Shopify Japanは1月13日、AIチャット上での商品販売を前提とした「エージェントコマース」に関するアップデートを発表した。消費者がAIとの対話のなかで商品を見つけ、そのまま購入まで完結できる世界を見据え、GoogleやMicrosoftなどと連携しながら、AIチャネルに対応したコマース基盤を整備する。
「Universal Commerce Protocol(UCP)」をGoogleと共同開発
ShopifyはGoogleと、AIエージェントが消費者に代わって購買関連のタスクを実行する「エージェンティック・コマース」を推進する新標準プロトコル「Universal Commerce Protocol(UCP)」を共同開発した。
「UCP」は、AIエージェントが加盟店と接続し、商品購入に必要な一連のフローを実行するためのプロトコル。Shopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmartなどの小売・プラットフォーム企業が共同で開発に参加した。さらに、Adyen、American Express、Mastercard、Stripe、Visaなどのカードブランドや決済企業を含む20社以上が支持を表明している。
「UCP」は、Google検索およびGeminiアプリのAIモード上で、ECプラットフォーム「Shopify」加盟店が直接販売できる新機能の中核技術として活用。Google検索のAIモード、GeminiアプリのAIモードのいずれにおいて、ユーザーはAIとの会話の中で商品を見つけ、埋め込み型チェックアウトを通じて購入までを完結できるようになる。
Googleが1月11日に発表した内容によると、まずはGoogle検索の「AIモード」やGeminiアプリ内の商品リストに導入。ユーザーはGoogle上で商品を調べながら、小売事業者から直接購入できるようになる。決済にはGoogle Pay(今後はPayPalも追加予定)を利用し、Googleウォレットに保存された支払い情報や配送先情報を用いてスムーズに購入できるとしている。Shopifyによると、決済手段は「Shopify Payments」に限定せず、さまざまな決済方法と連携可能な設計になっているという。
また「UCP」を活用することで、AIチャット上では次のような処理も一気通貫で行える。
- 割引コードの入力
- ロイヤルティ(会員)情報の連携
- サブスクリプションの請求頻度の選択
- 先行予約など販売条件の確認
さらに、「Shopify」加盟店はGoogleが開始する「Direct Offers」パイロットプログラムの対象にもなり、AIモード上で限定オファーを提示できるようになる。ユーザーが購入を検討しているタイミングで、会話の中に最適なオファーを差し込める仕組みという。
技術面では、RESTやModel Context Protocol(MCP)、Agent Payments Protocol(AP2)、Agent2Agent(A2A)など、既存の業界プロトコルとの互換性を確保。複数の仕組みを組み合わせることで、各社のコマーススタックに柔軟に対応できるアーキテクチャを採用している。たとえば、家具ECのように配達日時の指定が必須となるケースでも、必要な入力項目を標準化された形でAIエージェントに伝えられるという。
GoogleでMerchant Shopping担当VP/GMを務めるAshish Gupta氏は、エージェントコマースへの移行には「エコシステム全体で共有される共通言語」が必要だとし、「UCP」がそのフレームワークになるとコメントしている。
「Microsoft Copilot」上での会話中購入にも対応
ShopifyはMicrosoftとの連携も強化する。新たに「Copilot Checkout」との統合を発表。ユーザーは「Microsoft Copilot」上で会話を続けたまま、その場で商品購入を完了できるようになる。「Shopify」加盟店側は、ChatGPT連携と同様に、これらのAIチャネルを「Shopify」の「Agentic Storefronts」から一元管理できる。
Shopifyによると、Monos、Gymshark、Everlaneといったブランドは、近々Google検索とGeminiアプリのAIモードを通じた直接販売を開始する予定だ。さらに、Keen、Pura Vida、Kyte Babyなどの加盟店は、すでに「Microsoft Copilot」を活用して顧客にリーチしているという。
Shopify未利用ブランドも対象に
Shopifyは、オンラインストアとして利用していないブランドもAIコマースに参加できる「Agenticプラン」の提供を開始する。利用中のECプラットフォームを問わず、自社商品を「Shopify Catalog」に登録でき、登録した商品データは「Shopify」の「Agentic Storefronts」を通じて、ChatGPT、Microsoft Copilot、Google AIモード/Gemini、Shopアプリなど、複数のAIチャネルに一括展開できる。
「Shopify Catalog」は数十億点の商品データで構成されており、専用の大規模言語モデル(LLM)によって商品情報を分類・補完・標準化している。これにより、ユーザーが求める商品を瞬時に表示できるようにしている。「Shopify」以外のカートやモールを利用している事業者であっても、商品データを一度設定すれば、複数のAIチャネルを通じた販売機会を獲得できる点が特長だ。
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