「松屋」「すかいらーく」「大阪王将」「ジョイフル」という競合企業同士がタッグを組んだ! auコマース&ライフが運営するECモール「au PAY マーケット」は2025年のブラックフライデー期間、競合企業同士によるコラボレーション企画「惣菜祭」を実施。全社共に流通額、新規顧客数が大幅に伸長したという。企画を実施した背景や各社の成果などをauコマース&ライフの駒井恵輔氏(営業本部 ストアコンサルティング1部 副部長)に取材した。
競合企業がコラボ。各社の強みを生かし相互送客できる企画「惣菜祭」を実施
「au PAY マーケット」で実施したコラボレーション企画「惣菜祭」は、2025年11月27日10時00分~12月2日9時59分まで、ブラックフライデーの期間に実施した。「au PAY マーケット」に出店している「松屋」(松屋フーズ)、「すかいらーく」(すかいらーくホールディングス)、「大阪王将」(ナインブロック)、「ジョイフル」(ジョイフル商事)の4社が参画し、最大65%オフのセールなどを実施したキャンペーンだ。競合企業同士がECモール内でコラボレーション企画を実施するのは、「au PAY マーケット」が初だという。
企画の発端は、auコマース&ライフが実施している「ベストショップアワード」。授賞式に参加した松屋フーズとすかいらーくホールディングスを交え、「何か共同企画ができないか」と話があがった。
駒井氏は「競合に思えるようで、それぞれのターゲット層、利用者層が異なることが良い方向に働くのではないか」と考え、企画を立案。「初コラボ記念 スペシャルセール」と題したイベントを2025年8月13日~16日まで実施した。企画ではセールや両社の商品を詰め合わせたセット商品などを販売、両社共に売り上げが前年比2.5倍に伸長、新規顧客の獲得にもつながったという。
同じ外食チェーンとして競合だと思えるかもしれません。しかし「松屋」は男性がターゲットで、実際のお客さまも7~8割が男性。一方「すかいらーく」は洋食がメインなこともあり女性のお客さまが多く、メイン層が異なるのです。共同企画を行うことで、各社の強みを生かした相互送客につなげられたり、弱みを補填し合えたりするのではないかと考えました。(駒井氏)
(画像は松屋フーズのプレスリリースより)
2社合同企画が好調だったことを受け、「より商品やお客さまの幅を広げたい」と駒井氏は考えた。 そこで、主に中華料理の商品を取り扱う「大阪王将」、九州を中心に地方での知名度が高い「ジョイフル」に提案、4社合同企画「惣菜祭」を企画した。
各社共に共通の課題は「新規顧客獲得」
「惣菜祭」を実施した背景には、4社共に「新規顧客をどのように獲得するか」という課題を抱えていることがある。たとえば、「au PAY マーケット」への出店期間も長く、「ベストショップアワード2023」で「カテゴリ賞 ベストショップアワード」を獲得するなど成長を続けている「松屋」は、「au PAY マーケット」内での顧客獲得が頭打ちになっていると感じていた。一方で「ジョイフル」は「出店歴が短く、それこそ新規顧客を獲得していかなければいけない状態だった」(駒井氏)。
また、「au PAY マーケット」としても、モール自体の規模が発展途上の段階に留まっており、「松屋」の新規顧客獲得状況なども踏まえ、新規顧客の獲得が伸び悩んでいるのではないかという課題を抱えていた。
モール、出店店舗共に「新規顧客獲得」という共通の課題を解決するため、「惣菜祭」の開催に至ったのだ。
他のECモールと比較して、「au PAY マーケット」は市場浸透の途上にあり、規模もまだ発展段階にあります。こうした状況での差別化として「他のモールではできないことをしよう」と思いました。(駒井氏)

(画像提供:auコマース&ライフ)
各社が一斉にプレスリリースを配信。タイムセールなどを行い、4社合計の新規流通額が前年比624%を達成
「惣菜祭」では、4社共に同じ販促内容を実施。実施した内容は次の通り。
- タイムセールで最大65%オフ
- 「Pontaパス」のポイントを最大50%還元するセレクト商品を用意
- ライブコマースTV「生配信!よしもと市場」との連携
- 各店舗の紹介
その他、「Pontaパス」会員限定のクーポン配布などを行った。また、話題性を狙い2025年11月17日に4社が同時にプレスリリースを配信。同時配信したことでメディアなどにも取り上げられ、企画の認知向上につながったという。
各社実店舗が強い業態ではあるが、ECモールの施策として行ったため実店舗でのPRは実施しなかったという。「『松屋』はSNSでの発信、『すかいらーく』は自社アプリ内で発信を行ったため、一部のリアルのお客さまには訴求できたのではないでしょうか」(駒井氏)。
11月27日~12月2日の約6日間、ブラックフライデー期間に開催した同企画では、4社合計の流通額は新規顧客で前年比624%、既存顧客は約1.7倍と大きく伸長した。また、4社全体のKGIとして設定していた流通額は前年と比較して達成率352%、KPIの訪問者数は同1494%となった。

(画像提供:auコマース&ライフ)
4社を個別に見ていくと、「松屋」は流通額が前年比193%、訪問者数は同873%。 新規で見ると、流通額は前年比457%、訪問者数は1011%に伸長した。

「すかいらーく」は流通額が前年比683%、訪問者数は同3344%。新規の流通額は前年比982%、訪問者数は3421%。「大阪王将」は前年比844%、訪問者数は同1338%。新規で見ると、流通額は前年比1237%、訪問者数は1431%という結果になった。

「ジョイフル」は、流通額が前年比1234%、訪問者数は同1289%。新規で見ると、流通額は前年比1146%、訪問者数は1281%となった。なお、前年の同時期は出店直後だったため、既存ユーザーの前年比については算出対象外となる。

企画の目的は「どれだけ新規顧客を獲得できるか」だったので、前年比約6倍の数値は大きい。また、個別に見ても良い数値が出ていると思っています。(駒井氏)
コラボ商品の販売は行わなかったが、さまざまな商品を詰め合わせたセット商品が各社共に人気だったという。
たとえば「松屋」は牛丼のイメージが強いかもしれませんが、カレー、ハンバーグ、もつ鍋などさまざまな商品を扱っているため、それらを詰め合わせた商品を用意していただきました。「すかいらーく」は中華の「バーミヤン」、洋食メインの「ガスト」など、バリエーション豊かな商品を取り扱っているため、その強みを生かした商品を販売していました。各社共にバリエーションのある詰め合わせは人気でしたね。
体感として、モール内で福袋的な商品が増えているとは感じています。こういった状況も、セット商品の人気を後押ししたのではないでしょうか(駒井氏)

今後も同様の施策を実施。他業種とのコラボも検討
「惣菜祭」が好調だったことを受け、駒井氏は「今後も同様の施策を継続的に行っていきたい」と話す。 また、今回は外食チェーン店という同じカテゴリー内でのコラボだったが、今後は別カテゴリー企業とのコラボも検討しているという。
「au PAY マーケット」は、流通規模・認知度ともにまだ伸びしろを残したフェーズにあります。だからこそ、企画は柔軟性を持って取り組めていると思うので、今後も話題性があり、出店企業さま、お客さまにとって価値のあるイベントを各社と協力して実施していきたいと思っています。(駒井氏)
