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AIエージェント、業務効率化・自動化など――Salesforce、Shopifyら米ECプラットフォーム大手が注力する3つのトレンド

消費者や事業者のAI活用が進んでいるなか、事業者向けの業務支援プラットフォームを運営する企業は、さまざまなAIツールを事業者に提供しています。その一例を解説します

Digital Commerce 360

8:00

北米の大手EC・小売事業者が利用する人気EC支援プラットフォーム各社は、ライバル企業に差をつけ、そして企業から選ばれるために、“AIをどう使えば便利になるか”という具体的な活用イメージの具体化を進めています。たとえば、複数の業務プロセスを統合・連携させるインテグレーションや、エンドユーザー向けのAIエージェントなど、大手ベンダー企業が提供するAI活用サービスの取り組みを紹介します。

2026年のEC運用に不可欠な「AIの利便性」

2026年におけるEC支援プラットフォームの新たな重要機能には、EC業界に携わる人なら誰もがうなずく「共通の軸」があります。それは、AI、特に消費者と販売者の両方に利益をもたらす「AIエージェント」の提供です。

ユーザーに代わってタスクを実行するAIモデルを活用した「エージェント」は、OpenAIやGoogleといった大規模言語モデル(LLM)を持つ企業だけでなく、実店舗でのショッピング体験との競争にさらされているECプラットフォームからも、さまざまな形で小売事業者に提供されています。

ECベンダーやECプラットフォーマーはさまざまなAIツールやAIエージェントを利用企業に提供している(画像はイメージ)
ECベンダーやECプラットフォーマーはさまざまなAIツールやAIエージェントを利用企業に提供している(画像はイメージ)

米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の2026年版「ECプラットフォームスペシャルレポート」では、年間EC売上高に基づいて販売者をランク付けする「北米EC企業トップ2000社」において、北米の主要な小売事業者に最も多く利用されているEC支援プラットフォームを比較しています。

この記事では、Adobe、Salesforce、Shopify、Commerce.com、その他のEC支援プラットフォームにおいて、2026年に他社との差別化を図るためにリリースされた最新機能から、3つの主要なテーマを紹介します。

1.消費者向けのエージェント型サービス

EC支援プラットフォームは、消費者の「発見から購入まで」の道のりをより効率的にするため、サードパーティのAIモデルに注目し、場合によっては提携を進めています。2026年のランキング上位のプラットフォームの多くに、その顕著な例が見られます。

たとえば、Shopifyは2026年2月に「エージェント型ストアフロント」を発表しました。これは販売者向けの管理画面内で動作し、OpenAIの「ChatGPT」やMicrosoftの「Copilot」を活用したECインテグレーションを管理するインターフェースです。

SalesforceのAIエージェント「エージェントフォースコマース」は、BtoC-ECのエンドユーザー向けの、ガイド付きショッピングエージェントの機能を提供しています。このエージェントの目的は、一つの会話の流れの中で、ナビゲーション、在庫確認、問い合わせへの回答を先回りして提供することにあります。

SalesforceのAIエージェント「エージェントフォースコマース」

他にも、EC支援のSaaS企業VTEXや、レコメンドAIツールを提供するKiboが独自のエージェントを立ち上げ、カスタマーサービスの問題解決、商品に関する質問への対応、マーチャンダイジングの意思決定の自動化、注文サポートなどを行っています。

2.エンドユーザーの「発見」と「購入」を促進するインテグレーション

AIを活用したインテグレーションは、発見、決済オプション、外部のエコシステムにフォーカスすることが多く、消費者の検索習慣が変化し続けるなかで小売事業者が注目すべき分野となっています。ShopifyとSalesforceはここでも顕著な例ですが、Commerce.comのデータへのアプローチも注目に値します。

Commerce.comは2025年にBigCommerce Holdingsからの社名変更(これに伴い、サービス名も「BigCommerce」から「Commerce.com」に変更)発表、AIとデータの活用を優先事項に掲げました。Commerce.comは「モジュール化されAIが統合されたインフラへのニーズが高まっている」と明言。「ChatGPT」や「Gemini」などの生成AIプラットフォームを利用する消費者にとって、従来のECサイトを一度も訪れることなく検索と購入までを完結する可能性があると考えています。

Commerce.comのCEOであるトラビス・ヘス氏は、2025年11月に発表した2025年1-9月期(第3四半期)の決算説明会で次のように話しています。 

商品の発見がホームページからではなく、プロンプトから始まるようになると、消費者に発見され、選ばれ、購入されるかどうかを決めるのはデータの質になります。

Commerce.com のトラビス・ヘスCEO
Commerce.com のトラビス・ヘスCEO

Commerce.comの取り組みの1つが、商品カタログをGoogleショッピングやMetaなどのチャネルと接続し最適化するためのツール「フィードノミクスサーフェス」です。ヘスCEOは株主に対し「『Commerce.com』のダッシュボードからアクセスできるこれらのオプションに、初期段階から高い関心が寄せられている」と説明しました。

3.導入企業の業務効率化・自動化

ECサイトやその運営を管理するチームにとって、AI活用はカスタマー対応をはじめとする“表舞台”だけでなく、自社のサイト運営を支える裏方の業務でも、着実に実績を積み上げています。UI、サイト開発、在庫管理、商品の補充など、ネットショップを動かすために必要な数多くの実務をAIがこなしています。

たとえば大手テクノロジー企業オラクルの子会社Oracle NetSuiteと、Microsoftは、どちらも事業者向けのAIアシスタントを提供しています。

業務管理プラットフォーム「NetSuite」の「スイートエージェント」を使えば、利用企業は自社サイト専用のAIを開発するためのベース(基盤)として活用できます。

同様に、Microsoftも自社が提供する業務管理プラットフォーム「ダイナミクス365」において、商品の詳細情報を拡充する「カタログエンリッチメントエージェント」や、サプライヤーとのやり取りを支援する「サプライヤーコミュニケーションエージェント」など、小売業界に特化したエージェントを提供しています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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