鳥栖 剛[執筆] 7:00

楽天グループの2025年1−3月期(第1四半期)における国内流通EC総額は前年同期比3.0%増の1兆4310億円だった。2024年がうるう年だったことによる日数の影響、大雪・寒波などによる旅行や公営競技のキャンセルといった影響を考慮すると伸び率は同4.4%増だったとの試算も示した。

2025年1-3月期(第1四半期)の国内EC流通総額の内訳は、コアビジネスが同2.9%増の1兆3040億円、成長投資ビジネスが同4.1%増の127億円となった。

利用者数の伸長で流通総額は拡大(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

国内ECの売上収益は同6.2%増の2368億円、Non-GAAP営業利益は同10.0%増の243億円。コアビジネス、成長投資ビジネス、インターナショナル部門が増収をけん引。利益面ではコアビジネスと物流事業が増益に貢献した。

コアビジネスでは利用者数が伸長し、「楽天市場」「楽天リーベイツ」などショッピングECの流通総額が拡大した。

「楽天市場」のトピックについて、第1四半期は購入者数・客単価増で流通総額が拡大。楽天モバイルとの連携強化策を推進し、楽天モバイル契約者の流通額は非契約者より47.5%高いという成果が出たという。SPU特典の認知促進や先行セールの実施も奏功。「楽天最強翌日配送」の対応商品の売上が順調に伸びた。対応商品と非対応商品の売上成長率における差分は21.4ポイントになったという。

楽天市場では「楽天最強翌日配送」の対応商品の売上が順調に伸びた
「楽天最強翌日配送」の対応商品の売上が順調に伸びた(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

そのほかAI活用を進め、バナー自動生成やクリエイティブ審査などの広告オペレーション効率化を実現した。

「楽天トラベル」では、国内宿泊の人泊数は市場全体の縮小に伴い減少傾向にあるものの、宿泊単価上昇で取扱高は横ばいを維持したという。なお、コロナ前の2019年と比較して取扱高は48.1%増、インバウンド取扱高は前年同期比で36.0%増となった。

「楽天トラベル」の取扱高は横ばいもインバウンド取扱高は大幅増に(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

成長投資ビジネスでは物流事業、楽天24、楽天ブックス、Rakuten Fashionが増収をけん引した。物流事業は「楽天最強翌日配送」導入店舗が拡大したほか、流通総額の増加を受けた配送料増・配送単価の上昇により売上収益の拡大と損失の縮小につながった。

国内事業への相互関税の影響は限定的

決算説明では国内ECを含むインターネットサービスにおける、米国のトランプ政権による相互関税の影響についても言及。国内の物販系EC、サービス系いずれも足元の影響はなく、国内事業への影響は限定的とした。

一方、海外事業においては「Rakuten Rewards」や広告事業に少し影響があるとし、影響を最小限に抑えるための対応策を検討中とした。

楽天グループ 国内事業への相互関税の影響は限定的
国内事業への相互関税の影響は限定的とした(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

3月からコマース&マーケティングカンパニーは新体制に

そのほか、楽天グループは3月29日にコマース&マーケティングカンパニーを新体制に移行。新リーダーシップである松村亮コマース&マーケティングカンパニープレジデント、高野芳行コマース&マーケティングカンパニーシニアヴァイスプレジデントの下、国内EC流通総額10兆円の目標達成をめざす。

今期は楽天モバイルとの連携強化、顧客体験のさらなる進化、AI技術の活用などに注力。今期の国内EC週通総額の成長率は1ケタ半ばから後半をめざすという。

楽天グループのコマース&マーケティングカンパニーは新体制
新体制について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

全体では全セグメントで増収、営業損失も大幅改善

楽天グループ全体の業績について、2025年1-3月期(第1四半期)の連結売上収益は全セグメントで増収となり、前年同期比9.6%増の5627億400万円。1Qとしては過去最高となった。

楽天カードにおける取扱高増加、金利上昇を背景とした楽天銀行の増収を受けてフィンテックが好調。インターネットサービスにおける国内ECおよび海外事業の好調に加え、「楽天モバイル」の契約回線数増加が増収に大きく貢献した。

Non-GAAP営業損失はフィンテック各種事業の好調などから同251億円の改善となる3億円の着地となった。楽天モバイルの増収による損失改善や楽天銀行、楽天ペイメントの大幅増益などが貢献した。

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