ファッションEC大手のZOZOは12月10日、サービス開始から20周年を迎えたことを記念し、2004年から2025年までの9億点以上の購買データを分析した「ファッション通販白書 by ZOZOTOWN」を発表した。
「ファッション通販白書 by ZOZOTOWN」は過去20年間の膨大な購買データから、ファッションの購買行動が社会や経済、生活の変化とどのように連動してきたかを読み解いている。物価上昇や気候変動、ライフスタイルの多様化、景気の変動など、さまざまな社会環境の変化がファッションにも影響を与えてきたことを明らかにした。
気候変動の影響
たとえば、気候変動による気温上昇の影響で、Tシャツの販売ピークは従来の5〜7月から4〜8月へと拡大、平均で約2か月以上長くなっている。「シーズンレス化」の兆しが見られたという。
一方、アウターの販売ピークは2000年代前半の10月〜1月から2020年代には11月〜1月と短縮し、季節感にも変化が生まれている。
物価高の影響
物価高が続くなかで、Tシャツの主流価格帯は2000年代の5000円未満から3000円未満へと下がり、手に取りやすい価格が定番に。これは、「ZOZOTOWN」で扱うブランド数やユーザー層の拡大で、デザイン性と価格のバランスに優れた商品が増え、消費者がシーンや気分に合わせて選択できるようになったことが背景にあると考えられるという。
働き方・ライフスタイルの変化の影響
働き方やライフスタイルの多様化で、バッグやシューズの選ばれ方にも変化がある。ショルダーバッグやスニーカー、サンダルの人気が高まり、スマートフォンの普及や通勤スタイルのカジュアル化がその背景にあるという。
バッグカテゴリーは2010年代以降、トートバッグの販売構成比が約15ポイント減少。一方で、ショルダーバッグは約20ポイント増加し人気が逆転した。手が自由に使える「肩掛けスタイル」が選ばれる背景には、スマートフォン操作の増加や移動中の使いやすさを重視する行動の変化があると見られる。
また、シューズカテゴリーではスニーカーやサンダルの販売構成比が20年前から約30ポイント増加。特に2020年代にはコロナ禍を経て通勤スタイルのカジュアル化が進み、仕事中にスニーカーを履く人が増えた。リカバリーサンダルの人気も後押しし、快適さを重視する傾向が定着しつつある。
景気の動向とファッションカラーの関係
景気の動向とファッションカラーの関係にも言及。内閣府の景気動向指数と「ZOZOTOWN」の購買データを照らし合わせると、景気が上向くと「黒」のアイテムが多く売れる傾向が見られた。
2008年のリーマンショック後の景気低迷期以降、景気動向指数の低下に連動し、黒アイテムの販売構成比は31.6%(2005年~2007年)から17.6%(2011年~2013年)まで低下した。その後、景気回復期(2014〜2019年)には、景気動向指数に連動して黒アイテムも26.8%まで上昇。コロナ禍(2020年~)後も再び増加しており、経済の動きと合わせて「黒を選ぶ人」が増える傾向が続いている。
黒はフォーマルやモードなど、シンプルで落ち着いた印象を与える色であり、トレンドに左右されにくい定番色として支持されている。景気が好調な時期に黒を選ぶ人が増えるのは、安定感や落ち着きを求める心理が影響している可能性があるとした。
地域ごとのファッション傾向
都道府県ごとの購買データも分析、地域ごとに個性的なファッション傾向が浮かび上がった。たとえば、北海道では長く厳しい冬を背景に「お家ファッション」が進化し、東京ではサステナブル志向が強く、古着の活用や買い替えが活発という。大阪ではサンバイザーが根強い人気を誇るなど、地域ごとの特色が明確に表れた。
「ファッション通販白書 by ZOZOTOWN」は2004年12月15日から2025年7月31日までの購買データから、社会や地域、サービス、ユーザーの視点からファッション購買行動の変化を詳しく解説。詳細は特設サイトで公開しており、白書公開を記念して20万円分のZOZOポイントが当たるクイズキャンペーンも実施する予定だ。
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