強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

メルマガを配信する価値は、顧客と「ゆるいつながり」を作る+能動的にアプローチできること

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載24回目】

石田 麻琴[執筆]

8:00

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。24回目の連載は「メルマガを配信する価値」をテーマに解説します。

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強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

今回は、「メルマガの考え方とヒント」がテーマ

石田

ネッタヌ君こんにちは!

ネッタヌネッタヌ

石田さんこんにちは!

石田

前回はSNSをテーマにしたんだけれど、今日は何をテーマにしようか。

ネッタヌネッタヌ

今回も情報発信というカテゴリで、メルマガなんてどうでしょうか?

石田

じゃあ今日は、メルマガの考え方とヒントついて話していこうか。

ネッタヌネッタヌ

お願いします!!

メルマガは能動的にお客さまにアプローチできる

石田

それじゃあ最初に、メルマガの今までの歴史、流れから少し振り返っていくね。

ネッタヌネッタヌ

ぜひ聞かせてください。

石田

僕がネットショップを運営していた2005年頃、メルマガっていうのは非常に有効なECの施策だったんだよね。

ネッタヌネッタヌ

そんなに強い施策だったんですか?

石田

当時はメールマガジンの保有数、つまりメールアドレスの件数がイコール売り上げにつながる、なんて言われていた時期もあったんだよ。

ネッタヌネッタヌ

メールアドレスの数がそのまま売り上げなんてすごい。

石田

けれど、東日本大震災以後に自主的な規制が入った。「あまり余計なメールを送らないようにしよう」という動きがあった。

ネッタヌネッタヌ

大切なメールが埋もれちゃう可能性もありますもんね。

石田

そのあたりから、世の中が「SNSを強化していこう」という方向に動いていったんだ。

ネッタヌネッタヌ

なるほど。SNSへの移行には、そういった背景があったんですね。

石田

ただネットショップにとって、依然としてメルマガは重要なツールなんだよね。なんでだと思う?

ネッタヌネッタヌ

う~ん。なぜでしょうか……。

石田

それはね、メルマガっていうのは、「能動的」にお客さまにアプローチできるツールだからなんだよ。

ネッタヌネッタヌ

「能動的」ですか。

石田

そう。この「能動的」っていうのがポイント。

SNSって、情報を発信してもお客さまがSNSを開いていなかったら見ないよね。あるいは、タイムラインに表示されなかったら情報を目にすることもない。ネットショップで新商品を発売したり、新しい販促企画を始めたりしても、お客さまがそのタイミングでECサイトに来なければ、その情報を知ることもない。

ネッタヌネッタヌ

言われてみればそうですね。

石田

つまりネットショップの戦略って、どちらかというと「受動的」になりやすいんだよ。

ネッタヌネッタヌ

確かに。だからこそ、メルマガには価値がある。自分たちから届けにいけますもんね。

石田

メルマガ以外だと、たとえばダイレクトメール(DM)、はがきやカタログを送る方法もある。これも能動的な施策。でもメルマガは、メールアドレスだけしか知らない見込みのお客さまにも送れる。

ネッタヌネッタヌ

そして、ダイレクトメールよりコストもかからない。

石田

コストをあまりかけずに広く能動的にアプローチできる。それがメルマガなんだよ。だからまずは、メルマガの重要性っていう前提を、もっと上げてもらった方がいいと思う。

メルマガは数少ない能動的なアプローチ
メルマガは数少ない能動的なアプローチ

「メルマガが読まれない」のは、あなたのネットショップが問題かも

石田

メルマガの話をする時に、やっぱりよく出てくるのが「メルマガは読まれるのか?」なんだよね。

ネッタヌネッタヌ

はい、やっぱりそこが気になりますよね。

石田

ただ、この「読まれるか・読まれないか」っていうのは、そもそもメルマガの問題なのかな?

ネッタヌネッタヌ

え、もしかして……怖い……。

石田

メルマガが読まれるか読まれないかってさ、メルマガの問題じゃなくて、「あなたのネットショップの問題」なんだよね。

ネッタヌネッタヌ

石田さんって、言いにくいことをわりとサラッと言いますよね。

石田

BtoBの事例になっちゃうんだけれど、たとえば僕が実施しているメルマガは、毎回開封率が45%程度あるんだよね。

ネッタヌネッタヌ

45%!? それはかなり高いですよね。

石田

だからポイントは、メルマガ自体が良いか悪いかじゃない。メルマガのコンテンツ作りだったり、お客さまとの関係性の作り方だったり、きちんとショップの名前が印象付けられているかどうかだったり、そういうところを見直した方がいいかもしれない。もし「メルマガが読まれない」と感じているならね。

ネッタヌネッタヌ

メルマガ単体の問題じゃないってことですね。

石田

そう。読まれるメルマガは読まれている。「読まれない」と思っているなら、やっぱり自分たちに何か問題があると考えた方がいいと思うし、その方が建設的じゃない。まあ、この辺りはECビジネス全体にも関わる話だから、今回は一旦置いておこう。

メルマガで重要なことは「セグメント」

石田

メルマガのノウハウで重要なのはやっぱり「セグメント」だよね。

ネッタヌネッタヌ

セグメントですね。もちろんわかります。

石田

大切なのは、お客さまをセグメントして、お客さまごとにメルマガの発信内容を変えること。

ネッタヌネッタヌ

同じショップでも分けた方が良いんですよね。

石田

そう。1つのネットショップでも、複数の顧客層がいる――いわゆる「対象顧客」だね。たとえば楽器屋さんのネットショップを運営しているとする。お客さまにはピアノを弾く人、ギターを弾く人、バイオリンを弾く人、それぞれいるよね。

ネッタヌネッタヌ

トランペットやドラムに興味がある人もいると思います。

石田

最近楽器を始めた「本気で取り組みたい人」もいれば、もう20年・30年楽器を演奏しているベテランユーザーもいる。あるいは特定のアーティストのファンで、そのアーティストのモデル商品に興味がある人とかも。

ネッタヌネッタヌ

確かに、まったく目的が違いますよね。

石田

つまり、同じ楽器屋さんでもお客さまの顧客層は1つじゃない。複数の「対象顧客層」がいるわけだ。だから大切なのは、ネットショップの顧客データから逆算して、対象顧客を炙り出すこと。今いるお客さまのなかから、きちんとセグメントしていくことなんだよね。

セグメントしたメルマガ作成にAIを活用する

ネッタヌネッタヌ

でも石田さん、対象のお客さまごとにセグメントしてメルマガを作っていくわけですよね。ってことは、コンテンツをたくさん作るってことですよね。それって、めちゃくちゃ大変なんじゃないですか?

石田

そう、その通りだよ。その工数をかけるのは今まで大変だった。でもさ、いいものがあるじゃない。

ネッタヌネッタヌ

え? いいものですか? あ、わかりました。AIですね。

石田

そう。AIに対象顧客の特性を教えて、対象顧客別のメルマガのベースを作ってもらえばいいじゃない。

ネッタヌネッタヌ

メルマガのベースをAIに作ってもらって、ネットショップのカラーに合わせて編集するってことですね。

石田

AIの時代だからこそ、最後の人間のひと手間が大事。最初にきちんと対象顧客の特性を教える。最後に、メルマガの内容やコンテンツを整える。この「最初と最後」のひと手間は少なくとも人間がやりたいよね。

AIを上手く活用して対象顧客別のテキストを作る
AIを上手く活用して対象顧客別のテキストを作る

メルマガを通じてお客さまと「ゆるいつながり」を作る

石田

あとはメルマガもやっぱりデータを見ることが大事だよね。メルマガの配信数、開封数、開封率、クリック数、メルマガ経由の売り上げが取れるシステムもある。

ネッタヌネッタヌ

それぞれのデータを見ながら、毎回フィードバックして改善するのが重要ですね。

石田

メルマガを配信しても、すぐに購買につながらないケースもある。でも、やっぱり配信し続けることが大事だと思うんだよ。

ネッタヌネッタヌ

すぐに結果が出なくても、ですか?

石田

僕らはさ、メルマガを送ったら「すぐ買ってほしい、すぐ結果が出てほしい」って思いがちなんだけど、お客さまにはそれぞれのタイミングがある。「比較検討して考えよう」ってこともあるし、「次のお給料が入ったら買おう」とかもあるしさ。

ネッタヌネッタヌ

メルマガを見てすぐに決めるのは、むしろ少ないかもしれないですね。

石田

だから1回・2回で結果が出ないからといって、「メルマガ読まれないじゃん」って考えるのはちょっと違う。大切なのは、メルマガを通じてお客さまと「ゆるいつながり」を作っておくことなんだよ。

ネッタヌネッタヌ

「ゆるいつながり」ですか。

石田

こちらはお客さまだと認識していても、定期的な発信がないとお客さま側がショップのことを忘れてしまう。そうなったらもったいないよね。

ネッタヌネッタヌ

だから定期的にメルマガを送って、「頭の片隅に残っていてもらえればOK」という状態を作っておくわけですね。

成果を条件に行動を選ばない

石田

そしてタイミングが来たときに、「ぜひ利用してください」「もう一度ECサイト見てみてください」、それでいいじゃない。たとえば、メルマガを10人に送ったとする。開封率が2割だったとしたら、8人には読まれていないってことになるよね。

ネッタヌネッタヌ

ちょっと残念ですよね。

石田

でも、「10人のうち8人に読まれなかった」と考えるより、「2人に読んでもらえた」と考える方がいいと思うんだよね。

ネッタヌネッタヌ

メルマガを送らなければ、その2人に伝わることもなかった。

石田

そう。大切なのは成果を求めすぎないこと。「メルマガは読まれるのか?」の話にもつながるんだけど、成果を条件に行動を選んじゃダメなんだよ。

ネッタヌネッタヌ

(また石田さん得意の本質的な話の予感……)

石田

「成果が出るならやる、出ないならやらない」って先に考えちゃうと、結局行動をしなくなっていくんだよ。

ネッタヌネッタヌ

そうしたら、結果的に何も得られないわけか……。

石田

だから、成果を条件に行動を選ぶっていうのは、やめた方がいいと思うよ。

ネッタヌネッタヌ

いやー、仕事とか人生にも通じる話でネッタヌの心に染みました。

ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

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