新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

2026年のECとSEOは、売り方や備え方を変える+信頼を積み上げていく年になる【ネッ担まとめ】

ネットショップ担当者が読んでおくべき2026年のSEOの展望+押さえておきたいポイント

酒匂 雄二[執筆]

8:00

「最近なんだか売れにくい」「広告費をかけても反応が鈍い」「値上げしたいけれど、怖くて踏み切れない」――2025年、特に下半期にこうした声をEC事業者や中小企業から聞くことが増えました。しかし、これは特定の業界や企業だけの問題ではないでしょう。一見すると不景気の影響にも思えますが、銀行やシンクタンクが発表している2026年の展望レポートを読むと、共通して見えてくるのは、景気の良し悪しではなく、構造そのものが変わってきているようにも感じます。そうした資料も踏まえながら、2026年の展望をつづっていきます。

2026年は“不況”ではなく“不安定”

2025年の展望では、緊張緩和に向かう期待を込めて地政学的リスクをあげました。しかしそのリスクは膨らんでいくかのような不安定な状態が続き、「元に戻る」ことを前提にできない状況が常態化していると感じます。

国内では賃上げも進み、企業業績も全体としては堅調ですが、現場では人手不足やコスト上昇が強く意識されるようになりました。「EC人材を紹介してほしい」という相談を受けることも増え、伸びしろがあるのに、人材確保ができずに伸ばしきれていない店舗も多数あるように思います。そういう事業者こそ、AIやシステム導入でどのように解決するかも重要なポイントになりそうです。

そうしたなかで、経営バランスがより問われる不安定さが常に足元にあることを肝に銘じなければならないでしょう。

消費行動と企業構造の同時変化

筆者のクライアントでも、EC売上が過去最高を記録した店舗が複数あり、消費者は単に節約志向になったわけではないと思います。

新NISAスタートから2年目となる2025年6月末時点で、NISA口座数は約2700万口座に達し、18歳以上の25%近くが保有するまでに広がっていることからも、お金の用途に慎重になり、備えを意識し「理由のない買い物」が減少しているように思えます。

地政学的リスクの影響は、消費者心理の低下、商品価格の上昇、金融環境の引き締めを通じて現れることが、世界各国のレポートに記載されています。日本においても、近隣諸国との緊張感、関税や円安、地震や豪雨などの自然災害による影響はいつ起きてもおかしくないと備える必要があるでしょう。

2025年11月のブラックフライデー、12月の「楽天スーパーセール」で苦戦を強いられた店舗が多かったと見聞きしており、秋頃から続く不安定な状況が、消費者の購買意欲に影響したのではないかと感じました。

そうした背景から、消費者は

  • 今、本当に必要なのか
  • 長く使えるか、飽きないか
  • なぜこの価格なのか(高い・安いも含め)
  • 自分にとってどのような価値があるのか

といったことを自問自答し、それらの問いに納得できない商品は、価格が安くても選ばれにくくなっているのではないでしょうか。一方で、背景や価値がきちんと伝わる商品は、価格が上がっても支持されていると感じます。

政府機関などの資料も合わせて目を通すことをオススメします。

【参考】

これからを生き抜く企業の共通点とは?

2026年、企業を取り巻く制約は確実に増えることが予測されます。

コロナ前、中小企業の運転資金目安は月商の1~2か月分と聞くことが多かったですが、今では3~4か月、なかには「半年分は必要」という考えも増え、資金確保への考え方も変化してきました。年末に一旦は先送りになったものの、労働基準法の大改正案が議論されていることにも備えておく必要があります。

そしてEC事業者には物流コスト・仕入れコストの上昇から、段階的・継続的な値上げも不可避となるでしょう。

しかし、この状況で重要なのは「値上げをするかどうか」ではなく、「なぜその価格になるのかを説明できているか」という点ではないでしょうか。「ステルス値上げ」などのようにSNSで炎上してしまうケースも散見されるなか、値上げそのものよりも、説明を怠る方が顧客の信頼を失いかねません。価格や条件が変わるのであれば、その背景を誠実に伝えることが、これまで以上に重要になっています。

これからを生き抜く企業の共通点は、決して難しいものではなく、商品やサービスの存在理由を言語化できていること。コスト上昇を「事情」ではなく「物語」として伝えていること。AIやツールを派手に導入するのではなく、業務効率化や品質向上に向けて地道に使っていること。短期的な施策よりも、信頼の積み重ねを優先していることではないでしょうか。こうした発信は、むしろ中小企業やEC事業者のほうがSNSなどを用いて、取り組みやすい分野だと感じます。

参加するセール時期を絞り込む、そもそもセールで疲弊せず、自社EC限定のポイントで還元するといった取り組みで、顧客とのつながりを強化する店舗も増えています。SNSでも、むやみにアカウントを増やさず、自社の顧客と相性が良いチャネルに特化し、やりすぎないよう更新頻度のバランスを考えて運用する、などもあげられます。

誰が顧客かを見定め、より自社らしさを磨き、深追いしすぎないように関係構築することも重要ではないでしょうか。

2026年は「説明できる企業」が検索・AI共に選ばれる

検索やAI経由の流入を見ても、変化は明確です。筆者のクライアントでは「ChatGPT」からの流入が前年比で10数倍~100倍超に達しているところが多数ですが、現時点ではアクセス比率では0.1~0.35%、売り上げでは0.1%程度にとどまります。

それでもAIはますます普及するでしょう。コスト上昇への対応、人手不足解消の点からも、どのように導入・活用するかを考えることが必須になるでしょう。相談を受けたEC事業者では、商品管理スタッフの作業にAIを活用することで、年間50時間以上削減できる見通しが立ちました。

ほかにも痒いところに手が届くような、顧客にとって便利だと思ったAIの活用事例をご紹介します。

下の図は、福岡県大川市で大川家具の販売を行う「大川家具ドットコム」さんのLINEからキャプチャしたものです。

「大川家具ドットコム」さんのLINEからキャプチャした画像

LINEの画像からブログにアクセスでき、そこでは「Gemini」を使い、家具の設置予定場所と家具の写真をアップロードして、設置イメージの画像を生成する方法を紹介しています。

  • 家具選びで失敗しない!GoogleのAI「Gemini」で自宅に家具を置くシミュレーションをする方法 | いんてり庵(大川家具ドッコム)
    https://okawakagu.com/contents/2025/12/26/

かつては専用アプリやシステム開発が必要でしたが、生成AIを用いることで簡単に設置状況をイメージできるようになっています。

こうした便利なことが実現する一方、綺麗な景色やイラストを見たときに「AIではないか」と疑う人も多くなっていることはSNSでも散見され、AI普及による弊害も感じます。AIで量産したコンテンツの氾濫は、より人力によるコンテツを際立たせることでしょう。

「最安」「おすすめ◯選」といった生成AIでも作成可能な表面的な情報だけの記事よりも、独自性や正確性に富んだ、比較や選び方、背景、失敗しやすいポイントを丁寧に解説するコンテンツが評価され、結果的にAIにも引用されていくのではないでしょうか。

AIを活用しつつ、人の労力がかけられているコンテンツが力を発揮しそうなものとして、2025年11月20日、「楽天市場」に導入された「ディスカバリーレコメンデーション」があります。この機能によって、パーソナライズされた商品のコンテンツが並ぶようになり、スタッフによる使用例や調理例など、従来の商品ページで説明しきれなかった内容を動画やコンテンツで詳しく紹介する店舗も増えてきています。

もし最近「なんとなく売れない」と感じているのであれば、見直すべきは広告やテクニックではなく、自社の商品やサービスについて、きちんと語れているかどうかかもしれません。

2026年のSEOのカギは「本質の積み上げ」

2025年秋から年末にかけて、検索関連のカンファレンスに参加したりレポートを読んだりしてきましたが、2024年春にガートナーが発表し、業界を騒がせた「検索エンジンのボリュームが25%減少する」には程遠いのが現状です。

AIエージェントを利用する人は増えている一方で、Googleなど検索エンジンのボリュームが減少したようなデータは見当たりませんでした。むしろ「AIを活用することで検索エンジンの利用回数も増えている」という報告もあります。

Googleも、検索上ではAIによる概要(AI Overview・AIO)を増加させる傾向にあり、検索結果のおよそ20%で「AIO」が表示されているというレポートも。

特にGoogleの「AIO」では、検索上位ではないコンテンツが引用されることも多くなっています。現状では、大型サイトや有名企業が引用されることが多いですが、立ち上げから1か月のECサイトでも引用されることも確認でき、中小企業にとってはチャンスであるとも感じています。

2025年冒頭にGoogleが掲げた検索で重要な4つのポイント「労力」「独自性」「タレント&スキル」「正確性」がさらに必要とされる時代が来ていることは間違いないと思います。

AIに丸投げするのではなく、自分の体験した「やってみた」「食べてみた」「着てみた」「作ってみた」などの独自性に労力をかけ、そのコンテンツを積み上げていくことが2026年のSEOでもカギになるでしょう。

「AIでいいこと」「AIで便利になること」と「人にしかできないこと」「人だから際立たせられること」の仕分けを明確に行い、自社独自の強みを磨いていくことをオススメします。

コマースデザイン 坂本さんの2026年展望記事もぜひ参考にしてください。

  • 2026年のEC事業で「最も優先すべきこと」は、力配分の見直し+捨てる・削るモノの見極め+攻めるための余力作り | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/e/2025/12/11/15286

2026年に心がけておきたいことまとめ

コロナ禍以降、加速度的に変わった前提を理解し、自分たちの言葉で価値を伝えられるか。それが、これからの時代における、売れる企業と消える企業の分かれ道です。2026年は、説明できる企業が検索にも生成AIにも、何より顧客に選ばれる年になっていくのではないでしょうか。

以上をまとめると、

  • 商品・サービスの存在理由を言語化できているか
  • 商品価格を「物語」として伝えられているか
  • AIやツールを「派手に」ではなく「地味に」使えるようになる
  • AIやツール活用で捻出した時間を人にしかできないことに充てていく
  • 短期施策より、信頼の蓄積を優先していく

ということが、2026年に心がけておきたいことになりそうです。

みなさんにとって、2026年が少しでも健やかで穏やかな年になりますよう、心から祈念しております。


「新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ」は以下の専門家が連載しています。

ECMJ 石田氏石田氏

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノイン 酒匂氏酒匂氏

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequation 中林氏中林氏

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

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