強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

AIの登場で「思考」がより重要に。不安を感じすぎず「仕事任せる」思考に慣れていこう

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載25回目】

石田 麻琴[執筆]

8:00

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。25回目の連載は「AI活用の本質」をテーマに解説します。

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強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

今回は「AI活用の考え方」についてのお話

ネッタヌネッタヌ

石田さん、こんにちは!

石田

ネッタヌ君、こんにちは。前回のメルマガの話のなかで、少しAIについて話したのを覚えている?

ネッタヌネッタヌ

最後の方で、「セグメントした顧客層別のメルマガをAIに作成してもらおう」みたいな話がありましたよね。

石田

今回はどんなテーマにしようか考えていたんだけれど、ECのマーケティングチームを内製化するにあたっての「AI活用の考え方」にフォーカスを当てたいと思うんだよ。

ネッタヌネッタヌ

いま一番みなさんが気にしていることですよね。

石田

そうそう。このマーケティング内製化のコラムとしても触れざるを得ない。

ネッタヌネッタヌ

ぜひぜひ聞かせてください。

AIの登場でEC事業に不安を抱く必要はない。けれど、触れておくことは大切

石田

まずさ、いまAIについて情報が溢れすぎていると思うんだよね。

ネッタヌネッタヌ

本当にもう追い切れないほど。

石田

インターネットもSNSもウェビナーも。人との会話でも、「AIをどう使っている?」みたいな話題が多いと思う。

ネッタヌネッタヌ

毎日のように聞きますね。

石田

「ChatGPT」「Gemini」「Claude」――。その他にもいろいろなAIエージェントが日々生まれているし、成功事例もどんどん出てきている。「AIを使ってとても儲かっています」とか「めちゃくちゃコストを削減しましたとか」そういう情報がすごく多いよね。

ネッタヌネッタヌ

「自分が時代に取り残されている」って思います。

石田

そんななかで、「今後、自社のネットショップがどうなっていくのか」とか、「売り上げが急に落ちて商売が立ち行かなくなるんじゃないか」とか、そういう不安を感じている人もいると思う。

ネッタヌネッタヌ

確かに、モヤモヤしている人は多そうですね。

石田

ここはね、自信を持ってはっきり言いたいんだけれど、現状そんなに不安になる必要はない

ネッタヌネッタヌ

今かなり不安に感じている人、多いと思います。

石田

AIのソリューションを提供している人たちが、ポジショントークで「儲かっています」とか「コスト削減しました」とか、煽っている部分もあるじゃない。

あとは今、パーソナライズがすごく進んでいるから、ネットやSNS上でAIの情報ばかりが出てくる状態になっている。

ネッタヌネッタヌ

ネッタヌのタイムラインもほとんどAIの話題です。

石田

だから、周囲の人がみんなAIを活用して成功しているように錯覚してしまうんだよね。これはパーソナライズのマジック。

ネッタヌネッタヌ

見えている世界が偏っているってことですね。

石田

でも実際に外に出てみると、一般の人がみんなAIのことを考えているわけじゃない。そこは心配しなくていいと思う。

だから、明日いきなりあなたのECサイトがなくなることもないし、売り上げが急激に落ちて事業が立ち行かなくなることもない

ネッタヌネッタヌ

そこまで急激な変化はありえない、ということですね。

「どんな仕事を任せるか」という観点でAIを使ってみる

石田

ただね、AIの時代は不可逆的に進んでいくものだから触っておくことは必要

ネッタヌネッタヌ

完全に無視するのも違うってことですね。

石田

そう。そして、ちょっとでもいいからAIに仕事を与えてみる。それは今の段階でやっておくことが大切だと思う。

ネッタヌネッタヌ

今のうちに慣れておく必要があるってことですか?

石田

ネット検索の代わりに使ったり、趣味で使ったりするのもまったく問題ないんだけれど、「どんな仕事を任せるか」という視点で使ってみてほしい「任せる仕事を探す思考」を養っておいた方がいいってわけだ。

ネッタヌネッタヌ

ツールを使うことに「慣れる」というより、使い方を考える「思考」に慣れるってことか。

仕事を任せる思考に慣れる
仕事を任せる思考に慣れる

AIの登場で「思考と表現の分離」ができるようになった

石田

いま話したことを踏まえて、ECのマーケティングチームの内製化のために伝えておきたい、「AI活用の本質」があるんだよね。

ネッタヌネッタヌ

(何だか大切な言葉が出そうな予感……)

石田

AIってさ、「思考と表現の分離」なんだよ。

ネッタヌネッタヌ

すごく重要そうなキーワードですね。

石田

人間はAIというツールを手に入れたことで、初めて「思考と表現を分離」できるようになったんだよね。

ネッタヌネッタヌ

むむむ難しい。石田さんは哲学者ですか!?

石田

もう少し詳しく話すね。これまでは、人間の「思考と表現」って一体だったんだよ。自分の頭で考えたことを、言葉や文章、図やイラスト、データ、画像、動画みたいな形にして表現しないと、他の人に伝えることができなかった。

ネッタヌネッタヌ

確かに、表現しないと伝わらないですよね。

石田

だから、思考と表現は一体だった。どれだけアイデアや発想が良くても、表現がうまくなければ人に伝わらなかった

ネッタヌネッタヌ

それはすごく実感があります。

石田

逆に、表現がうまいから評価されてきたケースもあったと思う。思考自体は微妙でも、表現がうまいから評価される、みたいなね。

ただ、表現力が乏しかったから、すばらしい思考なのに評価されなかった人の方が多いんじゃないかな。たとえば、口下手な人とか、引っ込み思案な人とか。

ネッタヌネッタヌ

でも、AIが登場したことで「思考と表現を分離」できるようになった……。

石田

そう。たとえば、僕は講演やセミナーでパワーポイントの資料を作ることが多いんだけれど、パワーポイントを開いた時点で「何を伝えたいか」は考え終わっているんだよね。

ネッタヌネッタヌ

確かに。作り始める前に中身は決まっていますよね。

石田

だからパワーポイントを作る時点で、思考はもう終わっている。でも実際に時間がかかるのは、頭の中にある思考をスライドに落とす作業なんだよね。ここが思考よりも何倍も時間がかかる。

ITエンジニアがECサイトを作るときも同じだと思うし、デザイナーが商品ページを作るときも同じだと思う。

ネッタヌネッタヌ

思考よりも、形にする方に時間がかかっているってことですね。

石田

でもAIが登場したことで、その人の思考をAIが受け取って、思考を表現に変換してくれる時代が来た

ネッタヌネッタヌ

それが「思考と表現の分離」なんですね。

石田

そういうこと。表現を作るコストが一気になくなって、思考に近いスピードでアウトプットが出せるようになったってわけ。

ネッタヌネッタヌ

かなり大きな変化ですね。

AIは「思考と表現」の分離
AIは「思考と表現」の分離

人はより深く・広く思考する必要が出てきた

石田

ということはさ、「より深く、よりたくさんの思考」を持っている人が、AIを活用して世の中にインパクトを残せる時代になったってことなんだよね。

ネッタヌネッタヌ

なるほど。表現の差じゃなくて、思考の差がそのまま結果に出やすくなったってことですね。

石田

Amazonのジェフ・ベゾス氏が、「Amazonの運営をすべてAI化して1人で運営し、商品の価格を半分に落とす」って言った話、知っている?

ネッタヌネッタヌ

聞いたことあります。正直、かなり極端な話だなって思っていました。

石田

どこまで本気で言っているのかはわからないんだけれど、実はすごく現実的なんだよ。

ネッタヌネッタヌ

え!?

石田

なぜかというと、ジェフ・ベゾス氏は、Amazonの業務フローや判断フローをすべてAI化するための「思考」を持っているじゃない。

ネッタヌネッタヌ

仕組みをどう分解してAIに任せるかを理解しているわけだ。

石田

逆に、AIの活用でよくありがちなのが、「AmazonみたいなECサイトを作ってめちゃくちゃ儲けたいんだけれど、どうすればいい?」みたいな問い。

ネッタヌネッタヌ

ああ……ありますね(汗)それは確かに抽象的すぎます。

石田

質問の解像度も低いし、AIに何をどう表現してもらいたいのかも具体的じゃない。まあ、つまりは「思考」が足りていないってことなんだよね。

ネッタヌネッタヌ

AIの使い方の問題というより、「考えの深さ」の問題なんですね。

石田

そういうこと。だから人間は、より勉強しなきゃいけなくなった。思考を深く、広くするためにね。

ネッタヌネッタヌ

やっぱり学ばなきゃいけないんだ~。

石田

前回のコラムで話した、「顧客層ごとにメルマガを作る」っていう話もそう。顧客層を分析して、それをAIに教えるっていう思考がなければ、そこまでたどり着かない。

ネッタヌネッタヌ

考えがないとAIに指示も出せないですね。

石田

だからAIの時代は、「思考」がより重要になる時代になったってことなんだよね。

最初の一歩を踏み出すことから始めよう!

石田

今回、こうやって「AI活用の本質」ってテーマで話してきたんだけれど、ここまで聞いても、まだ「AIについていけなくて不安だ」っていう人、いると思うんだよね。

ネッタヌネッタヌ

正直、読者さんのなかにも「難しそうだな」って感じている人は多そうですね。

石田

もう一回言うけれど、大丈夫だと思います。

ネッタヌネッタヌ

そこは安心していいんですね。

石田

今のAIって、まだまだ難しいのよ。これでも。本来は、文章(言葉)で指示すれば表現できるっていう、すごくシンプルで便利なもののはずなんだよね。

ネッタヌネッタヌ

確かに、本来はもっと直感的に使えるもののはずですよね。

石田

でも今は、「AIを使える人・使えない人がいる」みたいな、ある種これまでの「システム開発スキル」みたいな扱われ方をしている。それって、まだ過渡期だっていう証拠なんだよね。

ネッタヌネッタヌ

今がちょうど移行途中ってことですね。

石田

だから、もっともっと使いやすいAIはどんどん出てくる。これはもう間違いないと思う。だからまずは、「仕事として何かを任せてみる」ところから始めてみてほしい。このコラムでも、「こういうことはAIでできるんじゃないか」っていう話は、できるだけしていきたいと思っているので。

ネッタヌネッタヌ

実際の使いどころが見えると、かなりハードル下がりそうですね。

石田

やっぱり一番大事なのは「0→1」。最初の一歩を踏み出すことがとても重要だから、ぜひ取り組んでみてください!

ネッタヌネッタヌ

まずは一歩、ですね!

ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

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