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OpenAIがついに開始。「ChatGPT」広告の特長+大手小売が期待する活用メリット

消費者のAI利用が急速に拡大しつつある昨今、OpenAIは「ChatGPT」内で表示できる広告サービスのテスト運用を開始。オンラインショッピングにおけるAIの存在感がますます高まることが予想されます

Digital Commerce 360

8:00

OpenAIは、「ChatGPT」で展開する広告サービスのテスト運用を開始したと2月9日に発表しました。この広告は現在、「ChatGPT」上で、ユーザーからのプロンプトに対するオーガニックな回答と並行して表示。米国の大手小売企業が広告主として出稿し、テスト運用をしています。

「ChatGPT」が広告表示サービスのテスト運用を開始

広告主として米国大手小売が参加

小売事業者は、AIを新しいリテールメディアとして活用する方法を模索しています。そんななか、米国のスーパーマーケットチェーンAlbertsons、Target、調理器具販売のWilliams-Sonomaは、OpenAIが「ChatGPT」でテスト運用している広告表示サービスのパイロットプログラムに参加し、広告を出稿していることを発表しました。

OpenAIは、「ChatGPT」で現在進行している広告表示のテスト運用で、チャットボットの回答内に広告を表示させています。OpenAIによると、表示する広告はユーザーのプロンプトに合わせてマッチングされ、ユーザーが目にするときに明確に広告とわかるラベルを掲示します。広告の掲載は、「ChatGPT」のオーガニックな回答とは切り離した箇所に表示されます。また、OpenAIは「スポンサーコンテンツが『ChatGPT』の回答内容に影響を与えることはない」と付け加えています。

「ChatGPT」内での広告表示のイメージ(画像はOpenAIのコーポレートサイトから編集部が追加)
「ChatGPT」内での広告表示のイメージ(画像はOpenAIのコーポレートサイトから編集部が追加)

OpenAIの広告および収益化担当責任者であるアサド・アワン氏は、「広告は、AIへの広範なアクセスを維持し続ける上で重要な役割を果たすと信じています」と話しています。

広告表示の試験運用でTargetのようなパートナーと密接に協力することで、「ChatGPT」は新たな広告サービスを慎重にテストし、出稿企業と共に知見を重ねることができます。それにより、「ChatGPT」に寄せられるユーザーからの信頼を維持しながらも、広告表示がチャットボットとは分離されて明確に区別でき、かつユーザーの関心と関連性があり、役立つものであることを保証できるのです。(アワン氏)

広告表示の対象+特長

OpenAIが「ChatGPT」で2月初旬に開始したこの広告表示の試験運用は、現在、「ChatGPT」にログイン登録している米国の成人を対象としています。OpenAIによると、これらのユーザーは「ChatGPT」の無料版および、月額利用料が8ドルに設定されている低価格のサブスクリプションプラン「ChatGPT Go」プランで広告を目にすることになります。ほかの有料プラン「ChatGPT Plus」「ChatGPT  Pro」「ChatGPT Business」「ChatGPT Enterprise」「ChatGPT Education」のユーザーには広告は表示されません。

OpenAIは広告表示のテスト運用において「プライバシー保護と広告掲載の基準を厳格に定めており、安全性を確保するための制限を設けている」と説明しています。たとえば、広告主はユーザーの履歴や個人データにアクセスすることはできませんが、その代わりに、閲覧数やクリック数といった広告表示のパフォーマンス指標を受け取ることができます。

また、健康や政治を含むセンシティブなトピック、あるいは年齢が18歳未満であると特定されたユーザーに対しては、広告は表示されないとOpenAIは説明しています。

OpenAIによる広告表示のパイロット運用の発表以来、Adobe、Amazon傘下のAudible、ミールキット販売のHelloFreshを含む数社の広告主が契約を締結しました。

Adobeの「ChatGPT」での広告表示イメージ(画像はAdobeのコーポレートサイトから編集部が追加)
Adobeの「ChatGPT」での広告表示イメージ(画像はAdobeのコーポレートサイトから編集部が追加)

代理店も広告掲載に参入

toC向けの販売事業者だけでなく、代理店もパートナーとして関わっています。広告代理店のWPP Mediaは、自動車のFord、マツダ、自然派洗剤を販売するMrs. Meyer’s、Audemars Piguet(オーデマピゲ)といったブランドを扱う企業が広告主となり、「ChatGPT」での広告掲載をテストしていると発表しました。

電通とOmnicom(オムニコム)は、クライアント企業のキャンペーンを「ChatGPT」に導入する意向を示しています。また、Albertsons、Target、Williams-Sonomaも新たに参加を表明しました。

対話型AIでの広告表示が小売事業者にもたらす変革

小売事業者にとって、「ChatGPT」内での広告表示のパイロット運用は、対話型AIの中でリテールメディアがどのように機能するかを確認するための初期テストとなります。

TargetのAI活用の取り組み

Targetは、AIとの会話の流れに合わせた「宣伝」であることを明記した「ChatGPT」内の広告において、自社の商品ラインナップだけでなく、自社のリテールメディアネットワークである「Target Roundel(ターゲットラウンドル)」に参加するブランドパートナーの商品も掲載していくと2月9日に発表しています。また、Targetは「『ChatGPT』経由のトラフィックが月平均40%のペースで成長している」と付け加えました。

「ChatGPT」内での広告表示は、Targetがより幅広い分野で進めているエージェントコマースへの取り組みをさらに強化するものです。これらの取り組みには、消費者に代わって行動するように設計された、AI駆動型の体験が含まれています。2025年11月には、Targetは「ChatGPT」と連携するアプリのβ版を公開しました。これは、「ChatGPT」内で動作するTargetアプリです。

「ChatGPT」内でのTargetアプリの表示例(画像出典:Target Corp.)
「ChatGPT」内でのTargetアプリの表示例(画像出典:Target Corp.)

Targetはさらに、Googleが2026年1月に発表したエージェントコマース向けの新規格「ユニバーサルコマースプロトコル」にも参加しています。これは、AIエージェントとECプラットフォーム間が相互作用のための業界共通の規格で、ユーザーはGoogleで商品を調べながら、対象となるEC小売事業者から商品を直接購入できるというものです。

ユーザーがTargetのブランドや商品と出会う体験を対話型AI環境へと拡張することで、これらのプラットフォームをどのように活用すれば、タイミングよく、より迅速に顧客と商品をつなげられるかの理解が深まります。(Target)

Williams-Sonomaの「ChatGPT」広告への期待値

Williams-Sonomaは2月11日付のリリースで、「ChatGPT」内での広告表示のパイロット運用により、顧客の重要な意思決定の瞬間に広告がどのように届くかを探ることができる――と発表しました。

同名のブランド「Williams-Sonoma」を筆頭に、家具・雑貨ブランド「West Elm」「Pottery Barn」を運営するWilliams-Sonomaは「今回の『ChatGPT』内での広告テストは、最先端技術にかけている投資全体から見て、さらなる活用・拡大につながる」と説明しています。

Williams-SonomaのPresident兼CEOであるローラ・アルバー氏はリリースで、次のように話しています。

AIはユーザーのニーズに合う商品の発見をサポートすることを急速に強化しており、消費者が情報を参照して購入決定をするプロセスにおいて不可欠になりつつあります。

「ChatGPT」の広告テストでOpenAIと協力することで、Williams-Sonomaは新たな広告アプローチを探る機会が得られます。この広告は、ユーザーがプラットフォーム(ChatGPT)に求める情報収集の仕方に合わせ、会話の流れを邪魔することなく、適切なタイミングで有益な提案ができるよう設計されているからです。(アルバー氏)

Albertsons、ChatGPT広告で「顧客接点の最先端を模索」

Albertsonsは、「ChatGPT」広告には自社の商品と、プログラムの進化に合わせてAlbertsonsのリテールメディア「Albertsons Media Collective」を通じて運営されるキャンペーンの両方が含まれる予定であると発表しています。

系列企業の広告バナーを表示

同時に、Albertsonsはバレンタインデーに関連した季節限定の「ChatGPT」広告も運用していました。「バレンタインの贈り物に最適な花」「女友達同士でお祝いする『ギャレンタイン』の楽しみ方」といったクエリを入力した消費者は、地元のAlbertsons系列の子会社の広告バナー(Safeway、Vons、Jewel-Osco、Shaw’s、ACME、Tom Thumbなど)を目にする可能性がありました。

広告をクリックした消費者は、バレンタイン特集のランディングページに誘導され、生花やチョコレートなどのセール情報、ギフト、レシピなどが表示されます。一部の商品は、Albertsonsの急送宅配サービス「Flash」を通じて最短30分で自宅に配送可能です。

OpenAIのパイロット版広告プログラムに参加することで、消費者がすでに愛用しているデジタル体験にシームレスにつながり、適切なタイミングで適切なAlbertsonの商品と消費者を結びつける最先端の方法を模索する機会を得られます。(Albertsons チーフコマーシャルオフィサー ジェニファー・サエンズ氏)

AIツール開発・運用の変遷

今回の「ChatGPT」広告のテスト運用は、Albertsonsがこれまで継続的に進めてきた、AIによる次世代コマースへの投資が土台となっています。「Albertsons AIショッピングアシスタント」、検索ツール「Ask AI」などAlbertsonsが独自に開発したAIツールは強いエンゲージメントを見せており、Albertsonsによると、導入後の客単価は2ケタ成長を記録しています。

生成AIがオンライン上の購買行動に与える影響

アナリストたちは「総合的に判断すると、『ChatGPT』広告のパイロット運用は、AIプラットフォーム内で購買行動がますます活発になる可能性が高まることを示唆している」と指摘しています。

NFTドメイン発行プロバイダーUnstoppable Domainsのチーフビジネス開拓オフィサーであり、AWSやIBMの元エグゼクティブであるサンディ・カーター氏は、「私たちはいま、AI支援型のショッピングからAIネイティブなコマースへの転換を目の当たりにしています。大手小売事業者がAIを使って従来のECサイトへトラフィックを誘導するのではなく、AIプラットフォーム内に購買体験を直接組み込んでいるのです」と話しています。

従前のECトラフィックへの依存に警鐘

カーター氏は、「ChatGPT」広告のパイロット運用に関するLinkedInの投稿で、この変革を従来のオンライン取引が「解体」される可能性があり得るものとして描写しました。

消費者はこれまでのようにECサイトを閲覧する代わりに、複数の小売事業者にシームレスにアクセスできる対話型AIを通じて買い物をすることが増えるかもしれません。

SNSでの動画投稿など、ソーシャルメディアがコンテンツとの出会い方を変えたように、AIが『入り口』になることで、従来のECサイトやプラットフォームを経由せずに買い物が完結するようになると私は考えています。

その結果、AIネイティブなコマース体験の開発にいち早く着手する小売事業者が高い市場シェアを獲得する一方で、従来のECサイトへの流入に依存し続ける企業は目立たなくなってしまうリスクがあります。(カーター氏)

Unstoppable Domains チーフビジネス開拓オフィサー サンディ・カーター氏
Unstoppable Domains チーフビジネス開拓オフィサー サンディ・カーター氏

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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