楽天グループ三木谷社長らが語るAI活用推進の現在地。「楽天市場」のユーザー、出店者の活用状況は?
楽天グループでは、消費者向けと「楽天市場」出店者向けの双方でAI活用が進展している。「楽天市場」出店者向けのAIツールは、毎月2万3000店舗が利用しているという。

「Rakuten AI」でユーザーにパーソナライズされた情報を提案
消費者向けは2024年9月、「楽天市場」アプリ内でエージェント型AIツール「Rakuten AI」の提供を開始。現時点はソフトローンチの段階で、全ユーザーが利用できる状態ではないが、「より良い買い物体験を提供できるよう改善を進めながら、順次全ユーザーに広げていく」と三木谷浩史社長は説明している。
「Rakuten AI」は、「楽天市場」の膨大な購買データを活用しユーザーの意図を深く理解、関連情報の調査や重要要素の特定、商品の比較サポートを行う。これにより、ユーザーは意思決定に役立つパーソナライズされた情報を受け取ることが可能。出店店舗はより多くの商品を販売できるという。
「楽天トラベル」でもAIの活用が進んでいる。2024年9月からスマートフォンのブラウザ版「楽天トラベル」にAIホテル探索機能を搭載。従来は決められた選択肢から条件を絞り込んでホテルを検索する形式だが、今後はAIに要望を伝えることで、旅行代理店の窓口スタッフに相談するような感覚でニーズに沿った宿泊施設を検索できるようになるという。
「RMS AIアシスタント」は2万3000店舗が活用
「楽天市場」の店舗向けには、2024年3月にAIツール「RMS AIアシスタント」の提供を開始。機能追加や改善を重ね、日常的に利用する店舗数が増加している。現在、毎月2万3000店舗が利用、フィードバックを受けながら利用拡大と店舗オペレーションの効率向上をを進めているという。
また、広告基盤のRPP(Rakuten Promotion Platform)へのAI導入も進展。2024年11月1日に「楽天市場」全店舗を対象にAI実装が完了。AIを活用し、広告のタイミングやチャネル、価格を最適化することで、消費者にはより良い広告コンテンツを、出店店舗にはより高いリターンをもたらすとしている。

楽天グループ社内でもAI活用が進展
楽天グループ社内でもAI活用が進んでいる。楽天のAIプラットフォームにおけるトークン利用量は、2024年9月と比較して17倍に増加。コーディングや生産性向上における具体的な応用、および複数サービスへのAIエージェントの本格リリースによるものとしている。

「Rakuten AI」搭載PCの開発も進行
「Rakuten AI」をデフォルトで導入したPCの開発も進めている。楽天と日本ヒューレット・パッカード(HP)は2024年11月11日、「Rakuten AI」のデスクトップ版導入に関する業務提携に合意。日本HPのPCに「Rakuten AI」を導入することで、オフラインとオンラインの両方で利用可能な、オンデバイスLLM機能を備えたエージェント型AIが実現するという。2026年春から夏にかけて順次展開予定としている。

