電通が発表した「2025年 日本の広告費」によると、2025年(1~12月)の総広告費は8兆623億円(前年比5.1%増)となり、2021年から5年連続で成長、4年連続で過去最高を更新した。
媒体別では、インターネット広告費が前年比10.8%増の4兆459億円と1996年の推定開始以来初めて4兆円を超えた。動画やSNS広告が伸長し、総広告費に占める構成比は50.2%と初めて過半数に達した。マスコミ四媒体の広告費は同1.6%減の2兆2980億円と微減。プロモーションメディア広告費は同2.0%増の1兆7184億円だった。
4兆459億円に拡大したインターネット広告費は前年比で3942億円増。動画広告を中心に成長した。SNS上の縦型動画広告をはじめ、コネクテッドTV(インターネットに接続されたテレビ受像機)などの動画広告需要が高まり、市場全体の拡大に寄与。「インターネット広告媒体費」は前年比11.8%増の3兆3093億円となり、2ケタ成長だった。
媒体別の広告費の詳細
インターネット広告費
マスコミ四媒体由来のデジタル広告費における「テレビメディア関連動画広告費」は前年比23.3%増の805億円。「物販系ECプラットフォーム広告費」はECの普及もあり同12.5%増の2444億円だった。「インターネット広告制作費」は、動画広告の制作本数の拡大もあり同4.0%増の4922億円へと増加した。インターネット広告費の内訳などは次の通り。
- インターネット広告媒体費:3兆3093億円(同11.8%増)
- マスコミ四媒体由来のデジタル広告費:1651億円(同8.6%増)
- 引き続き好調を維持し、前年を上回った。
- 新聞デジタル:191億円(同2.1%減)
- 官公庁・金融・ECサイトやBtoB企業の出稿が目立った一方、動画広告への予算シフトなどの影響があったほか、PV減少や単価低下の影響を受けた。
- 雑誌デジタル:615億円(同3.5%減)
- タイアップなどは底堅いが、運用型広告の単価下落、プラットフォーム側のアルゴリズム変更、AI検索行動によるPV伸び悩みなどが影響した。
- ラジオデジタル:38億円(同11.8%増)
- podcastなど音声メディアのデジタル展開の注目を背景に二桁成長となった。ターゲットに合わせた出稿が可能なデジタルオーディオ広告への新規出稿数が増加した。
- テレビメディアデジタル:807億円(同23.4%増)
- 無料テレビ番組配信サービスの視聴増やスポーツのライブ視聴の定着などを背景に伸長した。
- マスコミ四媒体由来のデジタル広告費:1651億円(同8.6%増)
- 「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」:2444億円(前年比12.5%増)
- 2025年は二桁成長となり「再成長の局面」を迎えた。
- 物価高騰を受け、セールやポイントバックなど実質負担を抑える節約志向の生活者へのアプローチが増加した。
- インターネット広告制作費:4922億円(前年比4.0%増)
- インターネット広告全体の成長に伴い、制作需要も拡大した。
- ブランディングから購買、CRMまで広い領域で動画活用が進み、動画関連が引き続き伸長した。
マスコミ四媒体の広告費
「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」の全てで減少となった。
- 新聞広告費:3136億円(前年比8.2%減)
- 不透明な世界情勢や円安による物価高の影響などを受け、新聞広告出稿は伸び悩んだ。
- 参議院議員通常選挙や大阪・関西万博、東京2025世界陸上などの開催は広告費を押し上げるには至らず、通年では減少した。
- 業種別では、「家電・AV機器」「精密機器・事務用品」「自動車・関連品」などが増加した一方、「食品」は前年比14.7%減と前年に続き大きく減少した。回復傾向にあった「流通・小売業」も同11.3%減となった。
- 雑誌広告費:1135億円(前年比3.7%減)
- 紙の出版物推定販売金額は減少し、電子出版市場は成長した。
- SNSなどでのデジタル展開は安定期に入り、読者向け催事などリアル回帰の動きがみられた。
- 業種別では、「金融・保険」や「官公庁・団体」など前年を上回る業種もあったが、雑誌広告費シェアの高い「ファッション・アクセサリー」は前年比2.2%減、「化粧品・トイレタリー」は同7.5%減となった。出版社・雑誌編集部などによるタイアップコンテンツのSNS上での二次展開や、広告主へのオリジナル企画コンテンツ提供などが増加したことにより、通年でプラス成長となった。
- ラジオ広告費:1153億円(前年比0.8%減)
- デジタルオーディオ広告は増加したが、地上波ラジオ放送における広告市場は通年で前年を下回った。
- テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連):1兆7556億円(前年比0.3%減)
- 番組広告費は大型催事の開催に伴い好調に推移したが、パリ2024オリンピック・パラリンピックの反動減を抑えるには至らず、通年では減少となった。
- スポット広告費は「流通・小売業」「交通・レジャー」「情報・通信」などが好調で前年を上回った。
- 衛星メディア関連:1223億円(前年比2.5%減)
- 物価高による買い控えなどでテレビ通販市場が影響を受け、前年を下回った。
プロモーションメディア広告費
- 屋外広告:3042億円(前年比5.3%増)
- 飲料、情報・通信を中心に利用が目立ち、好調に推移した。
- 広告取引や配信を自動化するプログラマティックデジタル屋外広告が本格普及の段階に入り、リテールメディアへの連携も加速した。
- 交通広告:1736億円(前年比8.6%増)
- インバウンド需要の高まりで全国的に増加し、関西圏では大阪・関西万博に伴う駅の大型デジタルサイネージ新設などが増加要因となった。
- タクシーは、AI関連サービスの訴求活性化でBtoB企業による出稿が増加したほか、BtoC企業の出稿も拡大。またコンテンツを活用した番組セールスも好調に推移し、大幅な増加となった。
- 折込:2354億円(前年比3.6%減)
- 新聞購読率の減少やコスト高騰に伴う媒体単価の値上げの影響を受け、出稿量が前年を下回った。
- 業種別では、通信販売業、会員制個別宅配、旅行・宿泊業などが増加し、リサイクルショップや買い取り業も引き続き好調に推移した。一方、教育・教養や自動車販売業などは減少した。
- DM(ダイレクトメール):2708億円(前年比5.4%増)
- 郵便料金改定などの影響で発送数や媒体を見直す動きがあり、前年を下回った。
- 通販企業を中心に、単発のキャンペーンタイプDMから、受け手とのコミュニケーションに配慮した商品同梱型のパーソナライズDMへの移行がみられた。
- 圧着はがきタイプのものから、ターゲットを絞った高付加価値タイプのDMと、QRコード・動画などを利用したオンラインでの完結が可能なデジタルとのハイブリッド運用がさらに進化した。
- 通販系業を筆頭に、高額商品や金融サービス、小売、通信などのDMが多かった。
- フリーペーパー:1056億円(前年比19.1%減)
- デジタル移行などに伴う休刊・廃刊により減少した。
- POP:1540億円(前年比3.8%増)
- 実店舗での購買行動の増加でPOPが増加した一方、コスト増などを踏まえ販促予算を抑制する動きもみられた。
- イベント・展示・映像ほか:4748億円(前年比11.2%増)
- 大阪・関西万博や東京2025世界陸上などが寄与し2桁成長となった。
- コミュニティ形成や高度な体験設計が重視される場へ役割がシフトした。
「日本の広告費」市場には含まれないその他の広告関連市場
- 商業印刷市場:1兆7500億円(前年比0.6%減)
- 原材料費や物流費の高騰により価格転嫁が進んだ。
- 短納期、小ロット、可変データといった需要の増加で、さらにデジタル印刷の導入が加速。印刷業各社のデジタル対応力の差が受注を左右する局面となった。
- シネアド(シネマ・アドバタイジング)は、邦画の大ヒット作がけん引し、前年を上回った。
- ポスティング市場:1497億円(前年比1.1%増)
- 地域を限定したポスティングは都市圏を中心に伸長した。リサイクルショップや買い取り業をはじめ、官公庁・自治体の広報関連、飲食・小売業、不動産・住宅設備など、他媒体の補完機能としても幅広い業種で活用された。
- DM制作関連市場:1121億円(前年比0.2%増)
- 資材高騰などにより制作周辺領域の関連市場は前年並みとなった。ウェブ誘導型の低コストDMとプレミアム型DMの二極化が進んでいる。
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