターショップチャンネルの事例を紹介します。同社が運営するショッピングライブサービス「コレイヨ」では、「インフルエンサーグロースモデル」のSTEP3(アンプリフィケーション)までを中心とした運用で、次のような成果を実現しました。
施策の成果
- EC売上が約3倍に成長
※FY22(2022年4月~2023年3月)とFY23(2023年4月~2024年3月)の、ショップチャンネルが運営するソーシャルコマースサービス「コレイヨ」全体の売上比較 - CPA(顧客獲得単価)は約1/2に改善
- Instagram公式アカウントのフォロワー数が数千人から9万人以上に増加
こうした成果は、下記のポイントを重視した施策設計と運用によって達成しました。
- 投稿の「二次利用込み」施策とPDCA
→インフルエンサーの投稿を単発で終わらせず、その後の広告やサイトでの多目的利用を前提に計画。成果分析に基づいた改善を継続しました - 「質」を重視したインフルエンサー選定
→フォロワー数だけではなく、ユーザーの購買行動など「態度変容を促せるか」といった質を重視した視点でインフルエンサーを選定しました - オリエンテーション
→ブランドメッセージやイメージを明確に伝えるオリエンテーションをインフルエンサーに実施し、発信内容のブレを防ぎました - 成果を出したインフルエンサーのアンバサダー化
→一度成果につながったインフルエンサーとは長期的な関係性を構築し、継続的な取り組みを実施しました
また、最初から質だけに絞り込まず、成功確率を高めるために「多く試して当たりを引く」という姿勢で施策に取り組んだことも、大きな成果につながった要因でしょう。

インフルエンサー施策はブランド成長を支える戦略へ
インフルエンサー施策は、もはや単なる情報拡散のためのツールではありません。一時的な情報拡散の手段だと捉えられることもありますが、成果を出してブランドを成長させていくためには、その認識をアップデートしていく必要があります。
「誰に」「どんなコンテンツを」「どのように設計して」届けるか。この1つひとつを戦略的に考え、着実に実行していくことが不可欠です。
そして、こうした設計を意図的に積み重ねていくことで、単発の成果にとどまらず、再現性のある成長モデルを築き上げられます。これこそが、詳しく解説してきた「インフルエンサーグロース」という考え方です。
ユーザーの購買行動や情報収集の方法は大きく変化しました。もはやSNSはただのコミュニケーションツールではなく、消費者の日常に深く根差した意思決定の場となっています。そのようななかで、インフルエンサー施策はプロモーション活動の一部ではなく、ブランドの持続的な成長を支える基盤となる戦略として、より重要な位置づけになっていくと考えています。
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