「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。23回目の連載は「SNS活用の本質」をテーマに解説します。
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- 連載第1回~17回はこちら
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ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。
つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。
「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。
SNS活用について考えてみよう!
ネッタヌ君、こんにちは!
石田さん、こんにちは。今回もよろしくお願いします!
あれ以降、数値管理表、ちゃんと毎日つけてくれている?
やっていますよ! 実は先日、「アザラシショップ」から問い合わせがあって、「キツネショップ」と一緒にコラボ動画を撮ろうっていうオファーがあったんです。
へえ! コラボ動画か。
それで「アザラシショップ」と一緒に動画を撮ったんですけれど、意外とバズってしまって、思いのほか商品も動いたんですよね。
すごい!
それで、今度は「コアラショップ」とか「カンガルーショップ」の友だちにも、コラボ動画の声をかけてみようかなと思っているんですよ。
ほお……(動物園の動画かな?)
微妙な反応ですね……。
さて、気を取り直して。
ここまでECのマーケティング内製化の本丸であるデータ活用について、何回かに分けて話してきたんだけれど、ネッタヌ君も数値管理表をちゃんとつけてくれているということなので、今回は「もっと深く聞きたい!」テーマについて、話していければいいかなと思っています。
SNSの話が聞きたいです! 「どんな投稿がバズるのか」とか、「どうやったらおすすめの表示に載りやすくなるのか」とか、そういうのはみなさん気になると思うんですよ。
さすがネッ担の読者思いだね。じゃあ今日は、SNS活用のポイントについて考えてみようか。
はい、石田さんお願いします。
SNS活用の概要と考え方をきちんと押さえておく
まず前提として、このコラムのテーマである「マーケティングの内製化」っていう観点から言うと、SNSのマーケティングの「概念と考え方」を自社のマーケティングチームがきちんと心得て、ある程度の運用を経験した上で、突っ込んだノウハウを求めるならば、専門的な会社と組んだ方がいいと思う。
概念は自社で押さえる。でも究極的には外部と組む。
やっぱり今、トレンドの変化ってめちゃくちゃ激しいでしょ。機能も随時アップデートされていく。その流れに自社のマーケティングチームが1つひとつキャッチアップしていくのは現実的じゃない。
確かに毎月のように何か変わっていますもんね。
マーケティングチームの仕事はSNSだけじゃなくて、マーケティング全体を最適化していくことだからね。もちろん自社でSNSの企画から制作まで全部やってもOKだと思うけれど、いずれにせよSNS活用の概念と考え方っていうのは、まず押さえておいてほしい。
そこがマーケティングチームの内製化の「芯」ですもんね。
SNSのビジネスモデル+SNSに好まれるアカウントの特長を知る
まずさ、ネッタヌ君に考えてほしいことがあるんだけれど。SNSのビジネスモデルって何だと思う?
つまり、SNSがどうやって売り上げや収益を上げているかっていう話ですよね。うーん……ちょっと難しいですね。
SNSっていうのは、テキストだったり、画像だったり、動画だったり、そういう大量のデジタルデータを取得しているわけよ。でさ、SNSはその大量のデータを分析している。だから、「データそのもの」を活用することができる。
データそのもの?
そう。たとえば今、何が流行っているか。どういう言葉が使われているか。どういう人が、どういう商品に反応しているか。その商品に対する評価はどうか。みんなが今、何を話題にしているのか。
確かに世の中のトレンドそのものですね。
その1つのモデルがデータに基づいた広告掲載だよね。ECプラットフォームやGoogleと同じく、企業が広告費を払ってSNSに広告出稿する。
それが一番イメージしやすいですね。
ここが重要なんだけれど、「どうやったら投稿が表示されやすくなるか」という話の前に、そもそもSNSの会社は「何で売り上げを上げているのか」「何を価値として提供しているのか」ここを知ることが大事。
石田さんが言いたいこと、わかってきましたよ。
「SNSを盛り上げるアカウント」が好まれる
じゃあ、SNSのビジネスモデルを踏まえた上で聞きたいんだけれど、SNSに好まれるアカウントって、どんなアカウントだと思う?
やっぱりまずは、たくさん投稿するアカウントですよね。たくさん投稿すると、SNS側にデータがたくさん溜まっていくので、投稿が多いアカウントかなと思います。
うんうん。
あと、たくさんやり取りを発生させるアカウントもそうかなって。コメントが入って、そこからコメントのやり取りとかが生まれると、情報の精度が上がっていきますよね。あとは、「いいねボタン」みたいに投稿への反応をするアカウントとか。
そうだよね。つまり、根本的にはSNSに好まれるアカウントって、SNSを盛り上げてくれるアカウントなんだよね。
ズバリ! ですね。
投稿がたくさん行われてその投稿に対して反応が生まれて、結果としてより膨大な精度の高いデータが集まってくる。まあ、表現はちょっとアレだけれど、SNSに長く貼り付いている人が、ある意味SNSに好まれるアカウントってことになるわけだ(笑)
そう考えるとわかりやすいです。
じゃあさ、そう考えると、どうやったらSNSに表示されやすくなると思う?
まずはこまめに投稿した方がいいかなって思いますし、投稿に「いいね」やコメントなどの反応がつけば、さらに表示されやすくなっていきますよね。
うん、それはその通り。たださ、SNSそのものを盛り上げるっていう視点で見ると、こういう考え方もできると思わない?
と言いますと?
たとえば、他の人の投稿をリツイートするアカウント。他の人のアカウントの投稿にコメントするアカウント。つまり、自分自身のアカウントだけじゃなくて、他のアカウントの動きを活性化させるアカウント。
ああ、なるほど。
そういうアカウントもSNS側から見ると、「SNSを盛り上げてくれているアカウント」って言えるんじゃないかな。
確かに、自分の投稿だけじゃなくて周りの投稿にも反応するアカウントは、SNS全体の動きを活発にしていますもんね。

「強いアカウント」を作るためには、日々の積み重ねが大切!
今度は逆のことを聞くけれど、どうやったらSNSに「表示されにくくなる」つまり、あまり好かれなくなると思う?
それはもう単純で、アカウントだけ作って投稿もせず見る専門の人じゃないですか。
うん、だよね(笑)。僕もその通りだと思う。実際、ここまでの話を聞いてどう感じた?
SNSに好まれやすいアカウントを作ると、SNSのなかで「強いアカウント」になっていくってことですよね。
そうそう。
そうすると、投稿が表示されやすくなったり、日々の投稿がより多くの人に届きやすくなったりする。結果として、バズる可能性も高くなるってことですよね。
その理解で合っているよ。「バズる」こと自体を意図的に作り出すのは、正直かなり難しい。
ですよね。狙ってできるものじゃない気がします。
でもね、SNSのビジネスモデルから逆算すると、「どうやったら強いアカウントを作っていけるか」っていうのは考えられるし、そこは自分たちでコントロールできる。
バズそのものじゃなくて、強いアカウントを作ることは日々の積み重ねでできる、ってことですね。
こんな風に説明できると、SNS活用の「概念」や「考え方」っていうのがマーケティングチームにも浸透していくと思うんだよね。
確かに、やることが整理されますね。
SNSの本質は双方向性にあり
実際の現場を見ていると、SNSを「メルマガの代わり」みたいに使っている会社さんって、まだまだ多いんだよ。
投稿するだけ、みたいな感じですか?
そう。でもSNSの一番の特長って双方向性なんだよね。自分たちが発信することも大事だけれど、それに対して受け手に反応してもらうこと、そして自分たちが他のアカウントに反応することも、すごく重要。
なるほど。
その「反応」を、自分たちとフォロワーだけじゃなくて、第三者のフォロワーが見るからこそ、情報が拡散していく。
そこが広がりのポイントなんですね。

お客さまに好まれる投稿を心がける
ちなみに、今のXで一番「表示されやすい投稿」って何だと思う?
もしかして……炎上ですか?
そう。喧嘩している投稿らしいんだよ。つまり炎上だよね。
確かに、めちゃくちゃ目に入ってきます。
炎上ってさ、RTされてコメントのやり取りも多くて、さっき話した「SNSに好まれやすい条件」を悪い意味で全部満たしている。
言われてみると、確かにそうですね。
でもさ、本質的には炎上して一時的に有名になっても、結局は消費されていくだけだよね。
長くは続かない感じがします。
だから、ネッ担の読者のみなさんには、このSNS活用の概念や考え方を知った上で、お客さまやお客さま候補の人たちに好まれる投稿、好まれるアカウントをめざしてほしい。
バズよりも、信頼されるアカウントですね。
今回はSNS活用の話だったけど、自分たちでコントロールできる部分とか、ビジネスモデルから逆算する考え方って、他のマーケティングにも使える話でしょ。
ここでも、「逆算のマーケティング」ですね!
ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
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