ランサムウェア攻撃によるシステム障害からの復旧を進めているアスクルは、1月28日に実施した2025年6-11月期(中間期)決算説明会の質疑応答で、足元の回復状況などについて説明した。
BtoBは約7割、LOHACOは約9割まで回復
BtoB事業「ASKUL」の1月度の月次売上は、前年同月比69.6%と約7割まで回復。この数値は1か月平均で、足元の推移は7割をやや上回る水準だという。当初の復旧計画と比較すると、やや前倒しのペースで回復している状況としている。なお1月度の購入単価は同20.0%減、購入客数は12.9%減。
BtoC事業「LOHACO」は1月20日にサービスを再開。1月度の月次売上は前年同月比0.4%になった。ただし、再開直後の1月21日から27日までの7日間における売り上げは、前年同期間比88.2%。1月21日週の売り上げは前年同期比88%まで回復した。停止期間中に注文を待っていた顧客の需要が一気に戻ったこともあり、BtoB事業よりも早い回復ペースとなっている。
出荷キャパシティはすでに100%水準
物流拠点(DC)は「横浜DC」を除き正常化しており、全体の出荷能力は100%まで回復しているという。「大阪DC」「名古屋DC」はすでに復旧済みで、「横浜DC」は2月上旬の復旧を目標としている。復旧作業が続くなか、夜勤対応などで出荷体制を補完しており、全体としての出荷能力は従来比100%水準まで回復。アスクルの強みである「明日お届け」サービスも、足元ではほぼ平常化している。
在庫34万4000アイテムはすべて販売再開
システム停止直後は、手作業による暫定運用のため、37アイテムから販売を再開した。その後、出荷キャパシティの回復に合わせて取扱品目を段階的に拡大。現在は在庫商品34万4000アイテムすべてを販売できる状態になったとしている。
在庫を持たないロングテール商品(メーカー直送品など)は、1000万点超の非在庫品を含め、ほぼフルラインナップに近い状態まで回復しているという。
中堅・大企業と「医療・教育・官公庁」が先行
顧客属性別に見ると、中小事業所よりも、中堅・大企業向けサービス「ソロエルアリーナ」の回復が早いという。その背景には、販売代理店(エージェント)の存在がある。サービス停止中もエージェントが顧客との接点を維持し、継続利用の意向をつなぎ止めていたことが、回復を後押ししたと説明している。
業種別では、医療・介護、教育、官公庁といった分野での回復が顕著という。従来から強みを持つ分野が、障害後の回復局面でもそのまま表れた形だ。
商品カテゴリー別では高頻度商材が先行
商品カテゴリー別では、コピー用紙、文房具、日用品といった高頻度商材から先に回復。また、オリジナル商品についても「この商品でないと困る」といった声が多く寄せられ、回復が早い傾向にあるという。独自性と顧客ロイヤリティの高さが、回復を後押ししている。
一方、ロングテール商品は売上金額へのインパクトが主力商品ほど大きくなく、回復はなだらかなカーブを描く傾向にあるとしている。
販促と値下げで完全回復へ
アスクルは現在の状況について、インフラや品ぞろえの復旧フェーズから、売上・顧客数の回復フェーズへ移行した段階にあると説明した。
今後は大型販促施策や20%値下げなどの価格施策を通じて、今期中の完全回復(売上・顧客数の水準回復)をめざす方針だ。