楽天グループが描くエージェント型AIの未来とAI活用の現状。「楽天市場」の検索結果経由の流通総額はAI活用で1割増
楽天グループは2025年1−3月期(第1四半期)決算説明会でAI活用の進捗などについて明らかにした。それによると「楽天市場」における検索結果経由の流通総額は、AI活用によって前年同期比10.7%増えたという。
2025年第1四半期には楽天エコシステム全体でAIに関する15以上の製品、サービス、ツールをリリース。言語モデル「Rakuten AI2.0LLM&2.0mini」をオープンモデルとして一般提供したほか、楽天ファッションで人気検索を実現するコンテキスト検索、ユーザー向け「Rakuten AI Assistant」において画像から検索ができる機能「Snap&Ask」などをリリースした。そのほか、楽天プロモーションプラットフォームにおけるキーワード/CPC機能の改善導入や検索キーワードロジックの導入などを実施した。
AI活用で楽天市場や広告で成果
セマンティック検索
AI活用の成果の1つとして「楽天市場」における検索結果経由の流通総額の成長をあげた。「楽天市場」では2024年1月、ユーザーの意図や文脈を理解し、より関連性の高い情報を提供する「セマンティック検索」を導入。モデル改善などいくつかのアップデートを経て、2025年1−3月期における「楽天市場」の検索経由流通総額は前年同期比10.7%増えた。今後は最先端の検索アーキテクチャを近日リリースし、次の機能を実装する予定だ。
- 人気検索:関連性の高い検索結果において、トレンドとなっているアイテムを表示
- パーソナライズ検索:顧客の好みに合わせて検索結果を最適化
- ディープラーニングランキング:顧客の意図にマッチした検索結果のランキング表示を可能に
広告領域
広告領域でもAI活用による成果が出ている。楽天プロモーションプラットフォームでは、第1四半期に広告主が効果的な広告運用ができるようにキーワードとクリック単価の提案機能をアップデート。その結果、検索広告クリック率は前年同期比で13.7%増、検索リクエストあたりの広告売上は同5.9%増えた。
社内活用
楽天グループ社内におけるAI活用も進んだ。1万3000人以上の従業員が「RakutenAI」を活用し、作成したカスタムAIツールは1万6000を超えたという。特にソフトウェア開発における効果が高く、AI活用によってソフトウェア開発のリリースまでの時間を最大で80%短縮することに成功したとしている。
AIアシスタント機能として「Rakuten AI Assistant」もアップデート
2月には自社開発の次世代言語モデル「Rakuten AI2.0LLM&2.0mini」をオープンモデルとして一般提供した。日本のビジネス向けに開発されており、日本の独特な言語的・文化的ニュアンスを捉え、日本の法律や規制に完全に準拠すべく日本語のデータで広範囲にわたるトレーニングを実施。効率的かつ費用対効果が高いモデルになっているという。
ユーザー向けのAIアシスタント機能として「Rakuten AI Assistant」もアップデート。第1四半期中に新たにAIを活用した画像検索が可能な「Snap&Ask」機能をリリース、日本の利用者全員に対し使用できるようにした。ユーザーは写真を撮るだけでショッピングなどの情報にアクセスできる。撮影した画像内の外国語もAIが翻訳、詳細情報やレビュー情報などをまとめて得ることができる。現在オープンベータ版を公開中だが、近日中に正式リリースをするとしている。
エージェント型AIで楽天エコシステムの拡大と成長へ
楽天グループは最新のトレンドと技術革新を生かし、楽天エコシステムに関わるすべての企業や顧客、パートナーがAIをより手軽に活用できる状態をめざす。具体的には①人間とAIエージェントの協働推進②特化型AIへの投資③AIによる価値創造の加速――に取り組んでいく。
人間とAIエージェントの協働推進
人間を中心に据えながら、AIによる革新的な生産性向上を支援するツールとサービスの開発をめざす
特化型AIへの投資
独自のデータとドメイン知識を活用し、クライアントと一般消費者の現実世界の課題を解決するAIエージェントを構築
AIによる価値創造の加速
エージェント型AIの新たな活用方法を開拓し、楽天エコシステムの拡大と成長を推進していく
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