マーケティング支援を手がけるMacbee Planetはこのほど、SNS広告とインフルエンサーマーケティングに関する「過去・現在比較調査」の結果を公表した。調査によると、施策の目的は認知拡大中心から、Web流入、顧客獲得、継続率向上といった事業貢献を重視する方向へシフトしている。重点媒体もX中心からYouTubeやTikTokなどの動画系プラットフォームへ移行しつつあり、インフルエンサー施策では単発タイアップから長期契約・成果連動型への移行が進んでいる。

SNS広告は6割超が実施、インフルエンサー施策は3割弱
調査によると、直近12か月のデジタルマーケティング施策の実施状況は、SNS広告が61.3%、自社SNS運用が52.7%となり、過半数の企業が取り組んでいた。

一方、インフルエンサーマーケティングは29.7%にとどまり、SNS関連施策のなかではまだ一般化しているとは言い切れない状況がうかがえる。
Macbee Planetは、この結果について、インフルエンサー施策は企業ごとに運用ノウハウや評価手法の差が出やすい領域であることが表れているとしている。
目的は「認知」から「流入・獲得・継続」へ
SNS広告やインフルエンサーマーケティングの目的は、過去と比べて大きく変化している。
- 認知拡大:35.8%→25.3%
- 興味喚起・比較検討促進:23.5%→18.8%
と低下した一方、次の項目はいずれも上昇した。
- Web流入・来店促進:18.6%→25.1%
- 新規獲得:10.5%→16.3%
- 継続率向上・ファン醸成:2.9%→8.8%

話題化や認知獲得だけでなく、送客や顧客獲得、継続利用まで含めた成果が求められる施策へと変化していることがうかがえる。
重点媒体はXからYouTube・TikTokへ
重点媒体にも変化が見られた。Xは29.6%から19.2%へ低下した一方、YouTubeは26.9%から30.7%へ上昇。TikTokも2.1%から6.1%へ伸長した。Instagramは28.7%から29.2%とほぼ横ばいだった。特定媒体への一極集中ではなく、X中心の構図から、動画コンテンツや視聴体験を重視した媒体設計へと重心が移っている。特にTikTokは絶対値こそ大きくないものの、伸び率の高さが目立った。

運用体制は「SNS広告は外注」「自社SNSは内製」が鮮明
現在の運用体制を見ると、SNS広告は「外注主導」(完全外注+外注割合が多い)が50.9%で最多だった。
これに対し、自社SNS運用は「内製主導」(完全内製+内製割合が多い)が41.5%と比較的高い結果となった。
一方、インフルエンサーマーケティングは「外注主導」39.3%、「半々」26.6%、「内製主導」19.6%という構成だった。

社内だけで完結しづらい一方で、完全外注にも寄せ切れないという、同施策特有の運用難易度が表れている。
クリエイティブは短尺動画・量産・UGC風が主流に
過去と比べて増加したクリエイティブ施策として、SNS広告では、「短尺動画の活用」(35.8%)「クリエイティブの量産」(32.0%)「UGC風・生活者素材の活用」(28.1%)が上位に並んだ。
自社SNS運用では、「量産」(26.1%)「生成AIの活用」(24.1%)「短尺動画」(22.6%)が上位だった。
インフルエンサーマーケティングでも「量産」28.3%、「短尺動画」23.3%が上位となったが、「特に変化はない」も24.2%あった。全体として、動画化・量産化・AI活用が進んでいる。
インフルエンサー施策は単発から長期契約へ
インフルエンサーマーケティングの方針にも変化が見られた。
- 単発のタイアップ/PR投稿(固定報酬):23.9%→16.4%
- 商品提供(ギフティング):26.6%→19.1%
が低下した一方、次の項目は上昇した。
- 長期契約(アンバサダー契約など):16.9%→25.1%
- 成果連動:6.7%→11.9%
- 固定+成果のハイブリッド:4.8%→7.5%

短期的な露出獲得から、継続的な接点づくりと成果創出を両立する設計へ移行している。
KPIは「露出」だけでなく「行動」へ
重視するKPIにも変化が表れた。
- 来店・予約:22.7%→24.6%
- クリック/流入:12.4%→15.7%
- 指名検索:2.7%→7.2%
- 再生・リーチ数:6.7%→8.4%

認知や獲得だけでなく、比較検討や送客、来店といった行動まで含めて評価する流れが強まっている。特に指名検索の伸びは、インフルエンサー施策がブランド想起や比較検討の入り口として評価され始めているようだ。
選定基準はフォロワー数より「反応」と「表現力」
インフルエンサーの選定基準も変化している。
- フォロワー属性:43.7%→27.6%
- フォロワー数:43.1%→34.5%
が低下した一方、次の項目は上昇した。
- エンゲージメント率:22.0%→28.2%
- フォロワーとの距離感:17.1%→23.3%
- クリエイティブ力:11.9%→19.5%
- コストパフォーマンス:12.8%→17.6%
「誰にどれだけ届くか」という量の評価から、「どのような反応を生み出せるか」「どのように表現できるか」という質の評価へと軸足が移っている。
最大の課題は効果測定と社内説明
現在の課題として最も多かったのは「効果測定が難しい」の49.0%。他の項目は次の通り。
- 社内でKPIの合意が取りにくい(30.3%)
- 計測環境が十分でない(30.2%)
- インフルエンサーとのコミュニケーションが難しい(28.4%)
- コンプライアンス対応の負荷が大きい(25.2%)
- ブランド毀損(きそん)・炎上リスクへの不安(23.4%)
施策そのものへの関心が低いのではなく、評価の難しさや運用負荷、社内説明の難しさがボトルネックとなっている構図が浮かび上がった。
今後は「長期契約」と「固定+成果」の組み合わせが主流に
今後の報酬体系として、「長期契約(アンバサダー契約など)を中心にしたい」(31.8%)「固定+成果のハイブリッドを増やしたい」(25.3%)が上位となった。一方、「単発の固定報酬を中心にしたい」は15.7%にとどまった。

固定報酬だけでも完全成果報酬だけでもない、中間的なモデルへのニーズが高まっている。継続的な関係構築を前提としながら、成果要素も組み合わせる設計が今後の主流になりそうだ。
調査概要
- 調査名:マーケティング担当者1200人のSNS広告およびインフルエンサーマーケティングに関する「過去・現在」比較調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2026年3月16~3月19日
- 有効回答数:BtoC企業でマーケティング業務に従事する担当者1221人
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