JTB総合研究所が公表した「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2025)」の結果によると、利用するSNSの上位は「LINE」「YouTube」「Instagram」だった。また、情報検索の手段では検索エンジンの利用が8割を超える一方、生成AIに質問するユーザーの割合が約29%まで急増していることが明らかになった。
調査は2013年から毎年実施しており今回で10回目。スマートフォンの利用実態や旅行消費行動の変化に加え、AIや無人サービスに対する関心など、消費者の最新動向を把握することを目的としている。
スマホでよく使う機能
スマートフォンでよく利用される機能は、これまで主流だった「メッセージ・チャット」「メール」「ニュース」などのコミュニケーション系機能の利用が減少。一方で、「動画・画像投稿サイト」や「テレビ・映画」など、映像コンテンツ系の利用が増加した。
情報検索手段の変化
情報検索手段にも変化が見られる。検索エンジンの利用率は81.2%と、2024年の前回調査から横ばいだったが、生成AIの利用率は前回調査の9.7%から28.8%へと大きく伸長した。地図アプリや動画投稿サイトを活用した検索は微減した。
また、ニュースの利用媒体については、インターネットニュースを含めすべての媒体で利用率が低下し、「ニュースを読まない」と回答する割合が増加した。情報検索においても「自分から情報を検索しない」というユーザーが増えており、情報は自ら探すものから「自動的に与えられるもの」へと意識が変化している。
SNSの利用状況
SNSの利用状況では、前回調査に続き「LINE」「YouTube」「Instagram」「X」が上位を占めた。今回調査では「Instagram」が「X」を上回り3位に浮上。「X」は女性の利用率が減少した。一方、Z世代女性の間では「BeReal.」の利用率が10%を超え、若年層における新興SNSの存在感が高まっている。
生活で変わった行動
生活のなかで、3年前と比べて増えた・減った行動についても調査した。「増えた」との回答が「減った」を大きく上回ったのは「現金以外の買い物」で、キャッシュレス決済の浸透が改めて確認された。また、「インターネットで買う」行動も増加した。一方、コロナ禍で普及した「オンライン会議・ミーティング」は一定程度定着したものの、「旅行先でのテレワーク」「シェアオフィス利用」「在宅勤務」は減少傾向となった。
AIサービスの利用経験
AIサービスの利用経験も拡大している。利用経験率は前回調査の49.0%から58.7%へと約10ポイント上昇。利用経験のあるサービスでは、「通訳・翻訳サービス」「カメラで写したものの検索サービス」「ChatGPT」などが上位を占めた。
無人サービスの利用意向
AIに限らない無人サービスについては、「自動会計」(32.0%)、「タブレット注文」(26.9%)、「入国審査の自動化」(19.0%)など、手続きを効率化できるサービスへの利用意向が高かった。そのほか、「旅行プランの作成」(16.4%)、「音声ガイド」(13.5%)、「レコメンド提示」(13.4%)などにも関心が寄せられた。性年代別では、29歳以下の男性で無人サービス全般への利用意向が高い傾向が見られた。
JTB総合研究所では今回の調査結果について、生成AIの普及により情報収集行動が「検索する」から「相談する」へと大きくシフトしていると分析。人を介さない無人サービスの進化とともに、「タイパ(時間効率)」を重視し、「面倒でないこと」を求める意識が一層強まっているとまとめている。
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