PR TIMESはこのほど、2025年1月1日から10月31日までにプレスリリース配信サービス「PR TIMES」で配信した38万2296件のプレスリリースを対象としたキーワードランキングと業界別分析を発表した。企業の発表を通じて見えてきた2025年のビジネストレンドと、2026年に向けた注目キーワードを整理している。
キーワードランキングTOP3は「イベント」「AI」「DX」
「PR TIMES」は、プレスリリース配信時に内容に関連するキーワードを最大10個まで登録できる仕組みを採用。2025年1〜10月に配信したプレスリリースで登録されたキーワードの総数は46万7010種にのぼった。
単純な掲載件数のランキングに加え、過去データとの比較や月別推移、キーワードごとの発表内容の分析を通じて、2025年の企業活動の潮流や動向の変化、流行の兆しを読み解いている。
キーワードランキングの1位は「イベント」で1万8200件、2位は「AI」(1万7473件)、3位は「DX」(1万3927件)だった。2025年の企業発表で特に目立ったのは、「AI」「万博」に関連するキーワードの急増。「AIエージェント」は前年比57倍超の2580件に達し、AI関連の新たなキーワードも次々と登場した。
急上昇ワードに「AI」「万博」「人手不足」
急上昇キーワードランキングでは、「AI」が前年比7080件増の1.68倍で1位。2位は「生成AI」(前年比3579件増、1.63倍)、3位は「AIエージェント」(前年比2535件増、57.3倍)と続いた。
また、「外国人材」「人手不足」も引き続き注目を集め、「業務効率化」や「DX推進」といった生産性向上に関するキーワードも急上昇ランキングの上位に入った。「業務効率化」は前年比2021件増で4位となり、5位の「万博」を上回る伸びを示した。13位の「AI活用」や15位の「DX推進」と併用されるケースも多く、企業の働き方改革や生産性向上を背景とした商品・サービスの発表が目立った。
5位には「万博」がランクインし、6位の「大阪・関西万博」と併せて使われるケースが大半を占めた。パビリオンへの出展や協力など、今年を象徴するイベントへの関与を発表する企業が多かったことがうかがえる。さらに7位には「大阪」が入り、土産物、飲食店、宿泊施設など周辺経済への波及効果を背景に、企業活動が活発化している様子も読み取れる。
「AI」関連語が続々
「AI」を取り巻く環境の変化を反映するように、企業発表では件数の増加に加え、新たなキーワードの登場も見られた。AIを活用した開発手法を示す「AI開発」は、2024年の154件から2025年には403件と2.61倍に増加。SEOに代わる概念として注目される「AIO(AI Optimization=AI検索最適化)」は、2024年の5件から2025年には165件と33倍に拡大した。AIトランスフォーメーションを意味する「AX」も、24件から191件へと7.95倍に増えている。そのほか、「AI面接」「医療AI」「AI創薬」など、分野別のAI活用を示すキーワードも増加した。
また、「生成AI」や「LLM」といった回答生成型AIよりも、「AIエージェント」「AI活用」といったキーワードの伸びが顕著である点も特長。AIが対話の相手にとどまらず、業務を代行・実行するビジネスパートナーへと進化しつつあることが、プレスリリース件数からも読み取れる。
月別動向では「新商品」「業務効率化」に動き
月別ランキングでは、「イベント」と「AI」がほぼ毎月1位、2位を占めた。2月、8月、9月は新商品発表が多く、「新商品」も上位にランクインした。急上昇キーワードである「業務効率化」は年初から順位を上げ、10月にはTOP20入りしている。
一方、「SDGs」は総合TOP20内で唯一、前年比で件数が減少したものの、月別ランキングでは引き続き上位に入り、企業発表での活用は継続している。また、「プレゼント」や「ギフト」といった新商品発表時に使われるキーワードも安定して上位を維持しており、特に「ギフト」は年々増加傾向にある。
2026年に注目されるキーワードは?
急上昇ランキング以外にも、2025年に発信件数が増加したキーワードの解説、それらの動向から見た2026年に注目されるキーワードも紹介している。
上昇キーワード:「推し活」関連
「推し活」が流行語として定着した2021年末以降、企業発表での使用も年々増加している。2025年は前年比446件増の1.5倍となった。関連ワードも広がり、「フィギュア」「ぬいぐるみ」に加え、推しのイメージを反映した「香水」などの商品も登場し、件数を伸ばした。関連して、「ぬい活」も2024年の17件から53件へと3.12倍に増加している。
上昇キーワード:「外国人材」関連
「特定技能」は、在留資格制度が創設された2019年以降徐々に使われ始め、2020年には前年比2.41倍の164件に増加したものの、その後は横ばいが続いていた。2025年には前年比2.12倍の608件となり再び増加。2025年6月時点で在留外国人数が過去最多(出入国在留管理庁)となる中、外国人材関連サービスでは資金調達や大企業との協業など、活発な動きが見られた。外国人材の受け入れを支援する「登録支援機関」に関する発信も、前年比5.63倍の135件に増加した。
注目キーワード:「ウイスキー」
「ウイスキー」の取扱件数は、2025年に前年比1.68倍の686件となった。需要の変化や事業承継を背景に、国内の日本酒や焼酎の酒蔵が新規事業としてウイスキー製造に参入するケースが増え、新商品発売などの発信が増加した。
注目キーワード:「ステーブルコイン」
法定通貨など特定の資産と価格が連動するよう設計された暗号資産の一種である「ステーブルコイン」にも注目。2023年に121件あった発信は、2024年に76件へ減少したものの、2025年には前年比2.45倍の186件と再び増加した。万博会場でのトークン交換などを背景に注目を集め、10月には日本初の合法的な円建てステーブルコインの発行も始まった。今後、関連する企業発表はさらに増加すると見られている。
- この記事のキーワード