「EC運用力」が身につく10のポイントとは? 発売日のスケジューリング、商品の縦・横展開、ページのABテストなどは押さえるべし!
ECの成長に役立つテクノロジーとソリューションは進化しているのに、「EC事業を成長させるための知識」の不足が原因で、「自社独自のECマーケティングノウハウ」の確立に至るまで「運営サイクル」を回し続けられない事業者は少なくありません。前回のコラムでは全5回の3回目として「EC人材力」の大項目、「市場調査・競合調査」「データ活用」の2つの中項目と5つの小項目について解説しました。今回は3つ目の大項目「EC運用力」をお伝えします。
- EC事業成長のカギは組織の「運営力」。「EC組織力」向上させるポイントとは?
- EC事業の成長にはデジタルを活用したマーケティング力が必要。EC人材力向上の7つのポイントとは?
- なぜその商品・店舗が選ばれるのか? EC事業改善に役立つ市場調査とユーザーレビューの確認ポイントとは
- 「EC運用力」が身につく10のポイントとは? 発売日のスケジューリング、商品の縦・横展開、ページのABテストなどは押さえるべし!
全5回の記事では、筆者のECマーケティング人財育成(ECMJ)が手がけるコンサルティング、相談、講演・セミナーでの質問などから、EC事業の「運営サイクル」を強化するために必要な項目を洗い出した「EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート」をベースに、EC事業を伸ばす「組織力」「人材力」「運用力」を解説していきます(チェックシートの詳細はこちら)。このチェックシートは、「EC組織力」「EC人材力」「EC運用力」の大項目、14の中項目、そして41の小項目から成ります(2023年2月時点)。
「EC運用力」は成長するための基礎力
いわゆるEC運営というと、「EC運用力」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「EC組織力」「EC人材力」を解説してきた通り、EC運営は「組織と人材」が土台にあってこそ成り立ちます。
チェックシートの「EC運用力」は「販売スケジュール作り」「商品企画」「集客・認知拡大・広告活用」「SNS活用」「ページ作り」「客単価対策」「CVR対策」「バックオフィス」の8つの中項目から成ります。
筆者たちは、「EC運用力」を「EC事業を日々具体的に進捗、成長させるための基礎的な力」と定義しています。繰り返しになりますが、「EC組織力」「EC人材力」の土台が整っていることで、「EC運用力」が生み出す成果が大きく変わります。
- 販売スケジュール作り
- 新商品の発売や販促企画の告知など、お客さまに提案する日をスケジューリングできているか
- お客さまに提案する日から逆算してコンテンツ制作などのスケジュール設定ができているか
- お客さまの購買意欲が高まるイベントやモールの販促のスケジュールを押さえているか
- 商品企画
- 新商品を発売する際、ネット上やショッピングモールの市場調査をしてから価格設定をしているか
- 自社のECサイトにおける売れ筋商品の横展開・縦展開の商品企画ができているか
- 自社のECサイトにおける売れ筋商品の「松竹梅」商品を企画し、アッパーラインの商品を提案できているか
- 集客・認知拡大・広告活用
- 自社のECサイトの商品を「お客さまがどう探すか?」を考え、検索キーワード対策をしているか
- 自社のECサイトにおける広告(集客)玉の商品を選定できているか
- 自社のECサイトの売れ筋商品の提案力を高めるため、集客に合わせたページの改善とABテストができているか
- 「広告費<広告売上×利益率」の基本的な広告の方程式(計算式)を理解し運用しているか
販売スケジュール作り ①:新商品の発売や販促企画の告知など、お客さまに提案する日をスケジューリングできているか
EC事業のマーケティングも、まず販売スケジュールを立てることから始まります。お客さまに直接提案する施策を中心にスケジュールを組みましょう。スケジュールがなければ組織内でのECの優先順位は徐々に落ちていきます。
販売スケジュール作り ②:お客さまに提案する日から逆算してコンテンツ制作などのスケジュール設定ができているか
販売スケジュールを立てたら、逆算して撮影、テキスト執筆、商品登録などの実施日を決めていきます。この具体的な行動が決まるのは販売スケジュールがあるからこそ。「商機を逃さない」スケジュール作りを心得ましょう。
販売スケジュール作り ③:お客さまの購買意欲が高まるイベントやモールの販促のスケジュールを押さえているか
お客さまの購買意欲は一定ではありません。母の日、クリスマス、ボーナス、またショッピングモール主催のイベントなどは特に購買意欲が高まります。購買意欲が上がるタイミングを漏れなくスケジュール管理し、それに合わせてお客さまに提案することが大切です。
商品企画 ①:新商品を発売する際、ネット上やショッピングモールの市場調査をしてから価格設定をしているか
ECが比較されるビジネスである以上、「市場価格(相場)」の調査が重要になります。新商品の機能性、デザイン性、ブランド性、そして商品ページを市場と比較して、冷静な目で価格設定を行いましょう。
商品企画 ②:自社のECサイトにおける売れ筋商品の横展開・縦展開の商品企画ができているか
ECの商品企画は「軸になる売れ筋商品」の幹を太くしつつ、その売れ筋商品の派生商品(横展開・縦展開)の提案を行うことが大切です。たとえばハンドバッグはショルダーバッグに、小型犬用は大型犬用に、商品を展開させていきましょう。
商品企画 ③:自社のECサイトにおける売れ筋商品の「松竹梅」商品を企画し、アッパーラインの商品を提案できているか
自社のECサイトが一定の規模に到達したら、売れ筋商品のアッパーラインを企画します。たとえば機能性が高いもの、高級な素材を使ったもの、デザイナーとのコラボ商品などです。自社のブランド性がどこまで上がったかを確かめる方法にもなります。
集客・認知拡大・広告活用 ①:自社のECサイトの商品を「お客さまがどう探すか?」を考え、検索キーワード対策をしているか
検索サジェストやキーワードプランナーの活用は有効ではありますが、最終的な差別化にはなりません。ポイントはお客さまの「生の声」にあります。お問い合わせやリアルでの接触から、「お客さまが何をどう表現するか」に気をつかってみてください。ヒントがあるはずです。
集客・認知拡大・広告活用 ②:自社のECサイトにおける広告(集客)玉の商品を選定できているか
新規のお客さまの購入につながりやすく、その後のリピートにもつながる商品。いわば「広告(集客)玉」の商品を自社のECサイトから選定することが大切です。一部の大手ECサイトを除いて、ECはまず一点突破です。自社だけの広告玉を見出しましょう。
集客・認知拡大・広告活用 ③:自社のECサイトの売れ筋商品の提案力を高めるため、集客に合わせたページの改善とABテストができているか
EC集客のポイントは「お客さまごとに訴求を変える」です。たとえば、「商品を知らない」「商品は知っている」「商品を利用したことがある」、この3つはそれぞれお客さまへの提案を変える必要があります。集客に合わせた提案を行い、データ分析と改善を繰り返しましょう。
集客・認知拡大・広告活用 ④:「広告費<広告売上×利益率」の基本的な広告の方程式(計算式)を理解し運用しているか
インターネットの広告活用には方程式があります。仮に「広告費<広告売上×利益率」だったとしても、その後のリピート次第では広告戦略としては合格になります。マーケティングでもっとも難しいのは新規集客です。「集客効果を最大限する」をかけるため、細かい広告分析を理解していることが大切です。
今回は「EC事業の運営サイクル強化のためのチェックシート」における「EC運用力」について10個のチェックポイントをお伝えしました。次回は「EC運用力」の残り5つの中項目、「SNS活用」「ページ作り」「客単価対策」「CVR対策」「バックオフィス」を解説します。
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
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