Amazonの弱点5つを分析してシェアを奪い取る方法
Amazon(アマゾン)はEC業界の巨人ですが、どの分野でも強いわけではありません。アマゾンの主な弱点と、競合がアマゾンのシェアを奪い取るための戦略を紹介します。
アマゾンは時価総額で1兆円を突破し、小売業界の異端児として驚くべき成功を見せつけました。小売市場のシェアをものすごい勢いで奪っていくアマゾンは、他の小売事業者にとっては戦略軍のように映るでしょう。
オンライン書店としてスタートしたアマゾンは、すぐにさまざまな商品を販売するようになりました。今では、生鮮食品まで取り扱っています。素早く、スムーズな注文と配送を当たり前にし、どんな場面でもカスタマーエクスペリエンスの向上を心掛けています(アレクサやアマゾンダッシュ経由での注文もその一例です)。
アマゾンプライムは大成功し、会員費が20%上がっても(編注:米国の会員費用)、会員はほとんど文句を言いませんでした。会員費アップのおかげで、何億ドルもの追加収益を毎年上げています。
残念ながら、これらの領域でアマゾンを打ち負かすことはできません。魔法のような決定打は存在しないのです。しかし、アマゾンがすべての分野で秀でているわけではありません。アマゾンにも弱点があります。そこを攻めれば、アマゾンの脅威からビジネスを守ると当時に、シェアを拡大していける可能性があります。
アマゾンはファッションの先端ではない
ファッションに関しては、アマゾンで洋服を探す人はまだ多くありません。モルガン・スタンレーの最近の調査で、アマゾンで洋服を買う一番の理由を聞かれた際、「アマゾンにはオシャレで、好きなブランドが揃っているから」と答えた人はたったの6%でした。
ベーシックな商品を購入するためにアマゾンを訪れる消費者は存在するものの、真のファッショニスタは他で買い物をするです。同様に、ラグジュアリー商品もアマゾンの強みではありません。マーケットプレイスでは、ブランド独自の価値や高価格を維持するための厳しい統制を取りづらいのが原因です。
偽物ブランドの懸念
多くの消費者がアマゾンで販売されている商品が本物かどうか心配しています。アマゾンが偽物商品の販売に共謀しているのではないかと懸念するブランドまでいるほど、ブランド側も警鐘を鳴らしています。
アマゾンの3P(第三者のマーケットプレイス)では、販売に関する規制が比較的ゆるくなっています。3Pで販売されている商品が1P(アマゾンが販売している商品)のすぐ横に表示されるため、本物と偽物の違いがわかりにくくなっているのです。たとえアマゾンが偽物商品を削除したとしても、偽物商品について書かれた悪いレビューはずっと表示され続けます。
サイズ選択肢の少なさ
アマゾンには、小さい人用、大きな人用、背の高い人用など、洋服選びにこだわりのある人たちのための、特別なサイズの品ぞろえが不足しています。フリーサイズと言われる洋服や既製品で嫌な思いをしたことがある人たちは、自分のサイズに特化したお店を探し、直接購入するのです。
ヨーロッパでのプレゼンスの低さ
アマゾンはヨーロッパでは明らかに勢いがありません。アメリカではアパレルと靴の売り上げの35%を占めるアマゾンですが、ヨーロッパではたった8%にとどまっています。西ヨーロッパにおけるアパレルと靴のトップブランドは、10%のシェアを誇るベルリンのZalandoです。
Zalandoが成功している大きな理由は、アディダスやトミーヒルフィガーとのパートナーシップにより、彼らのデータベースから消費者が購入しているデータにアクセスできることです。双方にとって有益なデータを共有するパートナーシップを結んでいる小売事業者は、アメリカでも存在感を出し始めています。
巨大プラットフォームとの付き合い
多くの販売事業者たちは、アマゾンとの付き合いは必要悪だと思っています。商品をアマゾンで販売するものの、利益の薄さやお客さま情報を持つことができないこと、偽物商品が出てくる可能性などに悩まされます。アマゾンからは自社サイトよりも安い、最安値での販売を強要されるため、価格以外の差別化が困難となります。
アマゾンの驚くべき成功の陰で、多くの小売事業者が疑問を持つアマゾンというプラットフォームでのビジネスが、はたして持続可能なのかという疑念も出てくるでしょう。
そのため、パートナーシップや他の選択肢を探し、ShopRunner(編注:年会費を払うと参加店舗の商品を送料無料などで配送するサービスを展開)ようなアマゾンプライムに勝負を挑むサービスを検討する小売事業者も増えています。
アマゾンと同じ戦略で挑む
アマゾンは成功の秘訣を隠していません。アマゾンの信条は、世界一の顧客中心企業であることです。アマゾンと同じ戦略をとるためには、小売事業者は顧客1人ひとりが望むことを理解して、すべてをパーソナライズ化する必要があります。
今日の消費者は注意散漫で、大量に発信される情報に目を通す時間がなく、自分に関係のないメッセージに悩まされています。そうではなく、データに基づいて、興味に沿ってパーソナライズしたメッセージに注力すべきです。
鍵になるのは、顧客がWebサイトに訪れた瞬間を特定し、必要なデータを集めることです。そして、適切なチャネルを介した適切なメッセージによって顧客を惹きつければ、また訪れてもらえるでしょう。
アマゾン同様、顧客の過去から現在までの興味と、類似した人の閲覧や購入データを組み合わせ、パーソナルなレコメンドをリアルタイムに作成しなくてはいけません。さらなる努力として、顧客の信頼を勝ち取るために、ソーシャルな情報を示す必要もあります(たとえば、“いま22人がこの商品を見ています”などの情報)。
これらのコンテンツツールを活用すれば、アマゾンに対してより優位に立つことができます。また、消費者の興味関心データを持つ他の小売事業者とパートナーシップを組めば、さらに良い結果を得られるでしょう。